2010/03/21

252【世相戯評】環境悪化移転制度?

 風で作った北海道産の電気を、東京駅前の丸ビルに送ると新聞に書いてある(2010年3月21日朝日新聞1面)。
 電気に色がついているのかしら。そんなに遠くまで送ったら途中でずいぶん減ってしまいそうだ。
 よく分からないのだが、東京都の新制度で、今後5年間でCO2削減目標6~8%に届かない場合は、自然エネルギーを使う方法で削減に対応することができるのだそうだ。そこで丸ビルは北海道や東北地方で作った風、水、バイオマスによる発電を買うのだとか。
 でも、本当にその電気が丸ビルまで電線を伝って来るのかしら。他の電気と混じっちゃうだろうし、電線の中で行く先を間違えるんじゃなかろうか。

 またもやよく分からないが、なんでもその間にグリーン電力証書なるシステムが介在するらしい。その証書を買えば、北海道から電気が来たとみなすらしい。だったら沖縄からでも、南極大陸からでも電気が来ることになるんだろうなあ。まだよくわからん。

 またまた分からんことも書いてある。森林のある地域では、その森林が吸収するCO2の量を他のCO2排出企業に売ることもできるとか。これも証書にして売るのだそうだ。
 ということは、もう林業できなくて常緑樹も広葉樹も茂り放題の裏山が、ある日突然に宝の山になるのかしら。何か不自然なような。うちの庭木も金になるかも。
   ◆◆
 関連して自分の専門領域のことで思いついたのは、容積率移転という都市計画手法である。
 土地には敷地ごとにその上に建てられる建築物の床面積の上限が法によって定められていて、それを容積率という。

 ある敷地に建物を建てるときに、ある一定区域の地域内ならば、他の敷地が上限まで使いきっていない容積率を持ってきて、こちらの敷地の容積率に加算して、上限を超えて建築することができる。
 このときこの2敷地の所有者間で容積率の売買を行なうことになる。
 CO2排出権の売買とは、どうも排出権という名の容積率移転を、日本中に広げたみたいなものらしい。

 建築の容積率は、かなり狭い範囲で限定された条件下でないと移転はできない。周囲の環境が異なる敷地間で移転が起こると、たとえば低層住宅地の中に超高層ビルが建つような環境破壊が起きるからである。

 CO2排出権の移転はどこにも持っていってもよいらしい。となると、ある施設がCO2排出権をよそからじゃんじゃん買い取れば、その施設周辺はどんなに環境悪化しても構わないってことになるのだろうか。
 なんだか環境悪化移転制度みたいである。日本のゴミを開発途上国に捨てるってことが起きているそうだが、どこかしらなんだか似ているような、違うような、、。
 とにかく、排出権が移転してきた施設の辺りには住みたくないよなあ。
 またもやまたもや言うが、どうもよく分からん。

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