2011/11/26

538江戸タワーと東京タワー

芝の増上寺の三門が、ただいま特別に一般公開中で、2階に登ることができると知人が教えてくれた。
 あの門の上からの風景はどんなものだろうか、広重の浮世絵にあるような芝浦の海が見えるわけはないが、それでも比較してみたい。
 入場料500円を自動販売機で買って、三門に登る梯子の下の受付の女性に渡す。ふと見ると梯子の手すりに「写真撮影禁止」と書いてある。
 え、でもこれは多分、中にある仏像のことでしょ、こちらは仏像には興味なくて、外部の風景だから撮影はOKだよな、でも念のために、受付女性に聞いた。

「あのー、撮影禁止って内部のことで、外の眺めはOKね」
「いいえ、それもお断りしています」(あ~っ、聞かなきゃ良かった、もう遅いか)
「え~っ、だって外の景色ですよ、それがなぜいけないの」
「だって、外を撮るカメラを回して中を撮る人がいるでしょ」
「宗教法人なのにケチですねえ」(お寺さんが人を疑うようになっては世も末だなあ)
「景色といってもビルばかりですよ」
「それを撮りにきたんですよ、ダメなら500円返してよ」
「ここには現金がないのです」(券売機に内外写真禁止と書いとけよ)
 後ろに行列ができているし、しょうがないから登ることにした。

 内部といっても、木組みにはすこし興味あるが、仏像群には何の興味もない。
 もっぱら景色を眺めていて、ふと足元の注意書きに気がついた。
「三門内撮影禁止 ご協力ください」
 ということは、三門「内」撮影禁止だから、三門「外」はいいんだよな、うん。
 で、これが三門二階から大門方向(東方向)を望む風景。

 広重の描いた「江戸名所 芝増上寺 従山門上市中眺望之図」はここに載っている。
http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/ukiyoe-zoom.cgi?id=6&num=photo3
 同じ角度では撮影できないし、そもそもデフォルメがあるし、あまりにも変わりすぎていて今昔の比較を超えている風景となっている。
 江戸時時代のひとたちも、こうやって高いところに登って景色を見たいってのは、その後の東京タワー、そしていまやスカイツリーと、現代人と同じであった。
 増上寺三門は「江戸タワー」であったのだ。

 増上寺境内だった芝公園の中には東京タワーが建っているから、まさに江戸タワーの後継者であったのだと、その立地の由緒正しさを今ごろになって知った。
 江戸タワーに登ったついでに東京タワーにも登ろうかと行ってみた。
 え、1420円もするのかあ、それで250mじゃあ、無料で202mの東京都庁展望階のほうがいいなあ、なんて、懐勘定が先にたって引き返したのであった。
 独りで登るのはもったいない、出直して誰かとわいわい騒ぎながら登ろう。

 東京タワーはわたしが大学生時代に、日々高くなっていくのを眺めたという青春のシンボルタワーなのだ。
 でも、実は東京タワーに登ったという記憶はあるのだが、それがいつのことか思い出せない。40年以上も前だったような。
 このところスカイツリーばかり評判なのが、ちょっとシャクである。
 こうなったら、「東京タワーには登るけどスカイツリーには登らない会」を作ってやるか。会員兼会長はわたし一人か。
 そういえば、だいぶ前に思いついていたことに、「東京ディズニーランドに入らない会」ってのがあった。今となったら、入ったことのない人が自慢になる。
 わたしは実は裏門から一度だけ、ご招待いただいて入ったことがあるから、会員の資格がない。でも、正面から金を払って入ったことがないので、会員資格ありとするか。

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