2014/01/27

892横浜都計審傍聴イチャモン(その4)再開発事業都市計画なんだから最低でもこれくらいは審議してほしい

「(その3)審議会は市民と行政を結ぶ役割を果たせ」のつづき
http://datey.blogspot.jp/2014/01/891.html

 大船駅北再開発事業の都市計画審議会の審議について、もう少し書く。
 わたしがもしも審議会の委員だったら、委員会資料と説明を聞いただけでも、最低でもこの議案のもっとも基本的なこれだけは質問をしたい。

●都市再開発法3条要件は満たしているのか?
 まあ、議案になっているからOKなんだろうが、なにしろ市街地再開発事業の都市計画なんだから、この基本のキを一応は確かめるべきだと思う。でも、なんだか大きなビルが建っているよなあ。

●なぜ市施行ではなくて組合施行なのか?
 もちろん組合施行で行うこともできるが、これだけ広い駅前広場整備を行いながら、横浜市を施行主体にしない理由はなにだろうか。戸塚で懲りて、もうやりたくない、とか、、。

●関係権利者数と土地面積について同意率はどうなのか?
 組合施行再開発事業は、実は地権者という市民が共同して行う事業だから、周囲からの反対は、一般市民対地区内権利者市民という対立図式になる。形式上はこの都市計画を決めるのは市長だが、この事業を進めるのは地権者たちである。
 ところが、公聴会に地権者と名乗る人が登場して反対意見を述べている。しかも「わたくしたち」と言っているから複数いるらしい。事情は分からないが、共同するべき地権者たちが仲間割れしているらしい。これで都市計画決定しても、円滑に進むのか気になる。全員同意じゃなくて原則型で権利変換をやるつもりか。
 この「わたくしたち」が説得に乗らずとことん反対したら、今後の道は二つ。ひとつは強制代執行で進める。もうひとつはこの「わたくしたち」の土地を除外するように、都市計画決定をやり直すことで、つまり審議会は振り出しに戻るのである。どちらになっても審議会が「円滑に審議したこと」を問われるかもしれない。

・事業の資金計画はどうなっているか?
 再開発事業ではよくあることだが、事業の外野の地区外市民から巨額公費の投入が無駄だという指摘がされる。スポット的に巨額投資だから目につくのである。
 ここでもそれが意見書に出てきているが、それへの市側の見解書には「関係法令や予算に基づく補助制度が適用される予定です」とある。
 あのなあ、これじゃあ、まったくもって見解になっていませんよ。そもそも補助金は、支給できるものであって、しなければならないものではないのだ。
 無駄だって言ってる人の肩を持つ気はないけど、もうちょっとまともに答えてはどうですか。いや、こういう意見に対してこそ、真剣に公費投入の必要性、その意義をキチンと答えるべきである。
 だから、審議会ではその答えがわかるように、この事業の資金計画(管理者負担金、補助金、保留床処分金、補償金、、、、)について、費用対効果とかその妥当性を審議してはどうでしょうか。
 この都計審の後は、もう都市計画審議会も一般市民も口出しする機会は、ほぼなくなるのだから。

 「事業の都市計画」の審議は実に難しいのである。
 本当にわたしが委員だったら、これまでの調査資料、関係者への聞き取り、現地視認など、事前に調べてから委員会に臨むから、もっと審議したい事項は多くなるだろう。なにしろ13800円の日当をもらうのだからね。貧乏人はつい張り切るのだ。

 でもまあ、都市計画審議会は参与機関ではなくて諮問機関にすぎないので、どうせ審議会の議決が原案通り可決だろうと原案否決だろうと、市長は関係なく都市計画決定できるのだから、審議会は気楽なもんである、ということで、このあとの12もの議案は、発言委員は2名だけで、あっという間に原案通りに可決したのであった。めでたしめでたし。
審議会委員名簿 審議会中に発言したのは21人中たった6人だけ
と言うわけで、今回の都市計画審議会は円滑に審議が進んだのであったが、ちょっとすごいと思ったのは、その円滑審議のために市側の説明者が議案ごとに、10数名がぞろぞろと入れかわりたちかわり登場退場する様子であった。
 あんなに大勢がやってきてなにをしてるのだろうか、万が一、難しい質問が出たら、その中の誰かが答えるための頭数だろうか。そんなに大勢が役所を留守にしてよいのか。
 でもなあ、何回もやってわかってるでしょ、そんなマジメな審議はしないんだって。これじゃあ人件費の無駄でしょ。なんだか公費投入が無駄という意見書に似てきたなあ。
 委員の皆様、せっかく大勢待ってるんだから、なにか質問してあげなさいよ、可哀そうでしょ。

 傍聴席が20人分もあったのに、半分しか埋まっていなかった。そのほとんどがダークスーツの業界人らしく、関係議案が終わるとさっさと退場。わたしと同年輩の男女が最後の議題までいらしたが、こちらは一般市民の感じだった。
 なんにしても、市民の傍聴が少ないのは、意外に都市計画には無関心な市民が多いと、いつも思い嘆くばかりである。

 最後にもう一度書いておく。わたしは議題となっている現場を全く知らないので、議案の内容に賛成も不賛成もない。唯一の現場である審議会を傍聴して、そこの提出資料と委員の審議態度についてだけを書いた。
 審議会の委員は議案の現場の実情を知っているから審議できたのだろうが、わたしには議案の現場を知らないままに議案内容について良し悪しを言うことは不可能である。(おわり)

追記2014/01/28
 横浜市の都市計画審議会のインタネットサイトがある。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kikaku/cityplan/tokeishin/
 そこに2012年11月までは、各審議会の議事録が公開されている。しかし2013年1月の第127回審議会から12月の131回審議会まで、ずっと「作成中」にしたままで非公開となっている。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kikaku/cityplan/tokeishin/singi-25.html
 そのうちに去年一年分をまとめて公開するつもりか、非公開に決めたのか。

 だが、わたしが審議会委員だった時に、議事録公開が2カ月もかかって、あまりの遅いので10日以内にせよと提案し、市当局(都市計画課長)は、それは無理かもしれないが、できるだけ努力すると回答した(2009年8月28日の横浜都計審)。
 また、審議会を休日や夜間開催にして市民が来やすくせよ提案したところ、市当局(都市計画課長)は、それは難しいが、議事録を公開してそれに替えていると回答があった(2009年7月3日の横浜都計審)。
 さて、あの約束はどうしたのか、あのころよりも公開度は悪化しているぞ。


参照→たった一人のキャンペーン「都計審を改革せよ」
http://homepage2.nifty.com/datey/tokeisin.htm

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