隠居して数年たつと分かるのは、どんどんとEメールが減ることである。メールの数は、自分の社会とのかかわりの度合いをしめすことを、あらためて思った。
今では、仕事してた昔からの関係学会や諸団体や仕事仲間からのメーリングリストが生きていて、それらから一方的にやってくるものばかり。
それらに混じって、たまに遊び仲間からのお誘いメールである。そしてさらに稀に、原稿の依頼がくる。ヒマだから、どちらにも張り切って返事を書く。
さて、そうやってメール付き合いが狭くなる中で、変らぬ愛をこめて大量のメールがやってくる。そう、ゴミというか、迷惑というか、エロというか、その類の代物は不滅らしい。
毎日、200通くらいだろうか、もっとあるか、数えたことはないが、これが来るので、わたしもまだまだ世の中に大勢のつながりがあるような錯覚に陥る。
いやまったく、どなたか知らないが、飽きもせずに、毎日毎日せっせとアホメールを送って下さる努力に、心から感服せざるを得ない。
まあ、機械で自動的に送ってるんでしょうが、読まないのに送り付けていただき、ご苦労さん。
中には読んで反応してくるやつもいるかももしれないって、数撃ちゃ当るって作戦であろう。
それにしても、その送る中身の文章などは、誰かが書いているのだろうし、いつも同じじゃ読んでくれないだろうから、あれこれと書き直して、努力しているにちがいない。
わたしは、この数か月、それらアホメールの中身は読まないにしても、発信者とタイトルを毎日読まねばならない羽目に陥っている。
nifty web mailメールアプリケーションに、何かおかしなことが起きているらしく、やってくるメールのすべてが、迷惑メール受信箱に入っているのだ。
しょうがないから、発信者と表題だけ見て、読みたいものだけ正常な受信箱にとりだしている。
アホメールの表題からみて、大きく分類すると、エロ系、薬品系、新技術系、金儲け系になるようだ。
新技術系では、LINEなる通話システムと、TV視聴万能カードの売り込みが多いようである。
時代によってアホメールも進化するというか、時代を先取りしているというか。
一時、中国かららしい読めない漢字アホメールが多かったが、最近はないのはどういうわけか。
なかに、ウィルスバスターなるアプリケーションの宣伝メールがくる。
なんだかしょっちゅう書き直しているらしく、「これが最後」、「もうすぐ終了」、「今だけ」なんて、表題に書いているのだが、それがもう1年以上も続いている。なにが、今だけ、だよ~、アホ。
実人生で足が衰えて街なか徘徊ができなくなると、WEB徘徊バーチャル人生になるだろうと、これは実感している。
孤独な老人のつながる世間は、机上の四角なガラス板を通してのWEB世界に限定されていって、そのメール友達も次々と消え去るとき、飽きもせず送ってくるアホメールだけが世間とのつながりになるかもしれない。
そうなると、アホメールのひとつにでも反応して、返事を出してみようかなんて、半ボケ頭で思うかもしれない。初期認知症WEB徘徊となって来ると、エロやらサギやらのメールに誘われて、新たなバーチャル人生にさまよい出るかもしれないなあ。
そこには何が待ち受けているのだろうか、楽しみであるし、こわくもあるが、さまよい出る当人はぼけているから、なんだかよく分らないままでいるのだろうなあ。
そうか、今はネット利用超高齢老人は稀だろうが、もう10年もしたらネット徘徊被害ボケ老人対策が必要になるのだろうなあ。
振り込め詐欺師のみなさん、今のうちですよ、半ボケ老人をネット経由で誘い込んで、ネット経由で貯金を振り込ませるのは、、。あ、もうやってるかもなあ、気を付けようっと。
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