2016/02/10

1172【五輪騒動】新国立競技場に便乗の周辺開発計画が動き出して都市計画変更や区画整理事業をやるらしいがなんだか不可解

●岸体育会館がやってくるので地区計画変更だろうか

 どうやら新国立競技場場騒動が一段落したからだろうか、こんどはその南あたりに建築を建てる計画が動き出しているらしい。
 南あたりとは、都市計画変更前の都営霞丘住宅地、明治公園こもれびテラス、そして外苑ハウスの土地である。
 都営住宅地は、都市公園の変更で新たに明治公園に都市計画決定されたから、多分、ここには建築計画は無いだろう。(ここでは「新霞ヶ丘広場」と言うことにする)

 角地の三角の明治公園こもれびテラスは、同じく変更で明治公園から除外して、新たに地区計画の地区施設として「広場」の指定となった。(ここでは「三角広場」と言うことにする。)
 このあたりで最近になって知った建築計画のひとつは、代々木にある岸体育会館を移転して、この三角広場に建てるというニュースである。それを読んで勝手に考えることにする。

 日刊建設工業新聞http://www.decn.co.jp/?p=59995にそのニュースが出ている。
「日本体育協会(張富士夫会長)は、老朽化が進む岸記念体育会館(東京都渋谷区神南1の1の1、同協会の本部が入居)を神宮外苑地区に移転新築する。新会館の名称は「日本体育協会・日本オリンピック委員会新会館(仮称)」。東京都新宿区霞ケ丘町4丁目の都立明治公園こもれびテラスと民有地を都が土地区画整理した敷地(約3300平方メートル)に建設する。新会館の規模は地下1階地上14階建て延べ約1万9500平方メートル。建物の最高高さは60メートル。」(2016年2月4日)
 ニュースの通りだとすると、都市計画決定している地区施設の広場に、建築を立てることはできないはずだから、これから地区計画の都市計画変更を行う必要がある。
日刊建設工業新聞記事2016年2月4日
地区計画で三角広場は地区施設の広場指定

どのように変更かわからないが、まずは再開発等促進区の土地利用基本方針の変更が必要である。現在のそれは、新霞ヶ丘広場と三角広場をまとめてAー3地区として、その土地利用方針は次のとおりである。
「国立霞ヶ丘競技場の建替えに合わせて、外苑前駅方面からの新スタジアムへのバリアフリールートの整備を図るとともに、公園・広場等として整備を図る。」
 これだと、建物を立てることはできないだろう。「公園・広場等」の「等」のなかに岸体育館も含まれるとは、まさか言うまい。この文面の変子が必要だろう。

 更に地区整備計画の変更も必要である。
 広場を廃止するか縮小するとすれば、地区計画で決めた地区施設広場は、なんだったのか。これに替わる広場をどこかにつくるのか。その南のJSCビル敷地と調整して、広場を確保するか。
 ニュースによると計画では建築高さ60mとある。現在は高さ制限は高度地区規制の30mだから、2倍以上に緩和する必要がある。ただし、Aー3地区全部を緩和すると、公園も緩和に入るから、Aー3地区から3角広場部分を分離するのだろうか。
 緩和に対応するためには、地区への貢献が必要だが、そのための新たな地区施設等の指定も必要になるだろう。
 そのほか現在は何も書いていない用途制限も、新たに書き込む必要があるだろう。容積率の緩和は必要なさそうだ。

●外苑ハウス建替え地区整備計画追加か

 新霞ヶ丘広場の南にぶら下がる「外苑ハウス」の建て替え計画について、地元に説明会があったそうだ。その資料がネットに載っていたので、それを見て勝手に考えることにする。
 地区計画が決定した当初から気になっているのだが、この一民間共同住宅ビルの外苑ハウス敷地だけが、どうして都市計画の地区計画区域に入っているのだろうか。
 このあたりの寺院や学校住宅地などが広く入っているならわかるが、外苑ハウスだけが入っているは、地形的にも土地利用的にも、そして都市計画的にも、どうにも不可解である。

 不可解と言えば都営住宅用地が入っているのもそうだが、そこは新国立競技場がらみということで百歩譲るとしても、どうみても外苑ハウスは新国立競技場に何の関係もない。
 地区計画でここだけ地区整備計画が抜けているのは、新国立競技場には何の関係もないという証明のようなものである。つまり地区整備計画を定めるに至るほどには多数の地権者の合意ができていないということだろうから、ドサクサまぎれにとにかく地区計画に入っておこうと、強引に再開発等促進区はめ込んだように見える。


 さて、その外苑ハウスを建て替えする地元説明の資料によると、建替え建築の規模は、敷地約9千㎡にたいして、延べ床約6万㎡、高さ80mだそうである。
 となると、どうしえも容積率は現行300%を500%に、高さは現行40mを60mに緩和が必要になりそうだ。今はまだ定めていない地区整備計画を、新たに制定する必要がある。
外苑ハウス建替え計画の地元説明資料の一部(ネットより)
だが、これだけ大きく規模的緩和をするべき都市計画的理由は何だろうか。それに見合う社会的貢献が必要だが、それは何か。
 地元説明資料を見る限りでは、単純に現在の敷地の中で大規模化高層化して建て替えるだけで、道路や公園を提供するような特別に地域に貢献する施設はなさそうである。
 子育て支援施設とか災害対策施設とか書いてあるけど、まあ、この規模なら当たり前のようなものである。店舗を設けるから、競技場の観客を相手にひと儲けするらしい様子もある。

 敷地内に広場を設けているのが貢献のつもりだろうが、そもそもすぐ北隣が広い新明治公園公園だし、南東隣は高等学校、西隣りは寺院と墓地だから、周りに十分オープンスペースがあって、いまさらここに広場を設けてもさほど地域貢献にならないだろう。要するに共同住宅住民のための施設にしかならない。
 どうも現在のビルを巨大なものに建て替えるだけとしか思えないのだが、それでも都市計画の緩和がありうるのだろうか。
 ここのような低層市街地に接して道路幅も広くないアンコ部分に、大規模高層ビルが建つのは、都市計画的には好ましくないだろう。
 せっかく都営住宅をつぶして作る公園が、このビルのおかげで日陰になってしまう。

 わたしは外苑ハウスの建て替えがいけないと言っているのではなく、老朽化したのなら建て替えするべきだと思うのだが、一民間ビルの建設を公共的な意義がある都市計画として、その敷地だけを規制緩和して支援する理由が、どうも見つけにくいと言っているのだ。
 これが建て替えられても、今よりも市街地環境がよくなるとは思えないのだ。ここの都市計画には、何か特別のなことでもあるのだろうか。

 今後、この周辺の民有地が、うちも再開発促進区に追加したいと言うと、その都度敷地毎におなじように追加して緩和するのか。外苑ハウスができて他ができない理由がない。でもそれでは都市計画はめちゃめちゃである。
 念の為に書いておくが、わたしは外苑ハウスにはなにの関係もなく、眼に敵にしているのでもなくて、都市計画一般論として不可解と言っているのであるから、誤解しないでもらいたい。

●やるならもっと根本的な整備をやれ
 
 このあたりを土地区画整理事業で整備するというニュースがあるが、本当だろうか。
 土地区画整理事業は広い範囲の土地を入れかえて、道路、公園、宅地を使いやすく良い環境に仕立て直す事業である。
 上に見たように、三角広場も外苑ハウスもその土地のままで、建物を建てるらしい。新明治公園とあわせてこのあたりを入れ替え整備はしないらしい。
 道路や公園があらたにできるのでもないらしい。土地区画整理事業で何をやるのだろうか。
 
 わたしは以前に、このあたりを土地区画整理事業で整備するならば、このようにやるといいだろうねと、勝手に提案をしたことがある。http://datey.blogspot.jp/2015/12/1156.html

 その骨子は、都営霞丘住宅用地の西の外苑西通り沿いに外苑ハウス(図の④)と岸体育館(図の③)の敷地を持っていき、その東の範囲(図の④)に都営霞丘住宅の建て替えをし、外苑ハウスの跡を公園(図の③)とするのである。
 こうすれば広い道路に面して高層建築群が建ち、街区のアンコ部分は中低層住宅と公園となるのである。

 このように外苑ハウスも入れて全体を揺さぶって整備するならば、外苑ハウスが都市計画に入っていても不思議ではない。
 なお、新国立競技場敷地は、建物の外部を全て明治公園として開園する。これによって、明治公園の面積問題はなくなるはずである。
 もちろん、現在の都市計画公園や地区計画の変更をしなければならない。

 と提案を書いてきたが、まあ、どの方面からも一顧だにされないでしょうな、犬の遠吠え、蟷螂の斧、ごまめの歯ぎしり、馬耳東風、猫に小判、蛙の面に小便、、、いいんだよそれでも、こちとらは趣味で言ってるんだからね、。

●次の便乗本命都市計画変更がもうすぐ出てくるだろう

 まあ、なんにしても、外苑ハウスや岸体育会館のために、そして便乗大本命の神宮球場などの神宮外苑の中の都市計画追加変更案が、近いうちにでてくるにちがいありません。
この次の都市計画大本命の神宮球場やラグビー場等の再開発は?
  あ、そうだ、忘れそうになったが、大大本命の新国立競技場の敷地そのものの地区整備計画の変更案も、新案に決まったので変更があるに違いない。
 もしも変更が無いなら、新案はザハ案を踏襲したことになる。

 東京都民のお方たちは、都市計画行政の動きに注意しておきましょうね。
この前みたいにも、決まって締まってから、知らない間に決まってたなんてブツブツ文句を言うのじゃなくて、都市計画手続きの素案段階でも原案段階でも縦覧の時がきたらすぐさま、意見があるならばきちんと意見書を出し、意見公述しましょうね。
 意見書を出しても、意見が取り入れられるかどうかわからないけど、すくなくとも都市計画審議会の委員たちが、この前みたいにイイカゲンじゃなくて、こんどは真面目に審議するように、その言動に注意して精神的圧力をかけましょうね。

 わたしは現地の事情もオリピック事情もインサイダー情報は何も知らないし、東京都民でもないから、ナンダカンダと言っても、ヒマ老人が机上で頭をひねって、ボケ防止に遊んでいるだけである。
 無責任なものであることを承知しているが、都市計画を専門としていたものとして、ちょいと気になるからときどきこうやって書くのである。

新国立競技場建設と神宮外苑再開発・2020五輪運動会騒動瓢論集(まちもり散人)
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして Facebookではズバリのご意見を拝見させていただいています。有難いことです。これからも色々なことを教えてください。