2016/12/27

1242【東京駅周辺徘徊その2】ナントカランドになっちゃった東京駅丸の内駅舎の歴史についてご隠居と八五郎の10年ぶりの長屋談義

東京駅周辺徘徊その1】からの続き

八五郎:ご隠居、元気ですかい。
隠居:おや、八ッぁんかい、ひさしぶりだね。うん、元気だよ、口だけは。
:先日ね、10年ぶりに東京駅のあたりをぶらぶらしてきましたよ。いやもう超高層ビルがびっしりで、あたまのうえあたりが鬱陶しいったらないね。あんなにビル建てる場所ありましたっけ。
:いやいや、建ち並んでた高層ビルを、もっと高く太く次から次へと建てなおしてきてるんだな。
:壊す費用だって莫大だろうに、それでも儲かるんですね。でも東京駅だけは低いままに建て直してましたよ。
:あれは建て直したのじゃなくて、戦後修復した建物に3階部分を増築して、ついでにお化粧直ししたんだよ。いわば再修復だけどね。
:そういえば、そのことで10年前にご隠居と長屋談議をやったことがありましたね。どうせならもっと高く建て直しゃよかったのに、なんでです?
:うん、まあ、昔の形に戻してみたかったんだな、その化粧代金が500億円かかったけど、もっと髙く建てられる権利、つまり頭の上の空気を売って調達したんだね。
:すごいねえ、ホントに空気を金にするんだもんねえ、人間はキツネやタヌキ以上ですね。
◆このあたりの詳しい談議はコチラ
 
:ちょっと東京駅の歴史を振り返ってみようかね。これが1914年にできたときの写真だよ。
:そうそう、10年前の姿から今はこの姿に戻ってましたよ。赤くてキンキラで派手なもんで、ナントカランドみたい。1914年にこれを見た日本人は、そのキンキラキンの西洋建築に圧倒されたでしょうねえ。
:その頃の日本は、日清、日露、日独って10年ごとの戦争に勝ち続けて、先進の西欧列強に並ぶ帝国になる背伸びを始めた発展途上国だったからね、このような成り上がり的建築にあこがれたんだよ。

:でも、次のアメリカとの戦争では負けちまって、東京駅は敵からの空爆で燃えてしまったのでしたね。
:そう、1945年5月のこと、屋根は燃え落ち、内装は全焼、でも煉瓦壁やコンクリ床は燃え残った。
:創建から31年目ですよねえ、もったいない、でもまあ、東京中が燃えたんだからしょうがないや。


:そこでね、燃え残った煉瓦壁や床を再利用して応急修復したんだよ。それができたのが1947年のことだった。
:その戦後修復東京駅が2007年まで見えていた姿だったのですね。
:そうだよ、それが60年間もあった。創建時の姿は31年間だから、戦後修復の姿の方が2倍くらい長くあったんだね。
:戦後応急修復建築にしては、エラク立派なものでしたねえ、今の姿からキンキラキンを取り除くとあの姿でしたねえ。
:そうだね、あの金も物資もない時に、機能的には要らないものなのに燃えた3つのあのデカいドーム屋根まで作り直したんだからねえ、よくまああそこまで立派に修復したもんだよ。
:かんがえようによっては、あのままでこそ重要文化財級でしたね、対清露独戦勝+対米敗戦記念碑だったんですものねえ。


:それが1970年代の終わりころから、国鉄は赤レンガ駅舎を高層ビルに建て直したいといいだし、歴史文化好きの市民たちは保存しろとか、建築史関係者は辰野金吾の設計だから復元しろとか、あれこれ騒がれてきたんだね。
:どこかの市長が、壊すならうち市のの公園に移築してひきとる、なんて言いましたね。
80年代半ばの世の中のバブル景気と国鉄民有化政策も絡んで、いろいろあったけど結局は専門有識者委員会が「現地で形態保全として政府もそう決めたんだな。そのときに空中権の移転も示唆されてんだな。
それで今のようにキンキラキンの昔の姿に戻すことに決めたんですか。今や時代は右寄り、なんだか復古調の世の中ですからね。
いや、専門家の委員会では、復元せよとは言っていないよ。わたしは戦後修復の姿で保存するべきと思っていたけど、その後に復元する方向になったらしいね。
:そう、建築の世界じゃあ、古い姿ほど価値があるって思い込みがあるでしょ。わたしたちの時代の歴史的意義が深い戦後修復よりも、1914年の姿が価値があると思うらしいですよ。
:でも、復元たって実は半分上は2012年にコピーして作った新しいものなんだな、へんだよね。やっぱりナントカランドが好きなだけなんだろ。
:じゃあ、三菱1号館美術館と大差ないですか。
まあ、これらキンキラ出現もまたひとつの歴史ではあるけどな。ただねえ、あの戦後修復の姿は、日本の愚行と不幸を今に眼に見えて伝える戦争と復興の記念碑だった、それが消えて惜しいことをしたよ、国鉄建築家の伊藤滋の修復デザインとしても秀逸だったしねえ

:ところが、そのナントカランドキンキラ新東京駅もまわりから攻められてますよ。前後左右からガラス箱大入道集団に襲われているみたいですよ。
:そのガラス張り超高層は、東京駅空気を売った先のビルなんだな、だからあんなにもデカいんだな。
:そうか、お化粧代として空気を売ったら、お返しとして日陰になった、あ、そうか、身を売って日陰者になっちゃった。
東京駅が空気を売った先の6つのデカビル

:身を売った先ばかりじゃなくて、これからどんどん大入道が建ち並ぶらしいよ。これは八重洲側の開発について最近その事業者が発表した絵だよ。
:おやおや、乱杭歯のように立ち並ぶねえ。

:さてさて、この先どうなるのだろうねえ。
:ちょっとそれを描いてみましたよ。どうですかい、もちろん、いい加減な推測戯画ですよ。
:うわっ、どうせならこんな乱杭歯じゃなくて、金屏風を立てたように都市デザインすればいいのにねえ、キンキラ新東京駅がもっとキンキラキンになるようにね。

:あ、そうだ、こんなのもありますよ。ほれ、30年ほども昔々に建築家の丹下健三からの提案があったでしょ、辰野金吾デザインをそのまま高さ100mにするって、それを絵にしてみたんですよ、
:うわ、すごいねえ、あ、そうそう、わたしは丹下事務所でその模型を見たことがあるよ、ほう、これなら東京駅自体が金屏風、いや赤屏風になるんだな、わはは、う~む。(つづく


「まちもり通信サイト」内の関連記事





0 件のコメント: