2022/01/14

1605【コロナ第6波来たる】人生に飽きた八十路にパンデミック行方見たくて生き甲斐ふつふつ

●ロッパが来た

熊五郎
:やあ、ご隠居、生きてますかい、謹賀新年ですよ~。
ご隠居:おや熊さんかい、ウン、新年おめでとう、まだ生きてるよ。まあお上がりよ、新年会やろうよ。
:はいはい、久しぶりに飲み会やりましょう、二人だとコロナまん延防止規制の飲み会人数制限以下ですね。
:そんなことはどうでもいいだろ、ささ一杯やりなよ。
:あのね、ご隠居、沖縄とか山口とかの県では大変らしい、なのに酒飲んでいていいのかしらと思うでしょ。
:お前ね、まるで戦争中の「戦地の兵隊さんのことを考え我慢せよ」と、あれこれ生活に難癖付けられたことを思い出させるね。
:うわ、古いこと言う。でもね遂に来たんですよ、ロッパですよロッパが来た
:お前こそ古いね、昔、古川ロッパという俳優がいたな、それがどうした?
:いや、そうじゃなくてコロナ第6波ですよ、ものすごい感染者数の増加ですよ。
:おお、そうだった、1月14日には一挙に2万人増加、先週の同じ日に比べて9倍も多く、去年の9月1日以来とのことで、こりゃもう第5波を越えるな。
:第5波が静まった去年の秋、日本に第6波が必ず来ると専門家たちが言ってた通りです。



●アメリカ細菌部隊降下

:この最新日本コロナ感染者統計を見て思い出すのは、一昨年初期のころ鳥取島根秋田山形の各県が長らく感染ゼロ県だったことだよ。もともと人口も少ないけどね。
:今もその4県は少ないけれど、一昨日までは鳥取島根秋田3県が千人台だったけど、昨日13日から秋田が2千人台に脱落、防疫トップ3県は山陰県になってきた。
:それにしても沖縄県の感染者数は、単位人口当たりで見て異常値だね。
:それはね、アメリカ軍が独自に県内軍事基地に感染者を輸入してるからだそうですよ、岩国基地のある山口県も多いのがその証拠、しかもアメリカ軍は感染者がどこにいるか言わないそうですよ。

:あ、それって、たぶん、細菌部隊が落下傘降下してるんだね、きっと。
:ワハハ、まさかねえ、そうなら細菌部隊作戦動向の軍事情報だから隠すでしょうね、そうか、なるほど、怖いなあ。

:そして地球全体ではもっとすごい勢い、昨日から340万人も増えて合計3億2千万人、WHO発表では、欧州・中央アジアでは6~8週間で人口の半数超が感染おそれがあるというよ、国民の半数がコロナの病だよ、どうするんだろう。
:それにしてもアメリカのはすごいものですねえ、この勢いで沖縄に攻め来てるんだから、たまらないや。
:この表を以前から見ていつも気になるのは、人口が多いアフリカ大陸が登場しないのはなぜだろうってこと。全体として多いけど多数の国があるからランキング上位には登場しないのか、そもそも医療統計が出てこないのか、どうなんだろうねえ。他大陸が落ち着いたころアフリカ大陸からぶり返すのではあるまいな。


●われらが呼び戻した第6波

:ところでコロナって、第6波が必ず来ると言われて警戒していたにもかかわらず来てしまったでしょ、これって人間には不可抗力な自然現象なんですかねえ。
:いやいや、そうではあるまい。要するに警戒不足だったってこと、端的に言えば人間が呼び戻したってことだろう。だって人間と人間が出会わなければ感染しないのにここに至ったということは、昨年末から今年にかけてのクリスマスと年末年始休暇が、ちょうどコロナ低迷期だったから、コロナは居なくなったと油断して、人々が出会ったってことだろう。
:そう、コロナをバカにしたかもねエ、いや、次の第6波が必ず来るのなら、今の内に宴会でも旅行でもパーティでもやっちまおうって駆け込み面会したんですね、それが見事にコロナにバレちゃって感染しちまった。
:う~ん、それが第6波の原因とすれば、人間の自業自得というものだねえ。
:そういえば去年の第5波だって、夏休みとオリンピックが招いたに違いないですよ。
:去年のデルタ株後継となったオミクロン株は、デルタよりも死亡率は低いが、感染力が高いらしいよ。
:その死亡率が低いのはワクチンのせいかもしれないでしょ、だとするとワクチンの普及してない世界お国々からまた感染が広がるでしょ。
:地球上のそれそれの国を閉じてコロナ侵入防止をこれほどやっていても、オミクロン株のように、どこかから入国してくるのだねえ、ワクチンを押しのけて感染するしねエ、よくやるねえ、コロナもえらいもんだ。
:感心しちゃいけないでしょ。去年の夏にあれほど大騒動してワクチンを打ったのに、こうなってしまうはどうしてなんですかねえ?
:そして今頃になって3回目ワクチン打つべきだって、せんだってと同じようなドタバタしているのもヘンだね、分かってるのにねえ。
:それに既にロッパが来てしまった今も、その3回目ワクチンを打てないままなんですね、政府はなにしてるのでしょうか。
:首相の岸田さんは「先手先手を打ってやっていく」と言ってるらしいけど、政府の対策がコロナの後を追いかけていると言うべきか、それとも、政府対策に反抗して人々が出会って感染しあっているのか、どっちなんだろう。
:先手打ってこうやると首相が言うと、コロナのヤツがそれを聞いて先手の先手を打ってロッパを連れてきたんでしょ。
:ワハハ、「これからは黙って先手打ちなさい」と助言しようか。

●社会崩壊堂々巡りか

:今度はというか今度もというか、あまりの感染拡大の速さに、医療体制が追い付かない状況が来ているそうですよ。
:これだって夏ごろに経験済みの大事件だったのに、その後の今までに態勢立て直しができないほどに、日本の保険医療体制とその行政はひどく痛んでいたってことなんだろうか。
:さっぱり知らないことですが、これらの現象は公衆衛生学という分野でこれまで研究してきたのでしょうかね。
:わたしも知らないが、医学でもあり社会学でもある分野に思えるな。でもこれによる分析と予測を現実に動かすのは政治だから、そこには学ではない不純要素が入るだろうな。
:そうそう、その最たるものが「経済を回す」ことですよ、政府のコロナ対策担当大臣が経済再生担当大臣であることが如実にそれらを物語っていますよ。
:そのとおりだけど、今回の第6波の急激さで起きてきたのが「社会を回す」という言葉だな。しきりに言われているが、どうやら経済を回すよりも前に、経済が乗るべき基本となる社会そのものが回らなくなってくる心配が大きいのだろうな。
:そうか、社会の現場で働く人たち、エッセンシャルワーカーって言われる人たちが、感染者の増大に巻き込まれてみな寝込んでしまうと、医療崩壊どころか社会崩壊に至るでしょうね、コワイコワイ。
:う~ん、この前の大戦後の体験の再現か。そうならないように、感染者への濃厚接触者判定範囲を狭くしたり、隔離期間を短縮することで、名目上の休業者を減らす工夫をしているようだが、これってなんかおかしいと思うね。
:これまでと感染実態は変わらないのに制度変更で感染者数を減らすって、科学じゃなくて政治そのものですね。公衆衛生ってのはそういうもんなんですかねえ、無い袖を振るしかないのでしょうねえ。なんだか不可思議です。
:もしそれで感染者が増えたなら、またもとのよにうにやり直すしかない、これはもう堂々巡りだな。
:そもそも波が何度も来てそのたびに右往左往しているのが、まさに堂々巡りのこの2年ですよ。パンデミックてそういうもんなんですかね。

●コロナに生かされる老いの日々

:そうなんだねえ、不謹慎だが面白いと言えば面白い、いや、実に面白い、わたしはちかごろコロナを好きになりつつあるんだよ。
:えッ、ご、ご隠居、だ、大丈夫ですかあ。
:ほれ、わたしは以前からピンピンコロナで死にたいなんて冗談半分で言ってただろ。もちろん本気半分だよ。
:そうそう、去年の冬にはこんな西行の本歌取り狂歌を詠じてましたよ。
  願わくは花のもとにて春死なむその如月の望月のコロナ
:そうだったよ、もう長生きし過ぎて人生に飽きてたときに、ちょうどうまいことコロナが来たから、ピンピンコロリコロナのチャンスと言ってたんだがね、近頃、心をを入れ替えたんだよ、長生きしようとね、しかもそれがコロナのおかげでね。
:そりゃまたどういう心境の変化、しかもコロナのおかげとは、。
:わたしの少年時には世界大戦があって、老年時に至ってこのパンデミックだろ、人生で2度も地球的人類危機事件に遭遇するって珍しいことと思うよ。
:そりゃまあそうですね。
:初めの世界大戦の行方は見届けつつ生きて来たよ、面白かったね、そこでせっかくだからパンデミックも行方を見届けてから死にたいと思うようになったのだよ。行方も見たいけど、只今現在の日々も世界中でのドタバタ騒ぎも野次馬でね、これが何もできない老いの日々に生きる刺激だよ。
:それがコロナのおかげで長生きですかい、コロナを年寄りの生き甲斐にしようってことなんですね。コロナは長寿の種なのかあ、マッタク。
:そういうことで、コロナに生かされる人生だよ、こんな狂歌を詠んだ。
 人生に飽きた八十路にパンデミック行方見たくて生き甲斐ふつふつ

(20220114記)

参照◆コロナ大戦おろおろ日録


2022/01/04

1604【2020コロナ正月】寿町・中華街・元町・伊勢佐木へ旧横浜パッチワーク都心新春徘徊

 ●初徘徊はメデタイ名の寿町から

 2022年の元旦、全く雲の影も見えない快晴で寒い。いつものように横浜都心部徘徊に出かける。さてどこに行こうか、初詣に神社にお参りなんて縁起担ぎなんてことを、わたしは全くしない。
 どこに行くあてもないが、無理に正月らしいところを探し、おめでたい地名の場所に行こうと思う。そして「寿町」に足を向ける。とにもかくにも寿であるが、正月にわざわざ寿町に行こうなんて考える奴はいないだろう。だが、実はそうでもないのだ。

 寿町中心部の小公園近くに来ると、大勢の人たちの長い行列が現れた。正月だからこそ寿町だと思う人たちがいるのだ。
 この公園で無料配布弁当を待つ人々であった。行列は一辺が50mほどの街区の周りをぐるりと取り巻く200mもの長さで、800人くらいだろうか。
 寒空の下のドヤビルの日陰に、黒い防寒着で黙々と並ぶ。ほとんどが中年以上の男女で、なかには子供連れもいる。


 この街は貧困者たちの住む簡易宿所(いわゆるドヤ)の街であるから、たぶん、ほとんどがその住人たちであろう。とすると、わざわざ来たのではないのだろう。
 小公園での無料食事配布(いわゆる炊き出し)を行っているのは、貧困等の社会支援団体の活動らしく、各種相談のためのテント小屋もある。わたしはその活動のことを全く知らないが、ここに支援に来たとて山本太郎と雨宮処凛両氏のSNS投稿記事を見つけた。

 寿町とその隣の松陰町あたりは簡易宿所(いわゆるドヤ)の街で、多くの低所得者たちが低宿泊料のその旅館の部屋を、実質的に住所としているドヤビルが立ち並ぶ。
 1950年代からそうなった街だが、かつては横浜港湾労働者たち、今は老いて生活保護受給者となっている単身男たちが多いそうだ。そのような街にも、このような新年は訪れる。

参照:このブログの横浜寿町記事

・2019/11/13 横浜寿町ドヤ街ではこれまで増えてきたドヤ数もドヤ居住者数も頭打ちになりどう変るのだろうか https://datey.blogspot.com/2019/11/1427.html

・2019/01/05 B級横浜ガイド・寿町・松影町あたり:デラシネ日雇労務者が高齢化定住した貧困ドヤ街 https://datey.blogspot.com/2019/01/1180b.html

・2018/12/19・【寿町の繁栄】貧困で超高齢化する日本の縮図のようなこのドヤ街は縮図どころが拡大しているようなhttps://datey.blogspot.com/2018/12/1173.html

・2018/02/12・不良共同住宅ビル→不良民泊共同ビル→空き家ビル→ドヤビル:不良住宅再生産ドミノ現象の街https://datey.blogspot.com/2018/02/1317.html

・2015/01/05 横浜寿町ドヤ街は新築高層ドヤ建築が林立して周辺へも拡大中にて貧困ビジネス繁盛 https://datey.blogspot.com/2015/01/1046.html

・2007/09/03・横浜寿町ドヤ街宿泊体験記https://sites.google.com/site/matimorig2x/%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%AF%BF%E7%94%BA%E5%AE%BF%E6%B3%8A%E4%BD%93%E9%A8%93%E8%A8%98

●若者たちで溢れる中華街

 寿町を出て、線路を隔ててすぐ隣町の横浜中華街に行く。寿町は実態的には住宅街だから静かだが、中華街は観光街だから賑わいっている。遊びにやってきた大勢の若い男女が道に溢れ、うろうろと行儀の悪い歩き喰いしている。


 中華料理屋の前からの呼び込み声は当然だが、この数年で占い屋の店が急に増えてきた感があり、その呼び込み声がウルサイ。中国料理と占いが相性が良いのだろうか、さっぱりわからない。
 どちらにしてもコロナなんて知らない風情の賑わいだが、人々の姿が共通して白や黒のマスクをつけているので、ここもコロナ世であると思い出すのだった。

●元町商店街は大人の街

 そこから川を隔ててすぐ隣はお洒落な元町商店街で、ここは元日は一斉に休日らしく、わずか3店を開けているばかりだった。それでも道はシャッターの壁ではなくて、店頭でウィンドウショッピングを楽しむ仕掛けにしているから、さすがにここは大人たちの街である。


 実は3日にも訪れたのだが、初売りの街は大勢の大人たちでにぎわっていた。でも、街並み変化観察はしても、この街にはわたしが用のない店ばかり、街歩きの面白さがない。

●伊勢佐木モールの変化が面白い

 伊勢佐木町の伊勢佐木モールは、同じ中心商店街でも元町とは対照的で、多くの店が開いていて、それなりに人出がある。元町の人出となんとなく違うのは、歩く人たちが元町よりも多様なことだ。
 コロナ時代になる前から、店舗が次第に飲食系へ、安売り系、チェーン店系へと徐々に移る感じだが、コロナになってから特にその傾向が強まる気配である。庶民化とでもいうのだろうか。


 中古品屋が特に目立つ。私がこの近くに移ってきた20年前は、いわゆる古書店が5~6件あったが、次第になくなりブックオフが威張ている。一般にも中古品の店が増えてきて、古着屋、中古電器屋、中古家具屋、古道具屋が何軒もできた。

 物販店は元町のように行儀よく店内に収まるのではなく、店頭の道路に商品が乱雑にはみ出している店も多い。居酒屋は派手で大きな看板を容赦なく表に張り出す。


 元町のようなある種の街の品格は消えて、飲食店街・飲み屋街的になりつつある。まあ、わたしの様な貧乏人には都合がよろしいが、この先もこの傾向で行くのだろうか。まあ、悪貨は良貨を駆逐するのデンで、飲み屋街になってしまうのだろうか、それも惜しい。

 寿町も中華街も元町も伊勢佐木モールも、全体に見たところなんだか黒っぽい服装の人ばかりで、正月の華やかさが無いのはどうしてだろうか。華やかな色の和服姿は皆無、防寒着だってもっと明るい色でよさそうなものをと思う。コロナで暗い世の表現か。

 思えば寿町・中華街・元町商店街のほかにも、野毛とか黄金町とか横浜橋とか馬車道とか、それぞれずいぶん性格の違う特徴のある街が、狭い盆地状地形の底に隣り合って押し合いする、横浜旧都心部のパッチワークが面白い。(2022/01/04記)