2016/01/27

1169【横浜都計審(2)】サスティナブルとかスマートとかふわふわネームと言葉だけで絵がないから何ができるのかさっぱり分らない綱島SST地区計画

1168【横浜都計審】のつづき

 横浜市神奈川区の羽沢の相鉄新線駅前の地区計画に続いて、こんどはその鉄道が伸びていく先の、港北区綱島にできるアップル研究所の地区計画である。
 ところがこれも、なんだかわからない計画であった。

●サスティナブルでスマートなタウンの都市計画だって

 第1議題の「羽沢4丁目地区計画」に続いて、第2議題の「綱島サスティナブル・スマートタウン地区計画」であった。わたしには、これがなんとも分りにくい内容で、よくまあ委員の方々は理解できたもんだと、感心したのであった。
 普通の地区計画の名称は、その地名をつけるものだが、この妙なカタカナ名は地名ではなくて、よく言えば開発コンセプト、悪く言えば開発宣伝文句である。

 その場所は、昔々わたしはが住んでいた南日吉の近くだから、土地勘がある。綱島街道沿いに、松下通信工業と大きく書いた工場らしい建物があった記憶がある。
 それがパナソニックと名が変り、それが撤退して空き地になり、そこにアップルの研究所が来るとの新聞情報くらいは知っていた。その開発の地区計画であるらしい。
秦綱島駅は相鉄新線が羽澤から伸びてきてこれからできる新駅
跡地に研究所を建てるのに、どうして都市計画が必要なのかと審議会資料をみたら、どうやらアップル研究所だけじゃなくて、いくつかに土地分割して商業施設や郷土住宅を建てるから、その土地利用コントロール策らしい。
 といっても、こんなまとまった空き地だから、ちゃんとしたデベロッパーがいて、全体の開発計画を立てて、それをもって市に都市計画変更の要望でも出したのであろう。
 あのアップルのことだから、きっと素晴らしい都市デザインを見せてくれるのだろう。
計画地とその周辺地域

●要するに高さ緩和してほしいだけか

 そのデベロッパーが希望することは何かとしげしげと見たのだが、現況の用途地域はだから、ほぼ何の用途の建築でも建てられるし、容積率も準工業200%だから、研究所や商店あるいは住宅ならそれで十分だろう。
 そうか、高さ制限の緩和がほしかったのか。五種高度地区で上限高さ20mの現状を、共同住宅ビル(いわゆるマンション)のために、31mに緩和が狙いらしい。20高さの商業施設や研究所、そして31m高さの共同住宅が立ち並ぶらしい。

計画説明図はほかにもあるがこの2枚でほぼ分る範囲で、肝心の絵は無い

ところが、審議会資料のどこを見ても、全体開発の絵がないのである。地区計画の図や説明を読めば、開発後の姿がおぼろげながら頭に浮かぶが、絵がないからもうひとつわからない。
 そのカタカナ名の宣伝文句のような、すばらしい街の姿を、どうして見せないのだろうか。それが無いってことは、絶対にないはずである。第1議題では、絵を見せているではないか。それななのに、この議題ではそれを隠すのはなぜだろうか。
 また、審議会の委員たちはなぜ要求しないのだろうか。絵がなくても、この資料だけで分ったのだろうか。別室で見たのだろうか。

 この様な開発型の地区計画は、かならず開発計画図があって、それにそって地区計画を作成するものである。地区計画が先にあり、後から開発整備をするものではない。
 その実例は、最近問題になった新国立競技場が、ザハ・ハディド案に従って地区計画を作ったことからもわかる。

●このふわふわネームの実態はなんだろうか

 ところで「サスティナブル・スマートタウン」とは、いったいなんであるのか。土地利用の方針にいろいろ書いてあるが、具体的に何をどうやるのかさっぱり分らない。
 審議会委員2名から、具体的な実施内容と、方法、時期について明らかにするように質問があった。市長側からの回答は「事業者においてただ今協議中と聞いております」との返事であった。これではなんの回答にもなっていないのである。
サスティナブル・スマートタウンとはこれらしいが、、

 羽澤の場合もそうであるが、この開発と周辺地区との都市計画あるいは環境的な対応について、どこにも示されていないのである。
 例えば、南北で全く異なる土地利用だから、間に区画道路を入れる方がよいように思う。東側市街地の区画割にも順応するはずだ。それを屈曲のある歩行者専用通路としたのは、なぜか。
 都市計画とは言いつつも、敷地内整備ばかりで、公共施設たる道路や公園の提供負担はしていない。高さ制限緩和と引き換えに、敷地内地区施設整備を担保するための地区計画である。

 「建築物等の形態意匠の制限」に、気になる記述がある。
「建築物の屋上に設置する建築設備等(太陽光発電設備又は太陽熱利用設備を除く)は、建築物と調和した遮蔽物で囲む等乱雑な外観とならないようにすること
 これだと、「太陽光発電設備又は太陽熱利用設備」は、乱雑な外観でもよいのである。え、なぜ、これらは制限を免除されるのだろうか、理解できない。
 
 環境にナントカかって言えば、なんでも良いことみたいな浮ついた流行があるが、このサスティナブル・スマートというキャッチフレーズ名称も、その流行に乗ったのだろうか。
 流行ではない、本質的実体的なものだと言うなら、お題目だけではなくて、これによりこの周辺地域も含めてどれほどのエネルギー消費が低減できるのかとか、太陽光や太陽熱設備のある建築はこんなに美しいのだとか、具体的に示してほしい。

●地区計画やるなら開発後の街の絵を先に見せろ

 せっかくこれだけまとまった開発計画なのに、ふわふわネームと形式的図書ばかりで、肝心のこれは素晴らしいという未来の街姿を見せてくれない都市計画なんて、ケチというか形式的というか、どうしてこうなんだろうか。 だって、あのアップルでしょ、きっと素晴らしいデザインの街ができるでしょうにねえ、見せてくださいよ。
 都市計画なんだから、このサスティナブルでスマートな街は周辺地域を、どのようにサスティナブルでスマートな街にしてくれるのか、その辺もプレゼンテイションしてほしい。

 なんにしても、わたしがさっぱり分らなかったのに、委員はよく分かったらしく、原案通り可決したのが、どうにも悔しいことであった。
 いつの日か、これはすてきな絵だという都市計画を見せてくれる都市計画審議会になってほしい。
 思い出したが、わたしがこの審議会委員だった時、計画の前提に齟齬があったから私は反対したが、プレゼンテイションがすばらしくてよく理解できた議案は、磯子プリンスホテル跡地開発の地区計画であった。開発型の地区計画は、あれくらいの資料を出してほしいものだ。あれに比べるとこの議案の説明は、あまりにも手抜きである。       (議題3へ続く)
 
参照:横浜ご近所探検隊:横浜都市計画審議会
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_19.html

 

2016/01/25

1168【横浜都計審(1)】審議会会長が横浜市長をしかりつけて危うく保留になりそうだった羽沢地区計画

 久しぶりに横浜市の都市計画審議会を傍聴してきた(2016・01・25)。あい変わらぬいいかげんな審議会だが、珍しく会長が怒りだした面白いこともあった。
 議案は17件だが、実質的には15件、そして審議の型式としては4件だった。出席委員は25名中21名、そのうち市議委員が12名。
 発言者は6名のみ、そのうち市議委員は1名のみで、市議委員は相かわらず定足数充足要員でしかない。だから市議委員と会長がいれば、あとはいなくても審議会は成り立つ。
 
●羽沢南2丁目地区計画議案

 相鉄線が西谷駅から羽沢のJR貨物線につながる新線をつくり、横須賀線経由で東京都心に乗り入れをする工事をしている。
 更にそこから新線が分岐して、新横浜駅を経て東横線日吉駅から東横線経由で、東京都心に乗り入れるのだそうだ。開通したころはわたしはもう死んでいるのだろうか。
 その羽沢に新駅をつくるので、その駅と周辺開発の地区計画が今回の第1議題であった。土地面積は2.2ヘクタール、現況は空き地で地下を通る相鉄新線の工事ヤードであるから、たぶん相鉄かJRの所有地なのだろう。開発は簡単なことだ。



東横線や横須賀線につながる便利な位置だから、駅舎とともに商業施設と超高層共同住宅を建設する絵が出ている。
 この地区計画は全部が再開発等促進区だから、要するに現在の準工業地域で容積率200%のところを、容積率の緩和がほしいのである。ここでは譯反軍の区域を430%に緩和しているが、公共施設の持ち出しが少ない割には、2倍以上とは甘いなあ。

 相鉄としては、こんな郊外のバラ立ち住宅地駅前で超高層共同住宅ビルや商業施設を建てて、新線工事費を取り返そうとしているのだろうか。それとも郊外住宅地じゃない新市街地整備計画があるのか、あるなら見せてほしい。
 それにしても、三方を開発の余地のない市街化調整区域と広大な道路と鉄道の施設に囲まれた区域で、まるで細い半島の先っぽのような立地であるから、徒歩の駅勢圏人口は少ないし、これから増えそうもない。妙な立地の新駅である。
これを建築計画図というには、余りにもお粗末きわまる

都市計画としては、駅前広場や道路や公園などの公共施設の整備率が低いし、空き地だけを開発して、南東部の農地交じりのバラ立ち住宅地をほったらかしのままの、なんとも超スポット的な緩和だから、あまりたちが良い計画とは言えない。
地区計画には緑を盛りだくさんと書いているのに
この絵はそうは見えないと指摘した委員がいた
●審議会会長が怒りだした

 さて審議会の審議状況だが、この件で発言したのはたったの6人だった。環境がらみの質問では、周辺地区との関係はどのように考えるのかということだった。今の状況から将来はどう転換するのか、その時この開発との関係についての危惧である。
 都市計画事務局の答えは、なんともはっきりしないし、聞いてないことを言ってみたり、議案説明と同じことを繰り返したり、いくつかの質問に答えないままとか、いつものような有様だった。
 いつもまともに審議できない委員が、バカにされているのだろうか。

 ところが、鉄道新駅の乗降客数の予測についての質問が出たとき、市側の回答者が、開業時の予測値はこたえたのだが、それより先の予測値は無いと答えたのだった。
 これに対して審議会会長が突然怒った、「ないはずがない、鉄道新駅の設置の認可は、先々の予測をして営業計画をつけて提出するものだから、それが無いなんてことはありえない、いい加減なことを言うな」
 あ、そうだ、この会長の専門は交通土木だった。駅前広場がない問題も指摘していた。

 更に、先ほどの質問への回答しなかったことなどに触れて、「真面目に回答しなさい、そのような態度では、会長として責任を持てない、市議会でもそうのような答え方なのか」とまで言う。
 さらに続けて、「このまま原案通り可決というわけにはいかない。キチンとした回答が今できないなら、次回に的確な回答をだしてもらういことにして、今回は保留することもありうる」とも言ったのだった。
 さてヤジウマとしては、面白くなってきた。市側はさらに頼りない回答を誰かがしていた。
 業を煮やした会長が、「では、次回にきちんと回答するとして、それをもって良しとするという条件つきで、今回は原案通り可決でよいか」と提案して、そうなった。

 これでは形式論としては、否決にはならなかったから原案通り可決だろう。市当局としてはホッとしたことだろうが、ヤジウマとしては、つまらなかった。
 さて、これは議案を諮問した横浜市長が、都市計画審議会の会長に叱られたことになるのだが、このあとなにか起こるだろうか。まあ、部長は閉会後に会長に謝ったろうが、市長が謝りに行くだろうか。まあ、どうでもよろしいが。

●いつも形式的な横浜市の説明
 
 いつも思うのだが、横浜市の説明は、形式に過ぎる。この開発については、既に周辺地区を含めた構想が練られてきているというし、土地区画整理事業ですすめるともいうのだから、そのあたりを資料を出してきちんと説明したらどうですか。
 地区計画の法定図書を、飛ばし飛ばし読み上げるだけで事足れりのの姿勢だから、周辺地区との関係とか予測とかという重要な都市計画の説明がいい加減になっている。
 都市計画なんだから、もっと都市的な面からこの計画を位置づける仕事から説明してはどうですか。

 そもそも、この計画は地元からの要望があって作ったのだから、その具体的な地元の計画を見て地区計画を作ったはずである。
 そもそも地区計画のなかでも再開発等促進区という緩和型の都市計画は、具体的な開発計画をつくってから、それが都市環境として適切かつ良好であるという評価をし、その上でそれを地区計画という強制力のある計画に当てはめるものである。いわばその計画の外は禁止するといってもよい。
 その具体計画や評価についてきちんと公開して説明するべきである。もしそれがないままに地区計画を作ったなら、手続きとして体をなしていないことになる。
 審議会が要求しない(要求する能力がない)からとて、それをしないのは、手抜きである。

 この計画内容は実につまらないものである。空き地に下駄履きマンション建てるだけのことである。駅前整備なのに、車まわしの広場さえもない。公園もない。
 ここを起爆剤にして周辺市街地の整備をどのように進めるのか、ぜんぜん見せてくれないから、都市計画としてのたちが良くない。
 要するの駅前商業と駅前マンションを建てるだけのことである。緑がどうのこうのと書いてあるが、常識的なことばかりである。
 せっかくの新開発なのに、心躍るものが見えない。都市計画審議会を、心躍る期待できる計画のプレゼンテイションの場にしてほしいものだ。
 この後の第2議題も、なんだかよくわからないものだった。 (第2議題につづく

(追記 2016・01・27)
 横浜市都市計画審議会のサイトの、「第140回横浜市都市計画審議会審議結果等」のところに、「審議結果:議第1112号~議第1125号については可決されました。」とあって、そのつぎに、これまで見たことがない文句がある。
なお、議第1109号~議第1111号については、別途答申されます。
 この3議題とも、会長が怒った「羽沢南2丁目地区計画」のことである。これってなんのことだろうか?

参照:横浜ご近所探検隊:横浜都市計画審議会
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_19.html

2016/01/24

1167【言葉の酔時記】世の中は分らん言葉がいっぱい、マニフェスト、日本出身、STAP、挑戦、Akihito、警告、招待、いいね、一緒、など

【マニフェスト】
 アリャ~、「マニフェスト」って、政党の政策集というか、昔は公約って言ってたけど、あれは実は「廃棄物管理」のことだったのかあ、道理でなあ、、、う~む。


【日本出身】
 なんとまあ、相撲取りが「日本出身」とニュースになる時代なんだあ、この超伝統的日本スポーツが、いつのまにか超先進的国際スポーツになっていたんだなあ、そのうちに裸、褌、丁髷じゃなくなるだろうなあ。

【SMAP】
 ひごろTV見ないから、何のことかさっぱり分らないけど、なんにしても小保方さん、よかったね、この男たちが生かしてくれてたんだね、あの細胞を、、。


【挑戦】
「挑戦」とは、相手に戦いを挑んで倒すことである。どうやらアベサンは、「一億総活躍」も「地方創生」も、みんなぶち壊す気らしいと分かった、これじゃあ、マッチポンプ(政治家の得意なね)だよ、ではついでに「憲法改正」にも挑戦してぶち壊してくださいな。

【Akihito】
 誤訳だよ、朝日新聞さん。正しくは「明仁はしばしば 美智子妃を助手席に乗せて、、、」だよ。
 どうせ誤訳するなら、「畏れ多くも天皇陛下様にあらせられては、しばしば、お車の運転席に座し給いて、皇后陛下様をお隣の助手席にお乗せあそばされ、おんみずから御し給いつつ、御所の内を御幸なされるのでございます」としてはいかがですか。

【警告】
 横浜駅西口の川のほとりに、30年も前から立っている警察と市の「撤去警告」看板が健在。
 30年も警告し続けると、もう時効かと思うが、そうではないらしい。とうとう2016年1月末で、この警告対象の屋台群が消えるそうである。

【招待:face baka語
 face baka経由で、あるイベントへの「招待が届きました」とのこと、開いてみると参加費2000円、でも「招待」だから無料だろう。こいつは春から縁起がいいわい。
 と思って、そうFBに書きこんだら、教えてくれた人がいて、これは「ご案内が届きました」の誤訳であるとのこと。
 おい、face baka屋さんよ、早く訂正しなさいよ、無料と喜んで行って恥をかくところだったぞ。

【いいね!:face baka語
 face bakaではこのたび、「いいね!」なんて、失礼なタメクチを嫌いな、礼儀正しい人たちのために、新しいボタンを用意しました。

【一緒:face baka語
 「今どんな気持ち?」って、ヘンに馴れ馴れしいface bakaである。そこに「今の気持ち」なるものを書きこんだら、「伊達美徳さんは小泉秀樹さんと一緒です」と出てきた。
この「…さんと一緒」って、「側にいる」、「同居している」、「夫婦である」、「似ている」、「真似している」のうちの、どの意味なんだろうか。
 わたしと小泉さんは、どれにも当てはまらない。知らない人じゃないし畏敬するお方だからいいようなものの、face baka屋はどうして小泉さんを持ってきたのだろうか。
 これが例えば死んだ友人だったらどうするか、夏ならいいかもしれない。あるいは美しい若い女性なら大歓迎であるが、むなしい。
 あるいは「安倍晋三さんと一緒です」って出てきたらどうしようか、うえ~、あれと一緒にしてくれるなよ、、か、、。


2016/01/21

1166【横浜ご近所探検】都市計画決定から2年経っても動いてない大船駅前北地区再開発は「湘南の武蔵小杉」をもたらすか

 アレ、全然変わってないじゃん、大船駅前。
 今日のわたしの横浜ご近所探検隊出動目的は、ちょうど2年前の2014年1月に都市計画決定した横浜市側の大船駅北第2地区市街地再開発事業の工事が、そろそろ目に見える頃だろうと見物にやってきたのだ。

●横浜の鎌倉

 久しぶりに鎌倉に行ってきた。といっても、いま、県美閉館で騒いでいる、あの鎌倉じゃなくて、大船という“もう一つの鎌倉”である。
 大船は大船市だと思っている人も、かなりいるらしい。まあ、一般の鎌倉イメージからすれば、海はないし、古い寺社はないし、寺社と言えばあまりにも新しい鎌倉観音ぐらいなものだから、無理もない。アチラは旧鎌倉、コチラは新鎌倉。
 ところが鎌倉の大船といいつつも、実は鎌倉の大船駅前と横浜の大船駅前があるのだ。鎌倉の横浜である。
 細い川をJR大船駅がまたいでいるが、この川が鎌倉横浜市境であり、大船の街を南北に分けて流れる。北が横浜市、南が鎌倉市である。
横浜鎌倉市境の川の上にある大船駅、右が横浜

 久しぶりに大船駅北口に出る。ここは横浜市の大船である。この真ん前に超高層建築が建ちつつあるはず、、、と眺め見れども、アレ、無い。14年前にわたしが鎌倉を離れた頃と、なにも変わらない風景である。
 再開発の都市計画決定した地区をぐるりと回り、再開発で建て直すはずの大型店に入って、屋上から眺め下ろしても、なにもかわりはない。再開発地区内の建物は昔通りに立ち並び、人々もバスも昔のままに動いている。
右の大型店が建て替えられて超高層建築を背負っているはずだが、。
左の高いビルが大船駅北第1市街地再開発事業で完了している。

●都市計画決定から2年経ったけど再開発は

 ほう、都市計画決定後2年間経っても、未だにまったく動かずか。なにが起きているのだろうか。
 都市計画決定手続きのときに、権利者の反対の声があったのを押し切ったが、まだ説得できないままだろうか。それとも景気が良くないから、保留床を売る算段が成り立たないのだろうか。
 でも、今どきの再開発事業は、そのあたりを全て解決しておいてから都市計画決定にもちこみ、その後は一気に事業を進めるはずである。どうしたのか。
 それらの解決をさしおいて、都市計画決定を先行して失敗している例が、すぐ隣にあるのに、ここでもまたそれを繰り返えそうとしているのか。
 鎌倉市側の大船駅前再開発事業は1972年3月に都市計画決定した。だが駅寄りの半分だけ事業ができて、残り半分は手つかずである。おかげで仲通り商店街のにぎわいは、昔のままである。
横浜側の再開発決定の大型店ビル屋上から見る鎌倉側の再開発決定地。
左下から右上に市境の川が流、左向うが鎌倉市。右の白い箱が鎌倉駅北口。
左の縦に細い道が仲通り商店街、右の山の上に大船観音が顔を出している
左が横浜市側の大船駅前、右が鎌倉市側の大船駅前
いずれも黄色枠内がまだ事業ができない再開発決定地区
鎌倉側の大船駅前仲通り商店街

この大船駅の北隣りの戸塚駅前西口の再開発事業は一昨年にようやくでき上がったが、これとて最初の土地区画整理事業の都市計画決定から52年、再開発事業に変更してから20年もかかっている。
 鎌倉側の大船駅前もそうだが、都市計画決定が早すぎたというか、いいかげんであったというか、強権的であったというか、そういう行政主導都市計画時代のことだった。いまどきの住民参加時代の都市計画はそうはいかない。

 特に市街地再開発事業のような、住民が事業に財産を投じて事業を行うという住民参加の極のような都市計画事業は、かなり慎重に都市計画決定をするものだが、この横浜市側の都市計画決定はどうだったか。
 そこで思い出すのは、これを決めた2014年1月の横浜市都市計画審議会における審議である。わたしはその審議会を傍聴して、その傍聴記録を書いているので、いま読み返してみる。
 ふむ、イイカゲンな審議態度にけっこうイチャモン付けているなあ。そういえば、今月25日に横浜都計審だから、久しぶりに行ってみようかな、ちゃんと審議できるかな。

 なんにしても、わたしは実情を知らないから何とも言いようがないし、再開発に期待しているわけでもないヤジウマに過ぎないが、都市計画決定してもう2年、どうなってるんだろ?
  2年前の都市計画審議会では、事業の都市計画なのに、その事業性については全く審議しなかったからなあ、審議能力がなかったようだけどね。

●「湘南の武蔵小杉」になるかも

 ところで、横浜側の駅前にある再開発で建替えられて店舗ビルの屋上に上がって、東を眺めると、大船の街は高層建築が意外に少ない。
 旧鎌倉地区は厳しい開発抑制があるから、鎌倉ブランドの共同住宅(マンションのこと)は大船側にたくさん立つだろうと思うのだが、そうでもないらしい。大船の街の鎌倉側は、昔の住宅開発地だから、土地が細分化されているので、大規模なビルを建てにくいのだろう。

 だが、横浜側の大船を見ると、こちらは大規模な工場地帯である。もともと大船のあたりは鎌倉側の駅前の住宅地をのほかは、戦前は工場地帯であったから、それが今も続いているのである。
 資生堂などの優良企業であるらしいが、もしもそれらがどこかに移るとか廃業するとかしたら、巨大な土地が出る。
 そうなると、連想するのは川崎の武蔵小杉である。大船もあのような超高層共同住宅群が林立する街になるかもしれない。
 再開発でできる超高層住宅共同ビル(いわゆるマンションのこと)が、その起爆剤となるのかもしれない。そうなると大船の街のキャッチフレーズは「湘南の武蔵小杉」、な~んて。

 そうだ重要なことを思いだした。
 旧鎌倉のほとんどは、もうすぐやってくる東南海トラフ地震の津波で壊滅する運命が待ち構えているから、この新鎌倉湘南の武蔵小杉に、早く引っ越す方がいいかもしれません。
左が横浜側工場地区、右が鎌倉側市街地
大船駅の東側の市街地現況
大船駅北地区再開発完成予想図


参照:
■2014/01/25「大船駅前再開発議案をまじめに審議していないぞ
■2014/01・28「最低でもこれくらいの審議は必要なんだけどなあ
■外から鎌倉を診る:大船・もうひとつの鎌倉(2007)

2016/01/18

1165【五輪騒動長屋談議】新国立競技場ザハ・ハディド案を素人首相が突然白紙撤回する判断を何故できたのか未だに分らない

熊五郎:こんちわ~、ご隠居。寒いですねえ。
ご隠居:おや熊さん、いらっしゃい。うん、ようやく冬らしくなってきたねえ。
:でね、また、例の新国立競技場のことなんですがね。
:またその話かい、もう飽きたねえ。AKB48に決まっちまったことだし。
:なんでAKBが出てくるんです?
:あ、ちがった、AKTだったな、梓・隈・大成チーム。
:な~んだ、でもねえ、ここまで来ても、ずっと腑に落ちないことがあるんですよ。
:そりゃ、まあ、質じゃなくて「安かろう、早かろう」って、ファストフード流決め方だったから、腑に落ちないねえ。

:いや、それもあるけど、ずっと前から気になってるのは、なんで安倍首相はいきなり白紙撤回って言い出したのかってことですよ。
:ああ、そうだな、例の第3者委員会報告も、どういうわけかこれにはアンタッチャブルで、どうして超高額工事費になったか、そればかりだったな。まあ、超高額になってボロクソに叩かれたので、安倍内閣人気挽回策だろう。
:でもねえ、ワンマン社長じゃないんですよ、どこかの独裁国じゃないんですよ、民主主義国の総理たるもの、そんなことエイヤッと言えないでしょ。誰か裏で知恵付ける人がいたに違いないと思うんですよ。
:そりゃ政治の世界だから、裏だらけだろうよ。

:だからその裏は誰なんだろうと思うんですよ。馬鹿でかいし、高度に技術的な建物でしょ、しかも設計は終わって、もう工事にかかってた。なのに、あっと言う間に白紙に戻して、またやり直しても安くなってしかもオリンピックに間に合うって判断、こんなこと素人の総理大臣にできっこないでしょ。
:もちろん技術官僚にも無理、ってことは、どこか大どころのゼネコンが安い早い案を作って、これならいけますよって、裏から首相に工作していたってことかい。
:まあ、そう言ってしまっては赤新聞になりますが、そうとしか考えられませんよね。
:そういえば、やり直しプロポーザルの条件に、工事費の上限を1550億円とするってあったけど、ゼネコンならできるな。
:カネメでここまで問題になってるんだから、イイカゲンな金額に設定はできない世の中の雰囲気でしたからね。それに工期だって絶対に伸ばせない。
:だとしたら、いったん設計してみないことにはカネメも工期も出せない、しかしそれをやるには膨大な時間とカネがかかる。

:ところがカネも時間もかけなくても、それをできる人たちがいたんですね、ザハ・ハディド案をもとに設計をして工事を始めていた企業ですよ。
:そう、そうだな、彼らならいちからやらなくても、現にやっている仕事をアレンジすればいいんだからね。それなら工事費1550億円以下で、工期も間に合うって見込みが立つ案を簡単に作れたはずだな。
:さて、ではそれを作って裏から首相に白紙撤回をさせたのは、いったい誰なんでしょうかねえ、それは、たぶん……。
:待った、それは言わない方がいいよ、赤新聞になっちまうからね。ここんところは小説にして書くしかないな。
:それにしても、はなから1550億円と分っての入札同然のゼネコンのプロポーザルなんて、要するに言い値でまかせたってことですかね。普通に入札にすればもっと安かったかも。
:とすると、3000億円なんて一時言ってたのは、マスコミに高い高いって言わせて世論誘導して、白紙撤回を正当化するための高等戦術だったのかなあ。
:で、プロポに応募したのも既にやってた企業たちでしたでしょ。
:う~む、そうだったな。当選企業は2度の支払い受けるんだ、しかも税金原資の。

:でもね、これでもなぜ白紙撤回したのか、本質は分かりませんね。高いってのなら設計変更して安くすればいいでしょうに、それじゃあザハ・ハディドが承知しなかったんですかねえ。でもJSCは説得できない、文科大臣もできない、しょうがないから首相を首切り役にしたんですかね。
:でもねえ、カネメだけでの首切りだったんだろうか。それに、一方的な首切りは揉めると分ってるよなあ、それでもやったのかね。現にザハ・ハディドは大成チーム計画は白紙になった自分の案の剽窃である、てなことを言ってるらしいよ。
:そうそう、そこんところは、日本では知的財産権について甘いからなあ。ネットには、大成チーム案とザハ案との似ている点を詳しく見せているサイトがあり、なんだか例のエンブレム騒ぎの感じですよ。
:大成チームの建築家の隈さんが記者会見して、いや似てないとか、同じ機能だからどうしても似てしまうとか、妙なこと言ってるよ。これまで日本人の当事者建築家が誰も表に顔を出さなかったけど、隈さんが初めてだな。
:まあ、大成も梓設計もザハ・ハディド案をとことん知っているので、新プロポーザルもその延長上にあるとでも思い、ついつい似てしまうったのかもなあ。隈さんじゃなくて、梓設計が出てきてしゃべるべきですよね。
:ザハ・ハディドってメンドクサイ建築家を首切ったのに、こんども隈研吾って有名建築家を入れたのはなぜなんだろ。
:へへ、クマのことはクマにおまかせを、、たぶん、隈って建築家は、ザハ・ハディドと違って柔軟な態度の人なんでしょうね、悪く言えばご都合主義でどうにでもなる。伊東豊雄も前のコンペに応募落選したら、槙さんの尻馬に乗って新案を提案したり、柔軟というか日和見な人ですね。

:なんでもイギリスのメディアによると、JSCはザハ・ハディドに残金をほしいなら知的財産権を放棄して以後文句を言うなって申し入れして、ザハ・ハディドがそれを拒否したらしいな。
:おやおや、あらかじめザハ・ハディドに因果を含めておいてから、白紙撤回をしたんじゃないんですねえ、甘いなあ。
:まあ、なんだねえ、こうやっていろいろ揉めると、こちとら庶民は何の関係もないから、ただただ面白がって知的娯楽になって、年寄りにはボケ進行遅延策になるし、これからもどんどん揉めてほしいよな。
:この一連の事件は、安倍内閣による高齢者福祉対策なんですよ、たぶん。
:それにしちゃ、金がかかり過ぎだよ、オリンピックも要らないから1兆円ほど、われら貧乏高齢者に直接支払してもらいたいなあ。

参照●五輪騒動:新国立競技場と外苑都市計画に関する論考集(まちもり散人)

2016/01/13

1164【横浜ご近所探検】横浜駅西口地区で60年以上も生きる飲み屋の屋台群と20年で消えた東急ハンズの大規模建築


●20年で消えた大型店舗ビル

 久しぶりに横浜駅西口地区をぶらぶら、駅ビルが消えて、ただ今再建工事中。横浜駅は永遠に工事中である。
 ひょいと思い出して、東急ハンズの跡がどうなったか、行ってみることにした。東急ハンズは、今は西口駅前のビル内にあるが、その前はパルナードという商店街の先の方にあって、2013年に駅前に移転したのだった。

 それまでのハンズの店は、専用の7階建てくらいのけっこう大きなビルだった。全階がスキップフロアーという、ハンズのために設計したらしい独特な作りになっていた。ハンズ撤退跡のそのビルはどう使われているか興味がある。
 駅前からパルナードを歩いて行くが、はて、目指すあたりにハンズ跡のビルが見えない、大きな空き地の駐車場に出くわして、あ、ここだったなあ、おやまあ、ビルは消えている。ここで商店街が途切れてしまった。

 え、ハンズがここに建ったのはそう昔じゃないよなあ(今ネットで調べたら1990年)、しかもけっこう大きなビルだったよ、それが壊されたととはねえ、定期借地契約だったのかね。
 それにしても、もったいない。


この左角にハンズがあったハズだが、、

ハンズはこんなビルだった

●60年を超えて生き残る屋台群

 あんなに大きな新しいビルでも壊されるのだなあ、それならば、そうだ、あれはどうなったかなあ。
 西口地区内では、大昔からこれこそ壊されてしまう第一番の候補となっている建物群があることを思いだした。
 新田間川のほとりにある飲み屋の屋台群である。こちらはハンズと違って、超小さな小屋が建ち並んでおり、多分、1950年代からある古いものだ。
 
 おお、あるある、それなりにまだ健在だ。昼間見るとみすぼらしく、懐かしい風景で立ち並んでいる。
 法的には公道の不法使用なので、強制的に撤去するとか、しないとか、昔からときどき話題になりつつも、どうやら営業は続いているらしい。ところどころに歯抜けに金網囲いなっているのは、撤去跡だろう。

 昔から立っている警察と市の「警告」看板も健在である。昭和63年と書いてあるから30年弱、屋台は、多分、そのずっと前の戦争直後からからだろうから、60年以上も経っているのだろう。 
 ここまで来ると文化財級かもしれない。撤去しても、どこかにこれらの屋台を持って行って営業を続ける、なんて策もあるかもしれない。




●決定から45年経っても動かない再開発都市計画事業

 それで思い出したのが、野毛の都橋商店街である。1964年、野毛の道路上で営業していた露店群を、都橋そばの堤防の上に建てた2階建てビルに移して、今は都橋商店街となっているのだ。
 東京オリンピックで外国人がやって来るとはずかしいからとての超法規的措置だった、というから、なんとも面白い。
 今しも2020年オリピックが来る時でもあるし、西口地区の屋台でも、背後の新田間川堤防の上に、同じようなことをやったらどうですかね。あ、もしかして東京あたりでは、超法規的な措置がおきつつあるかもなあ、でも時代が違うか、。
道路と堤防の上に建って大岡川の上にせり出す都橋商店街

 もっとも、このあたりは横浜駅西口地区市街地再開発事業の予定地だから、その再開発に合わせて屋台群も整備する計画があるのかもしれない。
 横浜駅に接している地区なのに、このあたりだけが奇妙に低層建築ばかりであるのは、都市再開発法による市街地再開発事業の都市計画決定(1970年)をしているので、大規模建築を禁止されているからだ。
 もしかしてこの未成の再開発事業都市計画決定は、日本最古かもしれない。そのことも文化的価値があるかもなあ。
45年も予定のままの西口再開発予定地の駅前低層建築群

再開発予定地区内
20年で消えてしまった大規模商業ビルとの対比で、この再開発予定地区のオンボロ低層建物群や屋台群を考えると、なんとも奇妙なものである。
 再開発事業とは街を大きく変化させるための都市計画の仕掛けだが、いつまでたっても実現しない再開発なものだから、都市計画が街の変化にストップをかけているという、なんとも皮肉な現象である。そういえば、鎌倉の大船駅前のあたりもそうだなあ。

(2016・01・19追記)
え~っ、ついに消えるのかあ、今月限りって、知らなかったなあ、。


●参照「横浜ご近所探検隊が行く
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_19.html
 

2016/01/12

1163【終活ゴッコ】去年から所持品を処分する作業に凝っていて次第に面白くなってきたが最後にわが身の処分をどうするかなあ

 昨年は蔵書をあちこちに押し付けて、約1000冊くらいは処分した。まだ1000冊はありそうだ。ことしの仕事である。蔵書の処分は、これまで何度もやってきて、ようやくここまで到達した。

 父の遺品類は、大物の岡山の空き家を売却処分、小物のあれこれは息子に一部を押し付け、カメラ類は廃棄したが、写真アルバム13冊に悩んだ。
 大正期の尋常小学校時代から各学校卒業写真、日中戦争の現場写真、父の父から父の孫まで顔写真、たぶん1000枚以上あるだろう。弟も息子も要らないという。
 いくつかはデジタル化したが、きれいさっぱり捨てた。
父の遺品の写真アルバム類
父の遺品カメラと、わたしの“遺品”カメラ類

わたしの収集したセットテープも捨てた。能楽堂でひそかに録音した能演奏、野村四郎師指導のわたしの謡の稽古の録音、仕事がらみの録音、外国旅行の街で拾った音など、数百本あったのを、エイヤッと燃えるゴミに出した。
 山口文象研究関係のテープ5本(山口文象、前川國男、猪熊弦一郎が語る声)は、RIAの山口文象資料として引き取ってもらった。

 さて次は何を捨てようかなあ、本がまだあるなあ、それよりも思案は最後に粗大ごみのわが身をどう処分するか、それが問題だ。

2016/01/11

1162【Edge of Eternitey】もう本を買わないと決めたのについ買った本、英文千ページでボケ防止効果あるはずと言い訳けする

 さてさて、ちょっとはボケ進行遅延策になっただろうか。
 1000ページもの厚い本、しかも英文を、30日ほどで読み終えたのだ。いや、なに、三文小説である。
 イギリスの作家、Ken Follett作「Edge of Eternitey」、ペーパーバック版で1149ページ、辞書並みの厚さである。
 こういう三文小説は寝転んで読むに限るのだが、腕が疲れるのでカッターで3分冊に切り分けた。

 3年ほど前から、本なら捨てるほど売るほど本棚にあるので、もう本を買わない、うちの本は人さまにさしあげるためにあると決めたのに、昨年11月に代官山のツタヤに久しぶりに行ったら、これがおいてあって、うっかり買ってしまったのだった。
 うっかりとはいえ買ったのは、この「Edge of Eternitey」が、Ken Fllettによる「The Century trilogy」シリーズの第3巻であり、じつは先行する第1巻「Fall of Giants」と第2巻「Winter of the World」を読んだので、その続きだからなあとレジに持って行ってしまったのだ。
第1巻                     第2巻、第3巻
  家に帰って取りだして、あ、また本を買っちまったと後悔した。
 で、言い訳を考えたのが、分厚い英文の本だからボケ進行遅延になる、ということである。まあ、3文小説でも英文ならばそれなりにいつもと違う頭を使うから、それなりの効果はあるに違いない。

 このシリーズの第1巻「Fall of Giants」を市立図書館で借りて読んだのが、2011年11月のことであった。ハードカバー本985ページを読み終えるのに20日間かかった。
 ドイツ、イギリス、ロシアの3つの家族が、アメリカにも展開しての壮大な歴史ロマンフィクション大河小説である。

 面白かったので、次の第2巻「Winter of the World」を図書館がいつ買うか待っていたが、近ごろ財政難で本を買わないので、ペーパーバック版を2014年2月に買って読んだ。890ページもある。
 実はこのときももう本は買わないと決めていたのに、うっかり買ってしまったのだった。第1巻の面白さにひきづられた。これも面白かったので1月ほどかけて読んだ。
 
 2015年秋に第3巻「Edge of Eternitey」がでたが、図書館に期待できない。わたしも財政難だし、本は捨てるほど本棚にあるのに、またフラフラと買ったというわけである。
 実は、買わないと決めていた理由は他にもあった。このシリーズ三部作の第1巻は第1次世界大戦が、第2巻は第2次世界大戦が、それぞれ中心になる近代史フィクションなのだが、第3巻は東西冷戦時代の現代史の世界である。
 わたしはこれまでにFolletの小説のほぼ全部を読んだはずだが、歴史物小説は例外なく面白いのだが、現代ものはどうも今ひとつのものが多いからだ。
 
 では第3巻を読んでどうであったか。
 なにしろ登場人物がものすごく多いし、物語の舞台が世界のあちこちに飛ぶので、読んでいて頭が忙しく、ボケ進行がちょっとは止まったかもしれない。
 ただ、こういう三文小説の常で、善玉と悪玉が明確に分けられているから、その点は頭のこんがらかりは少ない。

 現代史となると、わたしのような年寄りには、事実を同時進行で知っていて、結果が分っているネタバレ状態なので、よほど上手にフィクション処理してくれないと、面白みに欠けることになる。
 さすがにFlletともなると、あれこれ手練手管が上手いことは上手いが、わたしが事実を同時進行ほどにはあまり知らないで読んだ前2巻と比べると、興味が続きにくいのは仕方がない。
 その点、若い人なら冷戦世界の歴史を同時進行で知らないから、興味深く読むことができるかもしれない。

 なお、日本語訳本は、第1巻が「巨人たちの落日」、第2巻が「凍てつく世界」の題名で、ソフトバンク文庫で出版されている。

参照⇒http://datey.blogspot.jp/2011/11/535.html

2016/01/04

1161【横浜ご近所探検】2016年横浜港の喧騒なる年越し風景と大通公園で孤独野宿男の年越し風景

 久しぶりに、大みそかの真夜中に、息子と二人で外出した。生れが生れなので(生家は神社)、初詣の趣味は全くない。ちょっと港あたりの年越し風景見物である。
 いつも年越しの港の汽笛をうちで聞くだけなのを、今年は港で聞いてみるかと思ったのだ。


2016年1月1日午前0時0分の遠花火
 横浜港の象の鼻から赤レンガ倉庫あたりをぶらぶら、大勢の人たちがやってきている。年越しのカウントダウン花火をチラと見て、なりひびく汽笛を聴く。
 もう帰ろうと馬車道を歩けば、なんといろいろな店が開店しているのに驚く。居酒屋、コンビニ、ファストフード、カラオケ、なんだか安っぽい店ばかり、こうやって年越しで働く人たちが大勢いるんだ。

 ちょっと一杯やっていくかと、沖縄居酒屋に入った。わたしたちのほかには誰も客がいない。朝の5時までやるそうだ。
 古酒とソーミンチャンプルーで温まって店を出ると、もう1月1日午前0時半ごろになっている。

 人影のないさびしい大通り公園を歩けば、公園の真ん中に街路灯の下に野宿男が一人、石とタイル張りの冷たい床に座り込んで、まわりをたくさんのビニル袋入り荷物群で囲い、ぽかんと寒空を見上げて年越しする姿に出会った。
 ついさきほどまで、港あたりではカウントダウン花火で、大勢の人たちが幸せそうに寄り集まっていた風景と、ここの風景との落差になんだか寒くなってきた。そう、あれはオレかもしれぬ。