2019/10/25

1424【横浜徘徊:サクラとモミジ・1】桜木町駅から東横線廃線跡遊歩道は登って直ぐ降りる純粋高架

 
秋晴れの日にご近所徘徊探検に出た。さてどこに行こうか、そうだ桜木町から紅葉坂を登って、県立音楽堂や横浜能楽堂あたりに行って見よう。
 桜木町辺りの元東横線高架の再活用が始まったり、紅葉ヶ丘に登る紅葉坂の紅葉並木の整備されたとか、紅葉ヶ丘の文化施設群の環境再整備もできたとかなので、さてどんなことになったのか観に行ってやろう。
探検予定は、桜木町駅→A東横線跡高架→B紅葉坂
→C紅葉ヶ丘県立音楽堂→D横浜能楽堂掃部山公園

●桜木町辺り元東横線高架の活用

 地下鉄の桜木町駅で下車、地上に出てJR桜木町駅の山側、つまりMM21地区でないほうの国道16号をブラブラと紅葉坂登り口を目指して北に歩く。
 JR桜木町駅に最近らしいが新しく北改札口ができた。昔は山側が表だったのに、海側のMM開発でずいぶん長い間、海側だけが表の感じだったが、ようやく山側にも商業施設ができて、海側ほど広くはないが駅前歩行者広場も整備された。
JR桜木町駅に北口ができた

JR桜木町駅に西口駅前広場ができた

 この広場のところが、かつて東急東横線の桜木町終点駅だったと思い出す。
 広場と国道との境に妙なコンクリート構造物が立っている。昔はこの構造物と今のJR駅の高架との間に土が盛ってあり、その上に東横線桜木町駅があったのだった。コンクリ構造物は国道の歩道の上にかぶさっているが、10年くらい前までは、この歩道沿いの壁が落書きアートの聖地だった。
 この長~いポルティコが今も使われているのが、なかなかよろしい。
東横線高架構造物は土木遺産

 その東横線桜木町駅跡地がこの駅前広場らしい。中途半端なデザインで、ちょろちょろと植栽があるが、もっと木陰を欲しい。夏は暑くてしょうがない。
 そうだ、桜木町の名にちなんで、桜の木をたくさん植えてほしい、桜の林にしてはどうですか。

 東横線の桜木町駅が、MM線に乗っ取られて2004年に消えて以来、廃線跡の高架は長く放置されていたが、最近になって横浜市が買い取った?らしく、その高架の上を遊歩道にしようと整備を始めたと聞いた。横浜駅の北の地下化した反町あたりがフラワー道路とか言って、遊歩道になっているが、ここもそのようにするのだろうか。
 
JR桜木町駅西口広場の北の方に坂道が見える
広場の向こうを眺めると坂道が見える。あそこから線路があった高架の上面に登るらしい。あの坂道にも桜の木を植えてほしいものだ。そう、桜木坂とか言ってね。 
 今日の目的地はこの桜木坂の次は紅葉坂を登って、紅葉ヶ丘まで行くのだ。桜から紅葉である。標高差20m分の海岸段丘を登る急な紅葉坂は、老人にはけっこう苦労する。
 だが、あの高架への坂道を登ると、そこから紅葉坂の途中に取り付く新しい歩道橋ができているに違いない。これで坂登りがいくぶんかは楽になるぞと期待が膨らむ。
坂を登って高架の上に行く

坂を登り線路跡の高架の上で北を見る

振り返って南の方を見る、ここが桜木町駅だったのか

さて高架の上に出たが、おや、昼休みの時間なのに誰も通っていない、灰色のコンクリ床が北に延びてガラ~ンとしている。一部に花の植込みがあるが、基本的は何もない。夏は暑いだろうなあ。
 電車の線路も砂利も撤去されている。きれいさっぱりしていて、なかなかよろしい。いかにも廃線高架の感じがだが、きれいさっぱりすぎて拍子抜けする。
 アーチ橋が架かっているが、これは鉄道橋梁を架け替えているのを見たことがあるから、新しい橋だろう。橋の下は紅葉坂の登り口である。

橋の上から紅葉坂方面を見るが、坂の途中への歩道橋はないらしい
橋の上から紅葉坂を眺めたが、期待していた坂の途中とつなげる歩道橋の気配は一向に見えない。架けようとする用意のなにかも見えない。
 ここから国道16号を越えて、向うに見える桜川新道の上に架かる紅葉橋が同じくらいの高さだから、橋の上から橋の上までデッキをかけてくれると、大いに助かるのになあ、その内にできるかなあ、わたしの人生に間に合うかなあ。
高架の上から紅葉坂に幻想の橋を架けてみた
 
橋を渡れば待つのは鉄柵、右の階段を下に降りるだけ
しょうがないから橋を渡って北に進めば、あれまあ、高架は続いているが鉄格子のバリアー登場、下に降りる階段も登場して、これで遊歩高架橋はオシマイ、高架区間は20mくらいかなあ、結局ここで下に降りるしかない。
 なんのためにわたしは登ってきたのかしら、動機は別だったが、まあ、結果は高架に登るために高架に登ってきたのだから、われながら純粋な行動であった。
 あ、そうだ、こういう時は赤瀬川源平なら「純粋高架」と名付けるだろうな。念のため付記すると、赤瀬川は「純粋階段」や「純粋トンネル」を発見した路上観察学会のリーダーであった。
ススキとセイタカアワダチソウ(鉄道草)の良い雰囲気

 それにしても飾り気のないさっぱりした高架だった。これから開放するであろう更に北の方を眺めると、左半分はコンクリ床、右半分は草ぼうぼうであるのは、右半分が土盛りであるからだろう。
 セイタカアワダチソウとススキが繁るのは、廃線風情に満ちた風景でなかなかよろしい。そうだ、このまま開放してほしい。恐縮ながらせっかく整備した高架上よりも、こちらの方が廃線跡の空気に満ちる歴史的景観を備えていて、ここを電車で通勤した身には、実に感慨深い。
ススキを分けて幻想の電車がやって来る
へんに植込みや小屋など置いて媚びたデザインするよりは、このままがはるかによろしい。土盛り部分の植生が、年月とともにだんだんと自然遷移してくのを楽しみたい。そのうちに樹木が生えてくるだろう。
 え、それじゃああまりに寂しいかい?、そうか、ならば草むらの中に、地名にちなんで桜の木を植えてはいかがかな。ちょうど紅葉坂がそばだし、そうだ、サクラとモミジで花札だな、近いうちに横浜はギャンブル都市に立候補らしいから、時宜にあっているかも。

階段を下りて紅葉坂交差点に

 しょうがないからここから階段を下りて、紅葉坂交差点の国道16号を西に渡る。その向うの桜川新道を立体交差して架かる紅葉橋へ、そして紅葉坂へと登って行く。
 ドッコイショ、ドッコイショ、高架上から紅葉橋上に橋をかけてほしい。
国道16号の紅葉坂交差点から紅葉橋へと坂を登る

(2「紅葉坂を登る」につづく)

2019/10/23

1423日本王権継承儀式の場の空間構成のチープさに驚いた

 昨日(2019年10月22日)は夕刊が来ない。何故かと聞いたら、なんと祝日であるからだそうだ。
 え、10月の体育の日は過ぎたし、文化の日は11月だよなあ、ヘンだな、オレもようやく年齢にふさわしく、ついにボケることができたかと思った。
 聞けば、日本王権が代替わりになる継承儀式するので、特別に祝日にしたのだそうだ。ボケたのはオレじゃなくて、世間のほうであったかと、ガッカリ。テレビ見ないから世間の一大事を知らない。
 
 今朝の朝日新聞は1、2、3、13、23面とデカデカとその儀式記事で、ラグビーで日本組が勝った記事なみである。わたしとしてはどちらも紙屑をたくさん配達されて、新聞代返せと嘆くばかり。
 テレビを全く見ないし、王にもその一族にもまったく興味ないし、王制不要(むしろ有害)と思っているから、儀式の様子を知らなかったが、今朝の新聞で見た儀式場面の写真に驚いた。

 これって、どこかの小学校の体育館で、雛祭りか神社祭礼の神輿イベントを、秋の学芸会(文化祭)やっているのだろうか。とても王権儀式の空間に見えない。
 へえ~、わざわざ日本全部を休みにしてやったイベントは、このようにチープな空間で行ったのかあ、空間構成がいかにも幼稚というか、ヘンだよなあ、いや、儀式内容を知らないけど、この写真を見ての空間構成デザインを言っているのだ。

 体育館に据える安物神輿、いや、御殿広間に据える古代(近世か)模倣の王権の座は、それだけ独立して見ればいかにも伝統的な代物だろうが、この空間に据えると雛祭りの安物段飾りそのものである。
 誤解されないように書いておくが、わたしはこの体育館、じゃない、松の間を日光東照宮のように、あるいはベルサイユ宮殿のように、飾り立てろと言っているのではないよ、空間の大きさというか、しつらえのプロポーションというか、新旧の取り合いというか、そのあたりがなんともオカシイと言っているのだ。

 驚いたねえ、だって「象徴」としてのその権威づけ儀式の大仰なる動機と、このプアなしつらえのギャップの大きさが、なんともいえない空疎感に満ちているんだもの。
 そしてなんだかホッとしたなあ、権威の継承がこんな空間で行われるというチープさが、実は権威を失っている象徴かもしれないと、権威嫌いのわたしは思うのである。

 王権継承のもっとも核心となる伝統的な大嘗祭は、その秘儀を行うために大嘗宮を古代(中世か)からの伝統にのっとって新築しているようだ。
 王個人にとっては、こちらの秘儀こそが本番であろうが、その空間構成も秘密なので見ることができないのが残念である。
 わたしは現代の王には興味ないが、その制度の歴史には大いに興味があるのだ。