議案は17件だが、実質的には15件、そして審議の型式としては4件だった。出席委員は25名中21名、そのうち市議委員が12名。
発言者は6名のみ、そのうち市議委員は1名のみで、市議委員は相かわらず定足数充足要員でしかない。だから市議委員と会長がいれば、あとはいなくても審議会は成り立つ。
●羽沢南2丁目地区計画議案
相鉄線が西谷駅から羽沢のJR貨物線につながる新線をつくり、横須賀線経由で東京都心に乗り入れをする工事をしている。
更にそこから新線が分岐して、新横浜駅を経て東横線日吉駅から東横線経由で、東京都心に乗り入れるのだそうだ。開通したころはわたしはもう死んでいるのだろうか。
その羽沢に新駅をつくるので、その駅と周辺開発の地区計画が今回の第1議題であった。土地面積は2.2ヘクタール、現況は空き地で地下を通る相鉄新線の工事ヤードであるから、たぶん相鉄かJRの所有地なのだろう。開発は簡単なことだ。
この地区計画は全部が再開発等促進区だから、要するに現在の準工業地域で容積率200%のところを、容積率の緩和がほしいのである。ここでは譯反軍の区域を430%に緩和しているが、公共施設の持ち出しが少ない割には、2倍以上とは甘いなあ。
相鉄としては、こんな郊外のバラ立ち住宅地駅前で超高層共同住宅ビルや商業施設を建てて、新線工事費を取り返そうとしているのだろうか。それとも郊外住宅地じゃない新市街地整備計画があるのか、あるなら見せてほしい。
それにしても、三方を開発の余地のない市街化調整区域と広大な道路と鉄道の施設に囲まれた区域で、まるで細い半島の先っぽのような立地であるから、徒歩の駅勢圏人口は少ないし、これから増えそうもない。妙な立地の新駅である。
これを建築計画図というには、余りにもお粗末きわまる |
地区計画には緑を盛りだくさんと書いているのに この絵はそうは見えないと指摘した委員がいた |
さて審議会の審議状況だが、この件で発言したのはたったの6人だった。環境がらみの質問では、周辺地区との関係はどのように考えるのかということだった。今の状況から将来はどう転換するのか、その時この開発との関係についての危惧である。
都市計画事務局の答えは、なんともはっきりしないし、聞いてないことを言ってみたり、議案説明と同じことを繰り返したり、いくつかの質問に答えないままとか、いつものような有様だった。
いつもまともに審議できない委員が、バカにされているのだろうか。
ところが、鉄道新駅の乗降客数の予測についての質問が出たとき、市側の回答者が、開業時の予測値はこたえたのだが、それより先の予測値は無いと答えたのだった。
これに対して審議会会長が突然怒った、「ないはずがない、鉄道新駅の設置の認可は、先々の予測をして営業計画をつけて提出するものだから、それが無いなんてことはありえない、いい加減なことを言うな」
あ、そうだ、この会長の専門は交通土木だった。駅前広場がない問題も指摘していた。
更に、先ほどの質問への回答しなかったことなどに触れて、「真面目に回答しなさい、そのような態度では、会長として責任を持てない、市議会でもそうのような答え方なのか」とまで言う。
さらに続けて、「このまま原案通り可決というわけにはいかない。キチンとした回答が今できないなら、次回に的確な回答をだしてもらういことにして、今回は保留することもありうる」とも言ったのだった。
さてヤジウマとしては、面白くなってきた。市側はさらに頼りない回答を誰かがしていた。
業を煮やした会長が、「では、次回にきちんと回答するとして、それをもって良しとするという条件つきで、今回は原案通り可決でよいか」と提案して、そうなった。
これでは形式論としては、否決にはならなかったから原案通り可決だろう。市当局としてはホッとしたことだろうが、ヤジウマとしては、つまらなかった。
さて、これは議案を諮問した横浜市長が、都市計画審議会の会長に叱られたことになるのだが、このあとなにか起こるだろうか。まあ、部長は閉会後に会長に謝ったろうが、市長が謝りに行くだろうか。まあ、どうでもよろしいが。
●いつも形式的な横浜市の説明
いつも思うのだが、横浜市の説明は、形式に過ぎる。この開発については、既に周辺地区を含めた構想が練られてきているというし、土地区画整理事業ですすめるともいうのだから、そのあたりを資料を出してきちんと説明したらどうですか。
地区計画の法定図書を、飛ばし飛ばし読み上げるだけで事足れりのの姿勢だから、周辺地区との関係とか予測とかという重要な都市計画の説明がいい加減になっている。
都市計画なんだから、もっと都市的な面からこの計画を位置づける仕事から説明してはどうですか。
そもそも、この計画は地元からの要望があって作ったのだから、その具体的な地元の計画を見て地区計画を作ったはずである。
そもそも地区計画のなかでも再開発等促進区という緩和型の都市計画は、具体的な開発計画をつくってから、それが都市環境として適切かつ良好であるという評価をし、その上でそれを地区計画という強制力のある計画に当てはめるものである。いわばその計画の外は禁止するといってもよい。
その具体計画や評価についてきちんと公開して説明するべきである。もしそれがないままに地区計画を作ったなら、手続きとして体をなしていないことになる。
審議会が要求しない(要求する能力がない)からとて、それをしないのは、手抜きである。
この計画内容は実につまらないものである。空き地に下駄履きマンション建てるだけのことである。駅前整備なのに、車まわしの広場さえもない。公園もない。
ここを起爆剤にして周辺市街地の整備をどのように進めるのか、ぜんぜん見せてくれないから、都市計画としてのたちが良くない。
要するの駅前商業と駅前マンションを建てるだけのことである。緑がどうのこうのと書いてあるが、常識的なことばかりである。
せっかくの新開発なのに、心躍るものが見えない。都市計画審議会を、心躍る期待できる計画のプレゼンテイションの場にしてほしいものだ。
この後の第2議題も、なんだかよくわからないものだった。 (第2議題につづく)
(追記 2016・01・27)
横浜市都市計画審議会のサイトの、「第140回横浜市都市計画審議会審議結果等」のところに、「審議結果:議第1112号~議第1125号については可決されました。」とあって、そのつぎに、これまで見たことがない文句がある。
「なお、議第1109号~議第1111号については、別途答申されます。」
この3議題とも、会長が怒った「羽沢南2丁目地区計画」のことである。これってなんのことだろうか?
参照:横浜ご近所探検隊:横浜都市計画審議会
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_19.html
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