ご隠居:おや熊さん、いらっしゃい。うん、ようやく冬らしくなってきたねえ。
熊:でね、また、例の新国立競技場のことなんですがね。
隠:またその話かい、もう飽きたねえ。AKB48に決まっちまったことだし。
熊:なんでAKBが出てくるんです?
隠:あ、ちがった、AKTだったな、梓・隈・大成チーム。
熊:な~んだ、でもねえ、ここまで来ても、ずっと腑に落ちないことがあるんですよ。
隠:そりゃ、まあ、質じゃなくて「安かろう、早かろう」って、ファストフード流決め方だったから、腑に落ちないねえ。
熊:いや、それもあるけど、ずっと前から気になってるのは、なんで安倍首相はいきなり白紙撤回って言い出したのかってことですよ。
隠:ああ、そうだな、例の第3者委員会報告も、どういうわけかこれにはアンタッチャブルで、どうして超高額工事費になったか、そればかりだったな。まあ、超高額になってボロクソに叩かれたので、安倍内閣人気挽回策だろう。
熊:でもねえ、ワンマン社長じゃないんですよ、どこかの独裁国じゃないんですよ、民主主義国の総理たるもの、そんなことエイヤッと言えないでしょ。誰か裏で知恵付ける人がいたに違いないと思うんですよ。
隠:そりゃ政治の世界だから、裏だらけだろうよ。
熊:だからその裏は誰なんだろうと思うんですよ。馬鹿でかいし、高度に技術的な建物でしょ、しかも設計は終わって、もう工事にかかってた。なのに、あっと言う間に白紙に戻して、またやり直しても安くなってしかもオリンピックに間に合うって判断、こんなこと素人の総理大臣にできっこないでしょ。
隠:もちろん技術官僚にも無理、ってことは、どこか大どころのゼネコンが安い早い案を作って、これならいけますよって、裏から首相に工作していたってことかい。
熊:まあ、そう言ってしまっては赤新聞になりますが、そうとしか考えられませんよね。
隠:そういえば、やり直しプロポーザルの条件に、工事費の上限を1550億円とするってあったけど、ゼネコンならできるな。
熊:カネメでここまで問題になってるんだから、イイカゲンな金額に設定はできない世の中の雰囲気でしたからね。それに工期だって絶対に伸ばせない。
隠:だとしたら、いったん設計してみないことにはカネメも工期も出せない、しかしそれをやるには膨大な時間とカネがかかる。
熊:ところがカネも時間もかけなくても、それをできる人たちがいたんですね、ザハ・ハディド案をもとに設計をして工事を始めていた企業ですよ。
隠:そう、そうだな、彼らならいちからやらなくても、現にやっている仕事をアレンジすればいいんだからね。それなら工事費1550億円以下で、工期も間に合うって見込みが立つ案を簡単に作れたはずだな。
熊:さて、ではそれを作って裏から首相に白紙撤回をさせたのは、いったい誰なんでしょうかねえ、それは、たぶん……。
隠:待った、それは言わない方がいいよ、赤新聞になっちまうからね。ここんところは小説にして書くしかないな。
熊:それにしても、はなから1550億円と分っての入札同然のゼネコンのプロポーザルなんて、要するに言い値でまかせたってことですかね。普通に入札にすればもっと安かったかも。
隠:とすると、3000億円なんて一時言ってたのは、マスコミに高い高いって言わせて世論誘導して、白紙撤回を正当化するための高等戦術だったのかなあ。
熊:で、プロポに応募したのも既にやってた企業たちでしたでしょ。
隠:う~む、そうだったな。当選企業は2度の支払い受けるんだ、しかも税金原資の。
熊:でもね、これでもなぜ白紙撤回したのか、本質は分かりませんね。高いってのなら設計変更して安くすればいいでしょうに、それじゃあザハ・ハディドが承知しなかったんですかねえ。でもJSCは説得できない、文科大臣もできない、しょうがないから首相を首切り役にしたんですかね。
隠:でもねえ、カネメだけでの首切りだったんだろうか。それに、一方的な首切りは揉めると分ってるよなあ、それでもやったのかね。現にザハ・ハディドは大成チーム計画は白紙になった自分の案の剽窃である、てなことを言ってるらしいよ。
熊:そうそう、そこんところは、日本では知的財産権について甘いからなあ。ネットには、大成チーム案とザハ案との似ている点を詳しく見せているサイトがあり、なんだか例のエンブレム騒ぎの感じですよ。
隠:大成チームの建築家の隈さんが記者会見して、いや似てないとか、同じ機能だからどうしても似てしまうとか、妙なこと言ってるよ。これまで日本人の当事者建築家が誰も表に顔を出さなかったけど、隈さんが初めてだな。
熊:まあ、大成も梓設計もザハ・ハディド案をとことん知っているので、新プロポーザルもその延長上にあるとでも思い、ついつい似てしまうったのかもなあ。隈さんじゃなくて、梓設計が出てきてしゃべるべきですよね。
隠:ザハ・ハディドってメンドクサイ建築家を首切ったのに、こんども隈研吾って有名建築家を入れたのはなぜなんだろ。
熊:へへ、クマのことはクマにおまかせを、、たぶん、隈って建築家は、ザハ・ハディドと違って柔軟な態度の人なんでしょうね、悪く言えばご都合主義でどうにでもなる。伊東豊雄も前のコンペに応募落選したら、槙さんの尻馬に乗って新案を提案したり、柔軟というか日和見な人ですね。
隠:なんでもイギリスのメディアによると、JSCはザハ・ハディドに残金をほしいなら知的財産権を放棄して以後文句を言うなって申し入れして、ザハ・ハディドがそれを拒否したらしいな。
熊:おやおや、あらかじめザハ・ハディドに因果を含めておいてから、白紙撤回をしたんじゃないんですねえ、甘いなあ。
隠:まあ、なんだねえ、こうやっていろいろ揉めると、こちとら庶民は何の関係もないから、ただただ面白がって知的娯楽になって、年寄りにはボケ進行遅延策になるし、これからもどんどん揉めてほしいよな。
熊:この一連の事件は、安倍内閣による高齢者福祉対策なんですよ、たぶん。
隠:それにしちゃ、金がかかり過ぎだよ、オリンピックも要らないから1兆円ほど、われら貧乏高齢者に直接支払してもらいたいなあ。
参照●五輪騒動:新国立競技場と外苑都市計画に関する論考集(まちもり散人)
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