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2008/11/20

065【くたばれマンション、横浜都計審】ミニ開発の名ばかり邸宅地が農地をつぶして広がる横浜

 ちょっと必要があって、横浜市内の14箇所の「生産緑地地区」を回って見た。生産緑地地区とは、そこは農林業のほかに使ってはいけないと、都市計画で指定した地区のことである。

 行ってみて驚いた。
 ミニ開発住宅地の造成中、数棟の建物建設中、すでに建物が立ち並んで入居しているところなど、農業など影も形もなくなっているところが、ひとつやふたつではなくてたくさんあるのだ。
 え、生産緑地指定してあることは確実なのだから、これは違法建築かと見れば、開発許可済みとか建築確認済みとか看板が掲げてある。合法らしい。どういうことだ?

 実例をひとつ挙げると、港北区内のある住宅地の中、このあたりは田んぼを1枚づつ次々と住宅地に変えていって、次第に住宅地となったスプロール市街地である。
 その密集する狭い道路の住宅地の中に、生産緑地地区となっている畑が一枚ある。

 探し訪ねてみると住宅建設の真っ最中、既存の4mほどの道路からその生産緑地の土地の中央に新しい5m道路が突っ込んで行き止まり、その両側に7軒の住宅が建つ。
 ひとつの敷地は100㎡くらいか、もちろん庭はなくて、道路がオープンスペースであり、周りの住宅地と同じような密集状況である。
 「●●●○○○×××」と格好よい邸宅地名がつけてあり、●と×には庭園と大邸宅をイメージするカタカナ、○には隣の隣の町名で1キロ半ほど先の駅名がはいっている。

 さて、名ばかりマンションを非難しているわたしには、これのほうが良いというべきか。
 まあ、どちらかといえば、名ばかりマンションよりも、まだこちらのほうが安心度は高いと言える。震災で隣が倒れても、こちらが負担することはないから、。 火災はもらいそうだが、。

 それにしても、名前は立派だが、日照通風防災にどうかなあと思うような「名ばかり邸宅地」も、困ったものである。
 でも、住宅政策貧困日本では、庶民はこういうのでないと一戸建て住宅は手に入らない現実だから、しょうがないか、都市計画屋の端くれのわたしも含めて、。

 ところで、初めに書いた生産緑地地区指定のままなのに、現状は生産緑地でないのはどういうことかと調べたら、そこで農業をしていた人が死んで農業継続の後継者がいないと、生産緑地地区が指定してあっても自動的に農業をやらなくてもよくなり、家でもビルでも建ててよいのだそうだ。
 えっ、じゃあ、何のために生産緑地地区指定を都市計画で決めているんだよ~?、意味ないじゃん、都市計画ってのは土地が誰のものであろうが関係なく決まるものなんだぞ~、。

 参照→都計審初出演と生産緑地の不思議

2008/11/04

059【くたばれマンション】怖い超高層・大規模名ばかりマンション

 それみたことか、オレが言ってるとおりじゃん、って言いたい。
 今日の朝日新聞の生活面に「将来の展望不良?超高層」とて、超高層建築の分譲共同住宅について、その規模と形態からして膨大にかかる修繕費と、数百世帯の合意の難しさ等の諸問題を載せている。
 結論として、「超高層の未来を語ること、それは業界のタブーでもあるんです」と、業界人に言わせている。おい、大丈夫か?

 2007年末までに完成した分譲の超高層共同住宅は、403棟だそうである(不動産経済研究所調べ)。そこに何戸の住宅が入っているか書いていないが、これを少ないというか多いというか難しい。
 超高層住宅は、まだ建設からそれほど年数はたってはいないが、古いものでは15年経ち、修繕に3億円もかかったこと、そして当然にもめたことが記事にある。

 超高層に限らず、近年は100戸を越すような大規模で権利者の多い分譲型共同住宅(私に言わせると名ばかりマンションーmancionとは庭のある豪邸のこと)が売りに出されている。
 そこでは超高層と同じような問題がわかっていながら、誰もタブーにして問題を先送りしているが、いつの日か突然に全国的に大問題になるに違いない。

 特に近いうちに確実に起こるとされる東海や関東の大震災が、先送りを許さなくするだろう。そのときなってあわてても知らない~っと、。
 未来じゃなくて、阪神淡路震災でも、姉歯震災でも起きたし、今も問題があちこちが起きているのに、普通の人たちは買ってみて初めて分かるのである。

 でも、そのときはもう遅い、家を買うような巨額の投資をやり直すことのできる人は、世にほとんど居ないからである。
 分譲名ばかりマンションは、日本の潜在的不良資産の巨大な巣窟なのである。今のうちに規制か禁止するしか、世を救う方法はないのだ。日本の戦後住宅政策の貧困による破綻は、もうそこまで来ている。
分譲マンションの未来を語ること、それは政治のタブーでもあるんです」って、誰か思ってるのか、。
参照→◆名ばかりマンション
  ◆姉歯大震災の喚起するもの(2005~2007)
  ◆賃貸借都市の時代へー体験的住宅論(2000~2008)

2008/07/17

019【くたばれマンション】名ばかりマンションが売れないって不況でまことに喜ばしい

 アメリカではマンションとは金持ちが住む広い庭園のある豪邸を言う。日本では庶民が住む狭い区分所有型立体長屋を言う。
 日本の首都圏でマンションが売れなくなっているという。㈱不動産経済研究所によれば、2008年度上半期首都圏のマンション市場動向調査によると、発売戸数は2007年の上半期と比べて23.8パーセント少ない21,547戸だったそうだ。しかもこれからも回復の見込みはなくて、下半期も16パーセントからの減少見込みとある。

 人口の東京圏への集中は当分やみそうもないのに、これはどうしたのかと思えば、要するに高くなったからだそうだ。裏にはこのところのマンションミニバブルで悪徳業者が出てきて金融機関が融資渋りとか、外人投資家の資金引き上げとかがあるらしい。社会資本の住宅が投資屋にもてあそばれているのだ。

 そんなことよりも、あの危ない危ない分譲型立体長屋が売れないことが喜ばしい。あんな危険なものを売るほうも問題だが、買うほうも問題なのである。
 もうすぐ必ずやって来る首都圏地震で、どんなに頑丈に作ってあるビルでもかなりの被害がかならずある。そのときに、一棟で100戸どころか500戸、1000戸もあるような分譲戸数だと、どうやってみんなが意志をそろえて建て直しとか大規模修繕とかやれるのか。 
 そろえないとできないんだよってことが、阪神淡路大震災でその難しさがよ~くわかったはずだし、その後の“姉歯震災”でも念押しされるように問題がわかったはずだ。なのにどうしてあんなもの売るのか買うのか?

 首都圏地震では、マンションに戻れない大量長期住宅難民が発生するに違いない。いや、震災が来なくても、いずれ老朽化するビルは、分譲所有者のみんながその気にならないと、管理されないままに放置されて化け物屋敷マンションになっている例も沢山ある。

 家賃払ってもなにも残らない、マンションを買うほうが得だ、という不動産コマーシャルは大嘘である。短期でも長期でもボロ財産が残るのが、マンション(区分所有型共同住宅ビル)である。
 それを知ってか知らすか早く売り逃げした奴が勝ちという現状は、社会資本である居住環境を金融投機対象としている。実にいびつな日本の都市社会である。

 政府は所有型住宅優先の政策をやめて、都市における優良な一棟丸ごと賃貸共同住宅の供給政策を打ち出すべきである。これなら地震で被災しても早期に回復ができるのだ。所有が一体化しているから管理もやりやすい。共同住宅は利用と所有を分離するべきである。
 高くて買えないと思案している人は、ちょうどよい時期だから考え直してはどうか。

→参照:姉歯大震災の喚起するもの
→参照:賃貸都市の時代へ