2008/07/17

019【くたばれマンション】名ばかりマンションが売れないって不況でまことに喜ばしい

 アメリカではマンションとは金持ちが住む広い庭園のある豪邸を言う。日本では庶民が住む狭い区分所有型立体長屋を言う。
 日本の首都圏でマンションが売れなくなっているという。㈱不動産経済研究所によれば、2008年度上半期首都圏のマンション市場動向調査によると、発売戸数は2007年の上半期と比べて23.8パーセント少ない21,547戸だったそうだ。しかもこれからも回復の見込みはなくて、下半期も16パーセントからの減少見込みとある。

 人口の東京圏への集中は当分やみそうもないのに、これはどうしたのかと思えば、要するに高くなったからだそうだ。裏にはこのところのマンションミニバブルで悪徳業者が出てきて金融機関が融資渋りとか、外人投資家の資金引き上げとかがあるらしい。社会資本の住宅が投資屋にもてあそばれているのだ。

 そんなことよりも、あの危ない危ない分譲型立体長屋が売れないことが喜ばしい。あんな危険なものを売るほうも問題だが、買うほうも問題なのである。
 もうすぐ必ずやって来る首都圏地震で、どんなに頑丈に作ってあるビルでもかなりの被害がかならずある。そのときに、一棟で100戸どころか500戸、1000戸もあるような分譲戸数だと、どうやってみんなが意志をそろえて建て直しとか大規模修繕とかやれるのか。 
 そろえないとできないんだよってことが、阪神淡路大震災でその難しさがよ~くわかったはずだし、その後の“姉歯震災”でも念押しされるように問題がわかったはずだ。なのにどうしてあんなもの売るのか買うのか?

 首都圏地震では、マンションに戻れない大量長期住宅難民が発生するに違いない。いや、震災が来なくても、いずれ老朽化するビルは、分譲所有者のみんながその気にならないと、管理されないままに放置されて化け物屋敷マンションになっている例も沢山ある。

 家賃払ってもなにも残らない、マンションを買うほうが得だ、という不動産コマーシャルは大嘘である。短期でも長期でもボロ財産が残るのが、マンション(区分所有型共同住宅ビル)である。
 それを知ってか知らすか早く売り逃げした奴が勝ちという現状は、社会資本である居住環境を金融投機対象としている。実にいびつな日本の都市社会である。

 政府は所有型住宅優先の政策をやめて、都市における優良な一棟丸ごと賃貸共同住宅の供給政策を打ち出すべきである。これなら地震で被災しても早期に回復ができるのだ。所有が一体化しているから管理もやりやすい。共同住宅は利用と所有を分離するべきである。
 高くて買えないと思案している人は、ちょうどよい時期だから考え直してはどうか。

→参照:姉歯大震災の喚起するもの
→参照:賃貸都市の時代へ

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