今年はとうとうわが書斎兼工房兼寝室を、冷房しないままに秋が来てしまった。
この夏は冷房しないで過ごそうと決めたのは、うまくいけば、熱中症でポックリとなるだろうって期待をしたのだ。ついでに電気代も少ないエコ生活にもなるという一挙両得?も。
ところが、意外というか残念というか、あまり暑い日がなかったし、暑い日は風が吹き抜けて、なんとか過ごしてしまった。だからポックリの目論見が外れた。
もっとも、本当は暑い日があったのかもしれないが、歳とると気温に鈍感になって、暑さが身に応えなくなったのかもしれない。それはそれでエコな体質でよろしい。
もうひとつ冷房しなくても過ごした大きな原因は、この夏は趣味に没頭していて、暑さを心がはねのけたのかもしれない。
その趣味とは「本つくり」である。この夏はその趣味を生かして、他人様の「歌集」をつくったのだ。6月から編集にかかり、7月に校正、8月に入ってから100冊を造本した。
これにかかりきりの夏は、心頭滅却すれば火もまた涼しの心境で、暑さも逃げたらしい。
3人の幼馴染が、それぞれの趣味を持ち寄って、歌集を作ったのである。
ひとりは歌を詠み、ひとりは花をつくるのが趣味であり、わたしは本をつくるのが趣味だが、3人は全く別々の遠隔地に住むので、一度も顔をあわせることなく、インタネットで結んでの作業であった。いつもは自著の本しか作らないのに、珍しくも他著の本つくりである。
歌つくり、花つくり、本つくりという、それぞれの趣味を生かして、薔薇の花が彩る可愛らしい歌集が生れた。
今月になり、その歌集を遥か西の地の二人に送りとどけたら、いつのまにかミンミンゼミが去ってツクツクボーシの鳴く秋になっていた。
歌集『ぽかりぽかり 2007~2016』 歌つくり:藤本孝子、花つくり:定森治子、本つくり:まちもり散人 |
その歌集に書いた「あとがき」を載せておく。その歌集の出自を書いておいた。
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(あとがき) 本つくり まちもり散人(伊達 美徳)
日常の只事をそっと掬い、はらり羽化させると言霊の蝶になり、軽やかに舞う翅はしばし花に休らう、そんな歌に花を添える歌集の本をつくりたかった。
本つくり…これがわたしの趣味、書斎机の電子道具と百円文具を操って、原稿書きから編集装幀印刷製本へと独り愉しむ紙工作の手芸である。
できた自著自作本を、ひとさまに読めよ観よと押しつけるのも愉しく、そのなかに高梁盆地オマージュ本の『美しい故郷へ』もある。
他著自作本も稀に手がけるので、幼馴染の媼二人に押しかけ勧誘メールをした。
近作の歌花集め書に編まむボケの雲霧湧きくる前に
かくして高梁三原横浜なる歌人花人散人の文芸園芸手芸を電網に結んで編めば、春楡の樹の下にぽかりまたぽかりと歌集が三年に二つ生れ出た。
はからずも喜寿傘寿記念にもなり、お互いおめでたくてホッとしている。折りから高校卒業還暦同期会にて、これが旧友たちへの挨拶がわりにもなれば、造本担当としてもぼっこー嬉しい。
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関連ページ
◆「まちもり叢書」自家製ブックレットシリーズ
http://datey.blogspot.jp/p/dateyggmail.html
◆1007短歌を詠んだがいつもは詠む趣味はないから突然の歌人
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