●ロッパが来た
熊五郎:やあ、ご隠居、生きてますかい、謹賀新年ですよ~。ご隠居:おや熊さんかい、ウン、新年おめでとう、まだ生きてるよ。まあお上がりよ、新年会やろうよ。
熊:はいはい、久しぶりに飲み会やりましょう、二人だとコロナまん延防止規制の飲み会人数制限以下ですね。
隠:そんなことはどうでもいいだろ、ささ一杯やりなよ。
熊:あのね、ご隠居、沖縄とか山口とかの県では大変らしい、なのに酒飲んでいていいのかしらと思うでしょ。
隠:お前ね、まるで戦争中の「戦地の兵隊さんのことを考え我慢せよ」と、あれこれ生活に難癖付けられたことを思い出させるね。
熊:うわ、古いこと言う。でもね遂に来たんですよ、ロッパですよロッパが来た。
隠:お前こそ古いね、昔、古川ロッパという俳優がいたな、それがどうした?
熊:いや、そうじゃなくてコロナ第6波ですよ、ものすごい感染者数の増加ですよ。
隠:おお、そうだった、1月14日には一挙に2万人増加、先週の同じ日に比べて9倍も多く、去年の9月1日以来とのことで、こりゃもう第5波を越えるな。
熊:第5波が静まった去年の秋、日本に第6波が必ず来ると専門家たちが言ってた通りです。
隠:この最新日本コロナ感染者統計を見て思い出すのは、一昨年初期のころ鳥取島根秋田山形の各県が長らく感染ゼロ県だったことだよ。もともと人口も少ないけどね。
熊:今もその4県は少ないけれど、一昨日までは鳥取島根秋田3県が千人台だったけど、昨日13日から秋田が2千人台に脱落、防疫トップ3県は山陰県になってきた。
隠:それにしても沖縄県の感染者数は、単位人口当たりで見て異常値だね。
熊:それはね、アメリカ軍が独自に県内軍事基地に感染者を輸入してるからだそうですよ、岩国基地のある山口県も多いのがその証拠、しかもアメリカ軍は感染者がどこにいるか言わないそうですよ。
隠:あ、それって、たぶん、細菌部隊が落下傘降下してるんだね、きっと。
熊:ワハハ、まさかねえ、そうなら細菌部隊作戦動向の軍事情報だから隠すでしょうね、そうか、なるほど、怖いなあ。
隠:そして地球全体ではもっとすごい勢い、昨日から340万人も増えて合計3億2千万人、WHO発表では、欧州・中央アジアでは6~8週間で人口の半数超が感染おそれがあるというよ、国民の半数がコロナの病だよ、どうするんだろう。
熊:それにしてもアメリカのはすごいものですねえ、この勢いで沖縄に攻め来てるんだから、たまらないや。
隠:この表を以前から見ていつも気になるのは、人口が多いアフリカ大陸が登場しないのはなぜだろうってこと。全体として多いけど多数の国があるからランキング上位には登場しないのか、そもそも医療統計が出てこないのか、どうなんだろうねえ。他大陸が落ち着いたころアフリカ大陸からぶり返すのではあるまいな。
●われらが呼び戻した第6波
熊:ところでコロナって、第6波が必ず来ると言われて警戒していたにもかかわらず来てしまったでしょ、これって人間には不可抗力な自然現象なんですかねえ。
隠:いやいや、そうではあるまい。要するに警戒不足だったってこと、端的に言えば人間が呼び戻したってことだろう。だって人間と人間が出会わなければ感染しないのにここに至ったということは、昨年末から今年にかけてのクリスマスと年末年始休暇が、ちょうどコロナ低迷期だったから、コロナは居なくなったと油断して、人々が出会ったってことだろう。
熊:そう、コロナをバカにしたかもねエ、いや、次の第6波が必ず来るのなら、今の内に宴会でも旅行でもパーティでもやっちまおうって駆け込み面会したんですね、それが見事にコロナにバレちゃって感染しちまった。
隠:う~ん、それが第6波の原因とすれば、人間の自業自得というものだねえ。
熊:そういえば去年の第5波だって、夏休みとオリンピックが招いたに違いないですよ。
隠:去年のデルタ株後継となったオミクロン株は、デルタよりも死亡率は低いが、感染力が高いらしいよ。
熊:その死亡率が低いのはワクチンのせいかもしれないでしょ、だとするとワクチンの普及してない世界お国々からまた感染が広がるでしょ。
隠:地球上のそれそれの国を閉じてコロナ侵入防止をこれほどやっていても、オミクロン株のように、どこかから入国してくるのだねえ、ワクチンを押しのけて感染するしねエ、よくやるねえ、コロナもえらいもんだ。
熊:感心しちゃいけないでしょ。去年の夏にあれほど大騒動してワクチンを打ったのに、こうなってしまうはどうしてなんですかねえ?
隠:そして今頃になって3回目ワクチン打つべきだって、せんだってと同じようなドタバタしているのもヘンだね、分かってるのにねえ。
熊:それに既にロッパが来てしまった今も、その3回目ワクチンを打てないままなんですね、政府はなにしてるのでしょうか。
隠:首相の岸田さんは「先手先手を打ってやっていく」と言ってるらしいけど、政府の対策がコロナの後を追いかけていると言うべきか、それとも、政府対策に反抗して人々が出会って感染しあっているのか、どっちなんだろう。
熊:先手打ってこうやると首相が言うと、コロナのヤツがそれを聞いて先手の先手を打ってロッパを連れてきたんでしょ。
隠:ワハハ、「これからは黙って先手打ちなさい」と助言しようか。
●社会崩壊堂々巡りか
熊:今度はというか今度もというか、あまりの感染拡大の速さに、医療体制が追い付かない状況が来ているそうですよ。
隠:これだって夏ごろに経験済みの大事件だったのに、その後の今までに態勢立て直しができないほどに、日本の保険医療体制とその行政はひどく痛んでいたってことなんだろうか。
熊:さっぱり知らないことですが、これらの現象は公衆衛生学という分野でこれまで研究してきたのでしょうかね。
隠:わたしも知らないが、医学でもあり社会学でもある分野に思えるな。でもこれによる分析と予測を現実に動かすのは政治だから、そこには学ではない不純要素が入るだろうな。
熊:そうそう、その最たるものが「経済を回す」ことですよ、政府のコロナ対策担当大臣が経済再生担当大臣であることが如実にそれらを物語っていますよ。
隠:そのとおりだけど、今回の第6波の急激さで起きてきたのが「社会を回す」という言葉だな。しきりに言われているが、どうやら経済を回すよりも前に、経済が乗るべき基本となる社会そのものが回らなくなってくる心配が大きいのだろうな。
熊:そうか、社会の現場で働く人たち、エッセンシャルワーカーって言われる人たちが、感染者の増大に巻き込まれてみな寝込んでしまうと、医療崩壊どころか社会崩壊に至るでしょうね、コワイコワイ。
隠:う~ん、この前の大戦後の体験の再現か。そうならないように、感染者への濃厚接触者判定範囲を狭くしたり、隔離期間を短縮することで、名目上の休業者を減らす工夫をしているようだが、これってなんかおかしいと思うね。
熊:これまでと感染実態は変わらないのに制度変更で感染者数を減らすって、科学じゃなくて政治そのものですね。公衆衛生ってのはそういうもんなんですかねえ、無い袖を振るしかないのでしょうねえ。なんだか不可思議です。
隠:もしそれで感染者が増えたなら、またもとのよにうにやり直すしかない、これはもう堂々巡りだな。
熊:そもそも波が何度も来てそのたびに右往左往しているのが、まさに堂々巡りのこの2年ですよ。パンデミックてそういうもんなんですかね。
●コロナに生かされる老いの日々
隠:そうなんだねえ、不謹慎だが面白いと言えば面白い、いや、実に面白い、わたしはちかごろコロナを好きになりつつあるんだよ。
熊:えッ、ご、ご隠居、だ、大丈夫ですかあ。
隠:ほれ、わたしは以前からピンピンコロナで死にたいなんて冗談半分で言ってただろ。もちろん本気半分だよ。
熊:そうそう、去年の冬にはこんな西行の本歌取り狂歌を詠じてましたよ。
願わくは花のもとにて春死なむその如月の望月のコロナ
隠:そうだったよ、もう長生きし過ぎて人生に飽きてたときに、ちょうどうまいことコロナが来たから、ピンピンコロリコロナのチャンスと言ってたんだがね、近頃、心をを入れ替えたんだよ、長生きしようとね、しかもそれがコロナのおかげでね。
熊:そりゃまたどういう心境の変化、しかもコロナのおかげとは、。
隠:わたしの少年時には世界大戦があって、老年時に至ってこのパンデミックだろ、人生で2度も地球的人類危機事件に遭遇するって珍しいことと思うよ。
熊:そりゃまあそうですね。
隠:初めの世界大戦の行方は見届けつつ生きて来たよ、面白かったね、そこでせっかくだからパンデミックも行方を見届けてから死にたいと思うようになったのだよ。行方も見たいけど、只今現在の日々も世界中でのドタバタ騒ぎも野次馬でね、これが何もできない老いの日々に生きる刺激だよ。
熊:それがコロナのおかげで長生きですかい、コロナを年寄りの生き甲斐にしようってことなんですね。コロナは長寿の種なのかあ、マッタク。
隠:そういうことで、コロナに生かされる人生だよ、こんな狂歌を詠んだ。
人生に飽きた八十路にパンデミック行方見たくて生き甲斐ふつふつ
(20220114記)
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