「大船駅北地区再開発」の都市計画案を、審議会がどう審議するか、審議できるのか(審議能力があるのか)と興味があったからだ。
ほかにもたくさんの議題があったので、何回にかに分けて連載して書くことにする。
改めて書いておくと、わたしは横浜市都市計画審議会の委員を、2008年から2年間務めたことがある。そのことはここに書いたので、ご覧ください。
●エッセイ版「あなたの街の都市計画はこんな会議で決めている」
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning
●本編「あなたの街の都市計画はこんな会議で決めている」
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin
いろいろ書きたいこと(もちろんイチャモンである)はあるのだが、まずはわたしの日頃の散歩コースの「伊勢佐木モール」の地区計画のことを書こう。
かつて横浜都心一番の繁華街だったが、どうもこのところ振わない。なんだかチェーンの安売りやばかり増えている感じがする。風俗営業も増えているようだ。
関内駅に近い伊勢佐木1、2丁目あたりが老舗として頑張らななくてはならないが、横浜随一の松坂屋百貨店が店を閉じて、ますます凋落気味だ。
今日の議題に、「伊勢佐木町1、2丁目地区地区計画」の変更があった。もともと、この伊勢佐木1、2丁目地区には地区計画があり、変な店づくりを禁止してきている。
地区計画だけでは精神規定みたいなものなので、その区域の中の伊勢佐木モールに面する店については、地区整備計画という厳しい規定をきめて、法的規制をしてきている。
一番大きな規制内容は、モールに面する建物は、1、2階は住宅禁止で店舗にしろ、しかもその店舗も風俗営業や倉庫業はダメと言う規制である。
マージャン屋、ぱちんこ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホール、個室付浴場業(ソープランド)等はダメである。
今回の変更は、地区整備計画の範囲を地区計画の区域全部に広げて、モールに面する建物だけでなく、裏通りに面する建物にもその規制を広げたのである。
この都市計画変更案は、なんの審議もなくてアッという間に原案通りに可決した。
でもねえ、わたしは案の中身には異議を唱えないけど、審議をもうちょっとやってはどうですか、と言いたい。
伊勢佐木モールあたりはしょっちゅう徘徊しているが、店をひとつひとつ調べてるのではないにしても、この1、2丁目の地区整備計画の区域内には、違反している店が少なくとも2軒ある。
ひとつは「PIA」というパチンコ屋で、もうひとつは「JRAエクセル伊勢佐木」という馬券売り場である。
審議案件と資料は事前に委員にわたっているから、当然のことに事前に現地を調べているはずだ。わたしが委員のときは、毎回の審議会の前に現地視察をやったものだ。
もしかして、事前に見ていないので、現地を知らないのだろうか。それは委員として手抜き審議である。
で、地区計画の文章の中に、もしかして例外規定があるのかと、しげしげと読んでみた。
もしもこれらが地区計画を決めるよりも前からあったのなら、例外的に許されることがある。そのためには、地区計画の文章の中に、「この地区計画を定める以前に存したものは、この限りではない」みたいなことが書いてあるはずだが、それもない。
そこで地区計画条例を読んでみたら、こちらに例外規定があった。
参照「伊勢佐木1,2丁目地区地区計画」
http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/tikukeikaku/c-074.html
参照「横浜市地区計画条例」
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/guid/kenki/chiku/honbun.pdf
でも、例外としても、どうして、パチンコ屋も馬券売り場も、あんな大きなビルで堂々といつまでも営業しているのだろうか。
都市計画審議会の委員さんたちは、その実情をご存じないのか、そして例外規定があることをご存じなのだろうか。
もしこれらが違反行為であって、取り締まっていないのならば、あるいは違反でないとしても地区計画の趣旨にいつまでも反していることに対して何らかの是正手当てしているのか、行政にその不作為を審議会として問うべきだろう。
このままだと、既得権の既成事実の積み重ねが、せっかくの地区計画をないがしろにしてしまう恐れがある。 (その2へつづく)
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