http://datey.blogspot.jp/2014/01/890890.html
大船駅北の市街地再開発事業に関する都市計画案の審議について続きを書く。
であるから、都市計画審議会は、その建物の形態や機能、建設費用や税の投入額などが分る事業計画への視点、そしてその事業が確実に早期に行われる担保もとって、その妥当性を審議するべきである。
ところが、審議会に出された建築の資料は、配置図、断面図、透視図が各一枚だけである。これだけでどうやってこの都市計画事業の妥当性を判断したのか、審議会委員の天才的な能力に感嘆している。
地域にどのように役立つ施設内容か、これによって変わる地域の景観はどうなるか、日陰はどう及ぶのかなど、いまどきCGで簡単に作れるだろうに、なぜ見せないのか。
建物の都市計画決定なのだから、それくらいは審議した方がよろしいと思いますよ。
交通計画が専門の委員もおられるが、そのあたりについてなにも審議されなかったのは、十分にご存じだからだろう。
しかし、審議会は一般市民と都市計画行政をつなぐのだから、市民に分らせる審議をしてほしいと思う。
市街地再開発事業の建築物の規模が巨大になりやすいのは、ひとえに事業採算のためである。しかし一般の民間開発事業と大きく異なる点は、道路や駅前広場という公共施設整備と建築物の建設が、連動していることである。
事業の仕組みが、権利変換によって土地建物の移動を行うから、事業前の資産額と事業後の資産額をどう調整するか、これが大きな事業の柱となる。
このとき公共施設の建設には税を投入できるが、民有となる建物には共同施設の一部のほかは公費投入はできないから、その建設費を保留床処分金によって生み出すことになる。だから、権利床+保留床となって建築が巨大、高層になりやすい。
このあたりの仕組みのもたらしたものが、この都市計画案なのだが、なぜこのような規模が必要なのか委員は質問されなかったから、ご存じだったのであろう。
巨大建築ができるとなると、近隣から日影や眺望などで必ずクレームが出てくる。近くの先に建った巨大共同住宅の住民が、先取特権のように反対を主張することもある。
今回もその巨大さ高さに対して、反対や疑問の意見書が出ている。それに対する市長の見解、つまり反論が、建築物を高層化すれば、オープンスペースを生み出すことができるし、容積率を有効に活用できるからである、としている。
それはそのとおりだが、これでは結果だけ書いていて、その原因を書いていない。委員はこれでよく分ったのだろうか。
そもそも容積率を活用するというが、その容積率そのものをこの都市計画によって、緩和するのだから(300%→500%)、緩和してから有効活用するといっては、論理矛盾が起きる。では緩和しなければよいだろう、となる。
これでは素朴な疑問は解消されないだろう。なぜ緩和が必要かを、真正面から答えるべきである。
一般に意見書への対応が、そっけなさすぎる。そこのところを補足するのが審議会の役割と思うのだが、いかがでしょうか、委員のみなさま!
なぜ緩和が必要かそれをきちんと審議するべきである。緩和しなければ巨大化高層化しなくてもよいかもしれないであろう。
だが、緩和しないと公共施設や保留床が確保できないから事業ができない。高さ制限の緩和(20m→75m)も、緩和しないとむしろ環境悪化するかもしれない。だから壁面後退や地区施設などをきめているのだ。
これがこの事業の都市計画決定の核心である。
ここまで緩和しなければ、事業の権利変換計画が成立しないのか、審議会なのだからこそ、そのあたりを確かめるべきであろう。それが意見書に対する審議会としての最低の誠意であると思う。
そう、その点から事業計画に踏み込んだ審議が必要となってくるのだ。
なにしろこの議案は、普通の都市計画ではなくて、都市計画事業の都市計画なのだから。
このイチャモン連載の最初に書いておいたことを、念のために、もういちど書いておく。わたしはこの再開発計画が悪いとか良いとかいっているのではない。審議をちゃんとやれ と言っているのである。 (つづく)
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