2017/03/22

1257【横浜ご近所探検隊】横浜市市街地環境設計制度による公開空地を公開しないで緩和された床面積や高さ部分を食い逃げしてるビル二つ

 陽気がよくなってきたので、今日も今日とて、横浜都心関内徘徊がはかどる。
 立派なオフィスビルや共同住宅ビルが立ち並び、道には歩道もあるけど、さらに歩道から建物を引っ込めて、歩道状や広場状の公開空地も多くて気持ちよろしい。さすが横浜市のまちづくり指導はちゃんとしているんだなあ。

 なんて思いつつ横浜球場の近くにふらふら、立派なビルが二つ並んでいて、公開空地が広くとってあって、おお、なかなかよろしいと、近づいてみる。
 ひとつは「帝蚕産関内ビル」なる事務所ビル、もうひとつは「ヴィルヌーブ横濱」なる共同住宅ビル(いわゆるマンション)。

帝蚕産関内ビル」にはハローワークがはいっている。歩道につながって敷地に広い歩道状の空地があり、植え込みもある。

近づこうとしたら、あれまあ、道路と敷地の境界にロープが張ってあり、公開空地に「立ち入り禁止」の札がぶら下がっている。工事中の様子もない。
左上の植え込みの中に公開空地表示掲示板が見える

 アレッ、ここは誰もが入ってもよいと、法で決められた公開空地ではないのか。
 変だなあと見回すと、植え込みの中に公開空地表示の掲示板があり、立ち入り禁止を侵して、ロープをまたいで近寄って見れば、チャンと書いてある。
「この公開空地は横浜市市街地環境設計に基づく建築物の許可条件として設置されたもので、どなたでも日常自由に通行又は利用できるものです。
  平成7年2月 横浜市中区北仲通5-57 帝蚕倉庫株式会社」

さてさて、「どなたでも日常自由に通行又は利用」が正しいのか、それとも「立ち入り禁止」が正しいのか、帝蚕倉庫株式会社はいかがなものでしょうか?
 「横浜市市街地環境設計に基づく云々」、と書いていあるから、ここは法による公開空地としか考えられないよなあ。
 ここままだと、横浜市市街地環境設計制度に違反しているような気がするのですが、どうですか帝蚕倉庫さんよ~。。

 この制度は、建築や都市の法律により、建築物を建てるときに誰もが利用できる公開空地を整備して街の環境を良くすることに貢献するのと引き換えに、都市計画の容積率制限や高さ制限を緩和して建築物の床面積を特別に大きくすることを許可するのである。つまりそれだけ不動産収入が増えるのだ。
 そして建物のオーナーは、この公開空地を公開するという誓約書を、市長に出している筈である。この制度にそう書いてあるから、帝蚕倉庫さんもお出しでしょうね。

 このビルは20年ほど前にできたが、そのときから立ち入り禁止にしているのかどうか分らないが、これはどうも違法行為であるとしか思えない。それとも何か特別に立ち入り禁止してもよいと許可を取っているのだろうか。
 帝蚕倉庫会社と言えば、横浜港の絹貿易と共に歩んできた伝統ある名門企業だろうに、これでよいのかしら、ハローワークという公共機関が違反建築に入っていてもよいのかしら。
 公開空地を「公開」しないのだから一方的に儲けただけ、緩和の食い逃げですよ。
 緩和を受けて基準よりも増えた床面積や基準を超えた高さの部分の建築物を削り取る必要があると思うのだが、どうなんだろうか。
 
 と、頭をかしげながら、隣の「ヴィルヌーブ横濱」なる共同住宅ビルに来た。
左上に見える黒いものは首都高速道路
この柱の向こうのピロティも公開空地のはず


 こちらのビルは、一階に歩道状空地があり、更に建物の一階の一部はピロティ広場になっていて、これらが「どなたでも日常自由に通行又は利用」との公開空地の表示看板がある。

ところが、違反行為は伝染するものらしい。ピロティに入ろうとすると、どの柱と柱の間にもプラントボックスが置いてあり、そこに「関係者以外立ち入りご遠慮ください」の表示があるのだ。
 おやおや、大きなビルが並んでそろって違反だよなあ。

こちらは歩道状空地は自由に通行しても良いらしいから、帝蚕倉庫よりも若干は違反度が少ない。
 それでもピロティの公開空地に対応する床面積と高さの緩和部分の建物を削り取る必要がありそうだなあ。それとも特別にピロティは公開しなくてもよい許可を取っているのかなあ。
 
 なお、「ヴィルヌーブ」ってなんだろうって、ネットで調べたら人名が出てきたが、それではあるまい。フランス語で気取って「Ville neuve横浜」つまり「新町横浜」かなあ、ふ~ん、。
 「帝蚕倉庫」というのも珍しいが、もとはたぶん「帝国蚕糸倉庫」といったのだろう、絹糸貿易の保税倉庫のことかしら、連想したのは「帝国人造絹糸」のテイジン。
 「ハローワーク」も珍妙なネーミングであるよなあ、むかしは公共職業安定所といっていたなあ、。
 もっと珍妙なのが「マンション」であるよなあ、なんともはや、ウサギ小屋(この揶揄も今や通じなくなったかも)共同住宅ビルを、マンションmansionとは、よく言うよ。
 
 さて、徘徊でタマタマ違反建築2件が並んでいたのを見つけたが、じつは他にもいっぱいありそうだなあ。
 こういう緩和措置の食い逃げ行為は、誰が取り締まるのかなあ、建築警察とかってあるとは聞かないなあ。食い逃げ得なのかなあ。
 今年の徘徊は、都市計画違反建築発見を目的にしようかなあ、あ、目的があるのは徘徊とは言わないんだな、。

●参照⇒横浜ご近所探検隊が行く

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