2020/10/07

1493 【横浜都心の秋】8年ぶり川俣正登場、地下に動物園、川べりに緑の広場、超久しぶり外飲み会

 横浜にアートの秋が来て、近くの展覧会場に親友FJの絵を観に見に行った。ようやくイベントも開催できるのはよいのだが、肝心のその絵を描いた親友は持病があるので会場に来ることができないという。1年ぶりにその顔を見る代わりにその絵だけを見てきた。 

 そして近くで開催中の「CREATIVE RAILWAY 駅ART」なる現代美術展会場を覗いてきた。久しぶり(この前は2012年だった)に川俣正インスタレーションである。
 「都市への挿入」とて、完成した建築空間に、工事中を装った仮囲いを仕掛けるというのである。8年前には大きな倉庫建築の外にいくつもの木枠のようなものを取り付けていた。そう、思い出すと建築家の隈研吾が、本物建築に簀の子をべたべた張り付けるのに、姿だけは似ていなくもない。



 今回の川俣のインスタレーションは、BankART Temporary(YCC横浜創造都市センター)では、外壁の一部に仮設用の足場を組んで、鉄板囲いを取り付けている。鉄板が鎧のようにまとわりついて見える。数年前にBankART NYKで木枠を使ってやった方法の延長上だが、今回のほうがおとなしい。
 川俣の構想段階らしいスケッチをみると、その範囲がかなり縮小したのはどうしてなのだろうか。ちょっときれいに収まり過ぎている。


「都市への挿入」passportより引用
(これと比べると実際にできた作品は妙におとなしい)

 そしてこの様式建築の丸い先端部だけに工事用足場と鉄板を被せたのを見て、ひょいと思い出した。この昔の旧第一銀行横浜支店の建築(1929年)は、今は道路になっている近くの場所からここに曳家してきて復元保存したのであった。

 だが実は全部を曳家したのではなくて、今回の鉄板囲いのあるところだけを曳いてきた。その他のホールのところはコピー再現建築で、東京駅に3階部分と同様である。
 わたしはその昔、この曳家している現場を見たことがある。蒲鉾を立てた姿の石の建築を、鉄骨で補強してそろそろと引っ張って、何日かかけて持ってきた。

 そして人々にその曳家の記憶を引っ張り出させる仕掛けだったのだろうか。まあ、そんなこともないだろうが、わたしはインスタレーションの一つの力に気が付いたことだった。

 ホール内部の天井に同じ鉄板囲いを吊っているのだが、これもどこか整っていて、インスタレーションの持つ破壊感に乏しい。
 この吊り天井を観つつ思ったのは、今ちょっとした地震が来ると、鉄板と鉄板が大いに揺れぶつかりこすりあって火花出しつつ、ガチャガチャキイキイギシギシ大音響がこのホール満ちる、という怖いこと。インスタレーション見物冥加に尽きるだろうなあ。

 隣のビルから地下電車の馬車道駅コンコースに下ると、そこもインスタレーション会場。川俣の鉄板アートもあるが、「えきなか動物園」とて、いろいろな作家の動物造形が、たくさん放し飼いにしてある。一つ一つ面白い作品だ。

 川俣の搭状の鉄板インスタレーションは動物園のシンボルタワーか、妙に小ぢんまりとまとまって窮屈そうな造形だ。そうか、この鉄板塔が地上に飛び出して建物にまとわりついて、先ほど見たYCCの鎧となったのか、そしてそれがまた姿を変えてホール内の天井を飛ぶ鉄板絨毯になっていたのか。いや、ヘンに論理的に考えてると、川俣作品がはつまらなくなるな。




 なかには寝そべるホームレスタイプの動物がいて、その顔が人間の映像で妙にリアルすぎるのがおかしい。
 同時にまた、本物らしいホームレス人間が、動物たちと共に片隅に座っている。二つの傘広げて並べて、その陰で中年男が弁当を食っているのだ。
 あ、そうか、リアルっぽいけど、これも動物園の展示作品だな。あるいは作家自身による肉体インスタレーションかもしれぬと、近づいてみる。あ、生身でリアル過ぎる。

 後で会場案内係らしい若い男に訊いてみた。
「あの動物と一緒にいる傘の陰の男の人も、川俣さんか誰か作家の展示作品ですよね」
「ちッ、ちがいます、全然関係ありませんッ」、そうムキにならなくてもいいのに。
 どうせなら、いつも居るあのホームレス男に出演料を払って、展示作品になってもらえばいいだろうに。

 アート見物の後は、地下からエスカレーターを登ると、新市庁舎のアトリウムにいきなり飛び出すのだ。こんな広い高い天井の下の市民用フリースペースは凄い。適当に離れた椅子テーブルで、だれもかれもがくつろぎ、幼児もいる。PCで仕事をしている奴もいる。

 市役所本体は3階から上で、入るには入り口で申請してカードをもらい、それの自動改札機がいくつも並んでいて、なんだか極端に垣根も敷居も高いところだよなあ。
 それにひきかえ、1,2階は自由に入ることができるのがよろしい。市民情報施設、郵便局、銀行、横浜土産物屋、本屋、薬屋、喫茶店、レストラン、飯屋、飲み屋、フードコート、コンビニストア、スーパーマーケットなどなどあって、ここは商店街か。

 何よりわたしが好きなところは、大岡川沿いに大きく広く開いた水辺の段々広場である。このあたりは河川運河の水辺なのだが、それを生かした民間開発はひとつもない。横浜市がお手本を見せたのだろう。さすがである。
 樹木が大きく育って、春は花見、秋は紅葉との定番遊びの地になるといいなあ。

 ここには徘徊にしょっちゅう来るのだが、1階のユニオンで缶ビールとつまみを買って水辺の椅子でゆっくりの休憩だけ。でも今日は、友人ISと来たので、2階の居酒屋でビールと刺身で乾杯、ちょっと高くついた。まあ、1年もコロナにさえぎられていた友人との再会だからいいだろう。

 あ、そうだ、もう一つ思い出した。この新市庁舎は都市再開発法による市街地再開発事業
(1990年都市計画決定)の一部であるはずだ。隣のアイランドタワー(その一部である先ほどの川俣インスタのあったホール部分も)も含めて、住宅・都市整備公団(今のUR都市機構)施行の北仲通り南地区第2種市街地再開発事業となっていた記憶がある。調べたら1990年に事業の都市計画決定していた。

 ただし、この新市庁舎の敷地部分の建築は長い間決まらなくて、アイランドタワーとは工区を分けて事業することになったようだ。市庁舎移転がやっと決まったことで、第2工区のこちらの事業が再開、横浜市を特定建築者とするUR施行の再開発事業となり、今回の市庁舎完成でようやく再開発事業の完了公告を出したのだろう。
 最初の都市計画決定から数えると、なんと30年間という長期事業、いやまあ、どうでもよいのことだが、ちょいと昔を思い出した。そうだ、第1工区分のアイランドタワーは再開発事業としては珍しい保存型開発で、ちょっと評判になったなあ。(20201007、1009追記)

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