2024/06/30

1822【コロナ後の新世界?】待ち受けていたのは戦乱分断の世と老々介護の日々という泥沼であったか

 このブログで、コロナ後にどんな新世界がやってくるのか楽しみだった。パンデミックという大病の間に人類の沈思黙考を重ねて、その開けた時には新たな時代が始まるに違いないときたした。それを見たいからもう少し生きていようと、これまで度々書いてきた(参照:コロナ大戦+プーチン大戦おろおろ日録

 さて、コロナパンデミックがどうやら落ち着いてきたようだ。街にはマスク姿が少数派になってきたし、宴会飲み会イベント催事はコロナ前のように普通に行われるようになった。コロナは行き過ぎたらしい。

 それでもちょくちょくコロナにかかった話が聞こえる。近いところでは大学同期生の同年の男が4月末にコロナにかかったとて、1カ月半も入院していた。つい先日に退院して、入院ちゅに弱った足腰のリハビリテーションに励んでいるという(こちらを参照)。

 まあ、とにかくコロナが去っていく様子が見えているので、当然のことに期待していた「コロナ後の新世界」がどこかから登場してきているはずである。と、期待の目をもって現実世界とネット世界をあちこちと見まわしている。
 だが、それらしきものは一向に見えない。いやいや、実は見ているらしいのだが、実は見たくない風景が見えてきているようだ、それは戦争と分断の地球の風景である。

 そう、ウクライナのプーチン戦争は一向に終わらない。最新の戦況地図を1年前と比べると、ほとんど変わらない状況だ。膠着状態にあるのか。コロナ中に発生した戦争はコロナ中に終わらないままに、コロナ後の世界を担ったままである。これがコロナ後新世界の主要な風景とは、情けない。

ロシア侵略のウクライナ情勢20240630

同上の一年前の状況 20230503

 そればかりか、パレスチナのあまりにも血なまぐさい死闘とで言うべき戦争が、ウクライナ以上に燃え盛っている。ヨーロッパでは右翼の台頭で不安定な政情が見えている。そして太平洋のむこうのUSAでは、コロナ禍の次はトランプ禍の再来も起きようとしている。 

 東アジアでは朝鮮半島の北あたりからミサイルが日夜飛び上がり落下し、近くの日本列島は危なくてしょうがない日々だ。このあたりからコロナ後の新世界戦争が起きるのか。それは強肩国家チャイナがき起こすタイワン有事へとつながるのか。 

 おお、そうなのか、コロナ後の新世界とは騒乱の地球であるのか。それを背景にして、私が暮らす日本列島の政府でも、戦争への準備におさおさ怠りない様子である。コロナ後新世界に日本列島も巻き込まれるのか、いや、積極的に打って出ようとしてとしているのか、準備に忙しい。下の二つのデータは、6月30日の朝日新聞から引用した。隣国コリアの軍事費の多いことに驚くが、さすが今も朝鮮戦争の中にいるからだろう。



 そうなのだ、これが今の世界であり、わたしが観たいと思って生き延びてきたコロナ後の新世界であるようだ。今日の二つの新聞のトップが、この有様である。情けない世界であるものだ、長生きするものではないなあ。


 実は全く個人的なことでも、出会いたくなかったコロナ後の新世界に足を踏み入れ、暗夜を足さぐり手さぐりに進む日々に直面している。「老々介護」という新世界である。コロナの退潮と入れ替わりに、家人の疾患が急激に進み、介護新世界が広がる。

 コロナで逼塞していた間に、前門を開けてみれば戦乱分断の世という虎が待ち受けており、後門を開けてみるまでもなくその隙間からいつのまにか老々介護という狼に忍び込まれていたのだった。いまや、コロナ後の内憂外患のもっとも出会いたくなかった新世界に直面している。再び嘆息する、長生きはしたくないもんだ。
(20240630)
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コロナ大戦+プーチン大戦おろおろ日録
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2024/06/25

1821【くたばれマンション】公的借家推進論者のわたしの味方になる最高裁の判断が出た

  わたしは今、借家住まいである。横浜市の港近くの都心部市街地に建つ、10階建て共同住宅ビルの7階で、このビルは神奈川県住宅供給公社が建設所有して賃貸住宅経営している。もちろんわたしはこれを好んで選び、借家暮らしをしているのだ。鎌倉市内から2002年の秋に移転してきたから、横浜都心暮らしも既に22年になる。

 この借家に入る前は、鎌倉の谷戸の森の中で、自分で購入した土地に、自分で設計した木造小住宅に暮らしていた。なぜこの借家に移って来たかについては、別のところで語っている(参照:鎌倉脱出記)。
 今日はわたしの今の家主(神奈川県住宅供給公社)が、借家人たちから訴えられて裁判で負けた話である。

 今朝の東京新聞にこんな記事が載っている。わたしが住む借家の家主(神奈川県住宅供給公社)が、借家人から起こされた家賃に関する訴訟で、最高裁まで争って公社が負けたというのである。県公社住宅はあちこちに多く存在するから、この訴訟の原告借家人が、わたしと同じ共同住宅ビル内かどうかわからない。どちらにしてもわたしと同じ公社からの借家人が、家賃が高いから返せと訴えて、大家に勝ったというのだ。けっこうなことである。


 わたしはこの訴訟については初めて知ったのだが、実はわたしも訴訟には至らなかったが、20年ほども前に家主県公社と家賃の件で2度も争ったことがある。入居して1年3カ月たった時に、一方的に家賃値上げ通知ハガキがきたのだ。それに納得がいかないので、値上げ根拠を聞きに行ったら、まことに腹の立つ対応をされてしまった。次の値上げの時もこのような対応なら、承知しないよと言ってその時は引き下がった。

 それから4年後にまた一方的な値上げ通知はがきが来たので、早速その根拠を聞きに行ったら、4年前の対応と同じことを言うのであった。大いに腹を立てて情報公開請求や、公社理事長への抗議の文書提出などをした。だが、全くの暖簾に腕押しの役人対応に、もう嫌になって負けてしまった。

 それでこの借家を出て行ったかというとそうではなくて、いまだにそこに住んでいるのは、この立地環境にある公的賃貸借住宅をわたしが好きで選んだからである。管理にも満足しているのだが、とにかく大家の態度を気に入らないままだが、仕方ない。
 そのことの詳細に興味あれば、このブログ記事にしているお読みいただきたい。
 参照:【片想いの賃貸住宅政策住宅供給公社よ、がんばってくれ (20100228)

 そんな経験があるので、この新聞記事に目が行ったのだ。わたしはもともとが借家論者であるので(詳細は「賃貸借都市の時代へ」参照、実践もそうしているのだ。関東・関西・名古屋各地の住宅に何度も引っ越しをして暮らしてきたが、現在の横浜都心暮らしが最後になるだろう。年とってからの都心借家暮らしは適正なる選択であったと、老ロい介護を迎えてつくづく思っている。

 なお、借家論者であるいくつかの理由の一つに、日本語として正しくは区分所有共同住宅というべきを、不動産屋の誇大広告用語マンション」ということの不自然さに納得がいかないことがある。そもそも原語「mansion」と外来語「マンション」のあまりの意味の違いに、実態は「名ばかりマンション」である。これこそは不動産詐欺である。参照「くたばれマンション

 さて、この新聞記事のようになるとすれば、わたしのもう二昔も前になった県公社への家賃の定め方にチアする質問に、こんどは丁寧に答えてくれるようになるだろうか。泣き寝入りしたわたしとは違い、ここまで頑張った原告に敬意を表するのである。

(20240625記)

ーー関連するこのブログの記事ーー

●【片想いの賃貸住宅政策】(2010/02/28)https://matchmori.blogspot.com/2021/09/chintai.html

 ●賃貸借都市の時代へ-体験的住宅論(2000~2008) https://matchmori.blogspot.com/2021/09/chintaitosi2000.html

●【くたばれマンション論評一覧】(2000~現在)
https://datey.blogspot.com/p/mansion.html

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2024/06/12

1820【富士への山あて道路】国立市であの市民運動惨敗だった名高き景観騒動再発かと思えば、エッ!?

通りの向こうに富士山が

●富士山への山あて道路

 え?、なになに?、国立市でマンンション景観騒動勃発だって?、だいぶ前にもあったなあ、またかい?、どうせ本物マンションじゃなくて名ばかりマンションだろ、で、今度のそのマンションビルビルは今や竣工寸前なのを取り壊すんだって??、ほう、面白い。

 しかも事業主が言うことには、この建築は景観に配慮が足りなかったことがわかったので反省して取り壊すそうだ、へ~、この世知辛い今どきそんな殊勝すぎる超珍しすぎる理由で取り壊すなんて、だれもがなかなか信用できないよ、本当にそんなご立派な理由かしら、よくある手抜き工事がばれそうになったので慌てたのにちがいない、とかなんとかネットスズメは無責任なもの。

 で、その事業主の名は積水ハウスとあるが、それってむかし安物プレハブ住宅屋だった記憶がるけど同じかなあ、社長は大いに怒っているだろうな、“せっかく真面目に取り壊そうとしているのになんだよ、その言い方はないだろ、ネットスズメどもめ~”、なんて地団太踏んでいるんだろうなあ。 

東京新聞2024/06/12掲載記事

 上は今日の新聞報道のひとつだが、これ見てあらあらと思ったのは、その写真の富士山の隠れ具合が問題なのだろうが、それははともかくとしても、この道路の風景がなんだか乱雑なことよ、電線の邪魔なことよ、看板だらけのことよ、せっかくの富士山を山当てにして設計した道路なのに、住民たちは富士山にばかり目が行って、自身の景観についてはどうも無頓着らしいなあ。

 では、上空から見ようかとグーグルマップで覗き込んでみた。おお、なるほど富士見通りの向こうに富士山が見える。ここは昔々のこと、神田にあった一橋大学が関東大震災で被災して移転してきて作った町である。
 ということは100年ほどの歴史の街だ。いまの西武の創始者の堤康次郎が初期に出がけた不動産開発事業であったが、なるほどこの写真で見るように、この富士見通りは富士山に山当てをしていることがよくわかる。

国立市富士見通りを駅前上空から富士山へ見通す googlemau 

 上の写真の中ほどに灰色の長方形が出没しているが、これは今回の景観騒動の元凶のビルが建つ位置である。たぶんここだろうと類推したわたしが書き込んだ(GIF)。これが富士山を隠すのであろう。

 だが、気になるのはその道路向かいには高層の名ばかりマンションらしき建築が既に建っているのである。これも積水ハウスが事業主で建てて、これも取り壊すのだろうか、いや、まさか、、。となると、この既存のビル事業者は、市民から反対を受けなかったのだろうか、反対されても押し切って建てたのか、積水ハウスの爪の垢でも煎じて飲ませたい、なんて言われかねないぞ。

●思い出した昔に有名な国立景観騒動

 そこで思い出すのが、かつて国立の駅前の大学通りで起きた景観騒動だよなあ、世間は忘れたろうがわたしはよく覚えているのだ。国立市のJR国立駅前から、南にまっすぐに伸びる学園通りがある。そこで騒ぎが起きた。あれは2002年のことだったからもう22年、ふた昔も前かあ、わたしも年取るはずだ。その時にわたしのウェブサイトに記事を書き込んでいたと思い出し、探したらあった。

 ◎国立と鎌倉:景観と財産権のはざまに(20020505)
  https://matchmori.blogspot.com/2021/08/kunitachi2002.html

 このときもマンション(それも本物じゃなくて名ばかりマンションだが)開発による景観について、事業者(明和地所といった)にたいして、市民たちからから異議申し立てがあって、大いに騒ぎになった。事業者はとことん抵抗して争い、国立市の政治問題になり、とうとう最高裁の司法の場まで行ったが、結局は市民側が敗訴となったのだった。当時の市長(上原さんと言った)は明和地所に対してかなりの額の賠償金を、個人的に支払へという判決をうけたという記憶がある。

 その景観はこのようになった。どれが問題の名ばかりマンションであるか、容易にわかる。高さを20mで抑えるか否かが争点であったが、法的には合法と判決になった。だが現実には、今ならばこの名ばかりマンションの出現は不可能になっていることがわかる景観だ。

左に国立市大学通りのごり押し開発名ばかりマンション googole map

 銀杏並木が美しい道で、通り沿いに一橋大学をはじめたくさんの学校があるのでこの名前。銀杏並木の高さに建物の高さを法的に制限しているなかで、高さを大きく抜きんでている名ばかりマンションが建っている。下の画像はもしも20m高さ制限が実現していたなら、という戯造景観である。
現実の名ばかりマンションを高さ20mに抑えたならどのようになるか戯造景観

 今話題の、富士見通りの名ばかりマンションをすっぱりと取り壊す(といっている)積水ハウスの潔さがあまりに過ぎて、かつて大学通りでの名ばかりマンション事業で市民と行政をゴリゴリと押し切った明和地所と比べると、天地の差があるので実は何か別のことが裏にありそうだと思ってしまう。積水ハウスの言い分を素直に聞けないのが、人間としてなんとも悲しいのである。

 積水ハウスは、これでこそ企業倫理が成り立つってことよ、だろうが、でもなあそれならもっと前の、そう、着工の前に判断しろよ、建たねば判断できなかったなんて建設ド素人ではあるまいね、なんだかワンマン社長の思いつき鶴の一声かもなあ、それも今頃になってねえ、???!!!、いやいや、疑ってごめんなさい、素直に敬服しております。

 ところで積水ハウスはこれでどれくらい損失を出すのだろうか、株主代表訴訟で訴えられたらどうするのだろうか、倫理を問われているのは起業か建築家か、いや国立市の景観について審議する委員会か、え、はあ、市民でもないのに大きなお世話ですか、ハハーッ。

 国立の富士見通りの市民のお方たちは、いまの富士を見る景観は、なんとも美しいとは言いかねるので、これからは富士山だけじゃなくて、街の市民自身の生活景観に目を当てて下さいませ。

(20240612記)

このブログの関連ページ

くたばれマンション瓢論一覧 

国立と鎌倉:景観と財産権のはざまに(2002年)

景観偽造

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