2017/02/06

1251【言葉の酔時記:ムサコ】「むさしこすぎ」とは日本古語だと「むさ苦しい小杉」なんだけど「ムサコ」にすると?

 今日の新聞(2017年2月6日朝日新聞朝刊神奈川面)に、「ムサコなの?、小杉でしょ」と見出しがある。

 なんだよ、わたしが去年7月にもう書いてるんだけどなあ。
http://datey.blogspot.jp/2016/07/1206.html

武蔵小杉じゃないよ、小杉だよ
 なになに、「武蔵小杉最大の免震ツインタワー」だってさ、あんなところに超高層かい。
 あのね、ムサコってね、今はタワマンばっかりですよ。
 なんだい、ムサコってむさ苦しい、タワマンて撓まん、な~んてね。
 ケッ、武蔵小杉を略してムサコ、タワーマンションを略してタワマン。
 ふむ、ワイセツ語とも知らずに二子玉川をニコタマって言うようなもんだな、あのね、あの街は本当は小杉なんだよ、武蔵小杉ってのは鉄道駅の名だよ。町名に小杉一丁目はあっても、武蔵小杉なんて無いよ。東横沿線の人たちは武蔵なんてつけないよ。

         ◆◆
 「ムサコ」って、「ニコタマ」と同じに、若者の隠語が広がったものとばかりに思っていたら、なんと川崎市が2005年に街の愛称募集して、応募数1700件から選んだそうだ。
 選んだ当時は批判が多かったらしい。へえ~、、面白いなあ、隠語が顕語化する過程のひとつの例だな。
 そういえば「ニコタマ」はどうなんだろうか。こちらも世田谷区が公募して隠語を顕語にしたのか。

 でもなあ、「むさしこすぎ」でも「ムサコ」でも、なんともヘンな別の意味があるのだけど気が付かないのかなあ、ニコタマのようにね。
 「むさし」とは、いまでも「むさ苦しい」というように、古語では「不潔である。心ぎたない。卑しい」なんて意味である。
 狂言には「むさとした」という言葉がよく出る。「いいかげんな、うっかりした、つまらない」などの意味で、何かにケチを付けたり非難するときに使う。
 だから武蔵小杉の意味は、、、、まあ、なんでもよろしいが、たくさんの超縦細長アパートメントハウス(俗にタワーマンションという)が建ち並んで、なにやら「むさとした」街になってきているような気もする。

 なお、辞書にはこうかいてある。

むさ・し  形容詞ク活用
 活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
 むさくるしい。不潔である。心ぎたない。卑しい。
 「塩籠(しほかご)にむさき事どもして」<出典西鶴織留 浮世・西鶴>
   [訳] (油虫どもが)塩籠に不潔なことごとをして。

むさ‐と  [副]《「むざと」とも》
 1 軽率にことをするさま。うっかりと。
  「やいやい、むさと傍へな寄りおっそ」〈虎清狂・蟹山伏〉
 2 いいかげんにことをするさま。やたらに。
  「松茸(まつだけ)なども、むさと食ぶるは」〈咄・きのふはけふ・上〉
 3 取るに足りないさま。
  「むさとしたる食物をつつしむべし」〈仮・東海道名所記・一〉

(追記 2017/02/07)
 この記事を読んだ旧友から、こんなことを昔聞いたがとSNS経由のコメント。
今の関東はかつて「むさ」と言って、その上の方を「むさがみ」即ち「相模」、下の方は「むさしも」即ち「武蔵」と言う・・これって本当?
 う~む、面白いなあ、まあ、京の都から見れば、「東の国々はどこもかしこも、むさくるしいところ」だったんだろうなあ。


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