コロナ騒ぎの真っ最中に、問題の「検察庁法」改正案が国会に登場、ネット庶民や専門家たちに大いに叩かれていたが、昨日(2020年5月18日)、政府は今の国会議決を取りやめた。これまで安倍内閣は問題法案をいくつも通したが(秘密保護法、安保法制など)、今回はいったんひっこめた形だ。
次の国会にまた出すというから、まだ先があるのだが、面白いのはネット抗議デモが大きく効いたらしいことだ。
ツイッター上に抗議のハッシュタグ付いたツィートが500万件を超えたという。わたしもこの数日間、ツイッターの成り行きを眺めていたが、ちょっと面白かった。
デモと言えば、わたしの初めてのデモ行進参加は、1960年の安保反対闘争で、国会前あたりに行ったのだった。
さて何回言ったか覚えていないが、あれは若いわたしでもけっこう疲れるものだった。渦巻でもなんてタイヘンだったな、大声でシュプレヒコール出すし、密閉こそしないが密集密接の限りだったなア。今はネットデモだからまったく疲れない。
そうか、あの時の抗議デモの相手は、今の首相の祖父である岸信介首相であった。あの時は結局はこちら(のちに「60安保世代」と言われる)の負けだった。
そしてあれから60年、今回のデモはネット上だから、ちっとも疲れないが、参加者数が500万人だかの多数、これがモノ言って、とりあえずは勝ちかもしれない状態になったのか。後にたぶん「20年コロナ世代」と言われる層が、今、新しく生まれつつあるのだろうか。
●実は主人公スキャンダルだったという問題矮小化
ここまで書いた2020年5月21日の午後2時ころ、ツイッターを覗いたら妙な動きが出てきているのに気が付いた。
検察庁法改正にもっとも直接的人物の黒川検事長に関するスキャンダル記事の画像が出回っている。例の口癖を曳けば、まさにまさに、いずれにしても、その話題の高級官僚、その黒川氏が新聞記者と賭けマージャンをしている、しかも外出自粛のさなかに、というのである。その話題のもとは、スキャンダル砲撃で有名な醜刊文春のネット記事である。
スキャンダルスクープらしいが、ネットスズメたちは大喜びで、黒川は首切り、政府は窮地かとチュンチュンチュンチュンさえずりが拡大する。
そのうちに、ただいま国会でその件で質問中というツィート出現、さっそくそちらの中継に飛ぶと、やってるやってる。なんか奇妙に追いかぶさる野党の質問者、政府高官の受け答えには色々な意味でのバカらしさの態度が色濃く漂う。
どうしてまたこのタイミングにと、ちょっと考えていたら、18日に政府が検察庁法の採決を次期国会へ先送り審議することに決めたのは、このスキャンダル記事登場をいち早くつかんだからであろうと、思いついた。
ツイッターで数百万件の検察庁法改正抗議ツィートが、政府を動かして先送りになったと庶民たちは思っていたら、実はこののような超下世話な事件による先送りだったのか。
この落差はどうだ、あまりの矮小化に唖然とするばかり。抗議ツィート千万とスキャンダルスクープ一発、バカらしさがフツフツと湧き出る。
文春砲が撃ち落としたのはむしろネットスズメどもかもしれない。検察庁法改正案抗議とか黒川検事長定年延長抗議などにまじめにネット書き込みしてたら、突然横から出てきた文春の下世話記事に手柄を横取りされちゃったなんて、実に癪に触るでしょ、ね。
もちろん今の段階で事実かどうかわからないが、いずれにしても(流行語だな)、これでしばらくはネット世論は矮小話題で持ちきりになるのだろう。
思い出せば、モリカケ事件の時も本質からどんどん矮小化する方向にネットスズメが飛んで行ったことがあった。本質を忘れてしまう。
政府がとりあえず問題法案を先送りにしたのは、黒川スキャンダルをその原因とするよりも、ネットが政府を動かしたことにしたほうが、はるかに格好よく引くことができると判断したのだろう。
あるいはスキャンダルジャーナリズムと政権裏口との間で、検察庁法改正という悪手を引っ込めるための、超高級いや超低級な裏取引があったのか。
さらに考えれば、これって黒川さんの自爆テロかもしれない。置かれた状況につくづく嫌になってね。面白すぎる。
(5月22日午後追記)5月22日朝日新聞朝刊第1面、 なんだか「宣言中」をいやに強調してるけど、 宣言中麻雀なんて誰でもやってるでしょ、 黒川さんは宣言前にもやってるのはいいのかい、 問題はそんなことじゃないでしょ、バカか新聞屋は、 これで検察庁法改正の特定規定が取り下げになり、 内閣の大臣が更迭されたりしたら黒川さんは 検察の独立を守った自爆聖者として祀られるかもなあ、不気味 |
今日(5月22日)からこれがどう展開するのか、暇つぶしにはなるが、話題としてはコロナが清潔に思えるほどにも、珍妙な汚れピエロが登場したものだ、ネットデモが一気に馬鹿にされたと、気分が妙に悪い。
実はこの先のコロナ社会のついて書こうと思いつつも、書けない日が続いていたのだが、いざ書き始めようと持ったら、こんな横にそれる事件が起きてしまった。
こちらの思考も先送りするかなア。
●今日の朝日新聞朝刊ニューズ重要度順位
今日(2020年5月21日)、朝日新聞東京版朝刊の一面の紙面占拠度合いから見て、各ニューズの重要度は1位が高校野球試合ストップ、2位が黒川賭け麻雀事件、3位にコロナ緊急事態解除なんだね。
1位の高校野球試合取りやめ事件は、13面全部、14面半分、15面全部、16面半分、29面全部という超大判振る舞いであるのは一体どうしたことだろう、そんな大事件なのかい?、わたしは野球記事に興味ないから、これがなくって夏に紙くず新聞が来なくなるのが嬉しい。
2位が黒川事件ていうのも不思議であるのは、この事件のもとになる4人組のひとりが朝日新聞の社員であることで、だったら文春にスクープさせなくても朝日がやればいいのに、なんでなの?、え、遊びだからなの?、でも同じ4人組のひとりがいる産経新聞社は「取材」であると言ってるよ、どーでもいいけど、これでまた優秀な(と法務大臣お墨付き)官僚がメディアに嵌められて辞めるしかないんだね、もったいない、ネットスズメが辞めさせろとチュンチュン言ってたのをスキャンダルメディアに横取りされてしまったね、大事件扱いが恥ずかしいよ。
で、3位が庶民の生活に一番関係が深いニューズのコロナ緊急事態解除だとは、今やこの程度の扱いかよ、ふ~ん、読者をバカにしてるんだな。
これじゃあ、ネットのSNS経由ニューズのほうが、はるかに早くて安くて良いメディアだなア。
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