2015/07/20

1109【新国競騒ぎ】すっかり空き地になった旧国立競技場跡地にオリンピックの森をつくろう

 新国立競技場の提案 2015年7月、安倍総理大臣によるチャブ台返しで、一転、ザハ・ハディド案廃棄、国際コンペの結果に民主的手続き抜きで、一方的に無効宣言とは、ここはいつ独裁国になったんだ?
 まあ、改憲手続き省いて9条の武力放棄条項を無効にしてしまうのだから、こんなことぐらい、全然たいしたことではない。ついでにオリピックそのものもチャブ台返しお願いします。

 では、どんな新国立競技場をつくるつもりなんだろうか。
 また、時間がないからと、いまのザハ・ハディド案をベースに、屋根だけ安直な工法に変えるってのが、オチのような気がする。
 それで1999億円に納めて、2000億円を下回る様に抜本的見直しをしたっていうに違いない。え~と、もとはいくらって言ってたっけかなあ、あ、1300億円だったかな、それじゃあ1999億円では見直しならんなあ。

 では、わたくしめが見直しをして進ぜよう。「新・新国立競技場」計画である。いや、興戯場計画かな。
 幸にして、今や旧国立競技場はすっかり壊されて、平らな更地になっている。
 おお、それなら、その旧国立競技場跡地に競技フィールドと森をつくるのです。

 え、8万人の観客席をどうするのかって?
 そう、そこですよ、8万人がフィールその周りを取り囲んだって、前の方は見えるかもしれないが、たぶん、6万人くらいは豆粒かゴマ粒のアスリートを見てるだけでしょ。
 だから近ごろの競技場は、でっかい液晶かなんかの映像画面を設けて、多くの観客はそっちを見てるんでしょ。実は、観戦スポーツ嫌いのわたしは行ったことがないんだけどね。

 そんなもの、競技場の中にある必要はないでしょ。どこにあっても同じでしょ。といっても、観戦好きの人は一緒になって興奮したいんだろうなあ、要するに烏合の衆になりたいんでしょ。
 それならば、神宮外苑の全部をオリピック会場にすりゃいいでしょ、外苑のあちこちにあの大型画像装置を置いておけばいいでしょ。

 こうやって神宮外苑全部をオリピック会場にして、8万人でも10万人でも20万人でも、外苑のなか全体にに広がって、共に楽しみ交歓すればよろしいと思いますが、いかがですか。あ、便所もあちこちに必要だな。
 どうしても観客スタンドが必要なら、神宮球場やラグビー場があるでしょ、そこを使えばよろしい。休憩所なら、絵画館があるでしょ。
 
 森をつくると言っても、2020年までには間に合わないから、これから苗木を植えるのです。
 ちょうどいま、東北津波被災海岸で、森の防波堤をつくっていますが、あの宮脇昭さんの提唱する方式の、みんなが参加する苗木からの森づくりをやりましょう。
 そうだ、オリピック、パラリンピックにやってきた世界中の人たちにも植えてもらいましょう。20年経つと高さ20mの樹木に育ち、それは神宮内苑の森がこちらにもできます。

 そうそう、そのような大勢の人々の参加方式による森づくりは、創建時の神宮内苑の森づくりがまさにそうでした。その現代版を外苑でやることも意義のあることでしょ。
 あ、そうだ、東京五輪組の親分は、なんとまあさんというお方ですよ、オンリピックのづくりにピッタリでしょ。もひとつ、あ、そうだ、この方は総理大臣のとき「日本は神の国です」って言って嗤われたくらいの神様好きなお方だから、ピッタリ!!! 、ヨイショ。

 この「外苑オリピックの森」こそ、「オリンピックのレガシー」となるでしょう。
  なお、以前にはこんな戯案も提案したけどね。

(追記20150719 1800)
 新国立競技場について、文科相が17日に、「これから半年かけてコンペから審査まで終える」と述べたそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK17H6F_X10C15A7000000/
 ありゃ、一から見直しってのは、オリンピックをヤメルってのは、見直しの中には、はいってなかったのかい?
 
 またコンペだってさ、ほんとかなあ。で、また、ザハ・ハディドが一等になったりして、、。
 だってさ、金のことだけでひっくり返ったんだから、内容的には同じ条件でコンペするんでしょ、1300億円もこの前と同じ条件でしょ。
 だったら、応募の建築家はこの前の応募案と同じものを出すでしょ、だって、あの時に最上の案として応募したんだから、今度は違うなんて変でしょ。もしも違う案をだしたら、誠意がない建築家だから落選。
 そして、ザハさんがまた一等賞、ってね。

 でもなあ、第2回目コンペで一等とったとしようか、そしてまた、総理大臣がチャブ台返しするかもしれないよ、それでも応募しますか?
 多分、今度のコンペは、時間短縮とか言って、設計業と工事業の両者が一体になって応募する方式になるんだろうなあ。

 そうだ、今度はもう、あの、ケチのついた外苑をやめて、湾岸部のどこかに場所を変えたらどうですか。その方がはるかによろしいでしょ。どうせ、国際公約はちゃぶ台返しで破棄なんだから、。

参照
◆【五輪騒動】新国立競技場建設と神宮外苑再開発瓢論集
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html

 

2015/07/18

1108【新国競騒ぎ】憲法違反騒ぎで不人気挽回とて運動競技場ごときで首相が出てきてチャブ台返しのポピュリズムニッポン


●運動競技場如きで総理大臣が出てきてチャブ台返し

 新国立競技場騒ぎは、なんとまあ、アベ総理のちゃぶ台返しだそうだ。こんな一運動競技場如きは担当のJSC理事長、せいぜい文科大臣の役だろうに、なんと総理大臣がでてくるなんて、今の政府はどこかアフリカあたりの独裁国みたいだ。
 これって、もしかして憲法違反騒ぎでの不人気の挽回策だろうか。




 ここにきてカネメの話になって、ようやく抜本的見直しになるらしいが、老大家槙文彦氏から初めに問題提起された景観デザインについては、どこかに追いやられたようだ。
 カネメ問題と言い、首相の登場と言い、まことにもってポピュリズムニッポンですな。
 どうせなら、この際、オリピック返上ちゃぶ台返しってやれば、やんやの喝采!?!?

 ところが、可笑しいのは東京五輪組のモリ親分が「生ガキみたいで嫌い」って、景観からの見直しを言ったのには???。
 まあ、高さの見直し(20m以下にする)については、ちゃぶ台には乗ってなかったでしょうな。

●JSCお抱え建築専門家はどう対応したのか
 
 でも、こういう判断は政治家や文科省建築素人官僚だけでは不可能だろうから、当然のことにJSC発注のもとで担当している建築の専門家たちの検討があるのはずである。
 いま、JSCが使っている専門家は、大成建設、竹中工務店、山下設計、山下ピー・エム・コンサルタンツ、建設技術研究所、日建設計、梓設計、日本設計、アラップ設計

 で、この方々はどういう判断をしたのでだろう、それを知りたい。この方々は、ここに至るまでただただ傍観していたのだろうか。それで専門家としての倫理が許しますか。

 JSCの発注サイトには見直し検討の発注が書いてないから、それをこの方々がさせられたのだろうか。もちろん、見直し検討の仕事は、今の発注の外だろうから、きちんとその報酬をおもらいになるのでしょうね。それともタダ働きですか。

 とにかく、このプロジェクトに関して一番よく知っている当事者である建築の専門家の顔が、全然見えないのは実に奇妙であるが、そのあたりは例えばJIAではどうお考えなのでしょうか。


●国際コンペを手続きルールもなくてひっくり返してよいのか

 ところで、国際コンペの後始末を、どうするのだろうか。ザハ・ハディド案を一から見直すのだから、あの案を破棄するのだろう。とすれば、当然のことに違約金とでもいうべきものを払うのだろう。それもまた、無駄な出費であることを承知でのちゃぶ台返しなんだろう。
 これまでJSC発注の基本設計費や実施設計費も、いまとなれば無駄な出費であるが、それを担当した専門家たちの責任はどうなるのだろうか。ちゃぶ台返しの直接的原因となった、予定工事費額を大幅に超過した責任はないのか。

 こうやって国際コンペで一等になったのに、着工のどたん場に来て、総理大臣のひとことでひっくり返ったことになる。これを国際社会はどう見るだろうか。
 建築家や市民の反対の声は多かったが、レファレンダムのような手続きは何も経ていないまま、首相の言葉による当選案廃棄だから、人気策ポピュリズムちゃぶ台返しである。

 総理大臣はちゃぶ台返しの前に、国際コンペ委員長だった安藤忠雄や一等のザハ・ハディドに交渉したのだろうか。どうも何も話はしなかったような気がするが、日本の政治家が考える建築家の地位はその程度のものだろう。

 今後、日本で建築設計の国際コンペがあっても、うっかり応募できないぞ、一等をとっても、レファレンダムもなくて政治的ちゃぶ台返しに遭うのだからと、世界中の建築家が思っているだろう。日本の建築界の信用が問われる。
 このあたりを、JIAとか建築学会とかは、なにもアピールすることはないのだろうか。

●ちゃぶ台返しで進むポピュリズムニッポン

 それにしても、憲法9条ちゃぶ台返し、新国競ちゃぶ台返し、そうそう、あんなに丁寧な手続きを経て原発ゼロ方針を出したのにこれも簡単ちゃぶ台返し、次は何がちゃぶ台返しに遭うのか、楽しみだなあ、怖いなあ。

 新国立競技場については、市民や建築専門家たちの会論があったことは確かで、こうなったのは良い方向であるだろう。もっとも、結論が良くなるかどうか、かなりあやしいが。
 最初はコンペのやり方や景観的な面から異論だったのが、今は結局はカネメの問題になって、分りやすくなったが、問題はある面では矮小化した感もある。

 カネメのことを言うなら、オリンピック運動会という壮大な無駄遣いをやめるべきである。

 これで、これまで反対してきた人々が、このチャブ台返しをもって、アベさんはエライなんて思うとしたら、かなりアブナイ。
 オリンピックの国際公約なんて言葉を吐いていた人が、文科省の機関による国際コンペなる手続きで決めた国際公約を、なんの手続きも経ないでチャブ台返しするって、首相って人は、なんでも独裁的にひっくりかえせるとしたら、今のこの世は実に気持ちが悪い。
 コンペ応募要項に、「ただし総理大臣がちゃぶ台返しをした場合は、一等当選を取り消すことができる」って、かいてあったんだろうなあ。

 

参照
◆【五輪騒動】新国立競技場建設と神宮外苑再開発瓢論集
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html



2015/07/15

1107【新国競騒ぎ】カネメの話になってようやく庶民にもわかる論議になった新国立競技場騒ぎ

 
シンコクリツ「新国立」というと、オペラをやる新国立劇場のことなのに、近ごろは新国立競技場のことらしい(新国競でしょ)。
 で、その新国競だが、なんだかシンコクな話になりかけているらしい。

 なんでも、工事費がもとは1300億円の予定が、今ようやく工事に取り掛かろうとしたら、これが2500億円とも3000億円とも、大超過になってきたのだそうだ。
 1000兆円借金日本国の国立の施設に、そんな金を投じてよいのか、予定と実際とが違いすぎる、杜撰な計画だ、税金の無駄使いだ、というのだ。
 
 この新国立競技場が巷で評判になり出したのは、一昨年の夏、建築家の槇文彦が決め方やデザイン異を唱えたころからである。その前の2012年11月のコンペによって決まってから、もう9カ月もたっていた頃だ。だれも言わないから老大家自らの出馬である。

 はじめは建築界だけの内輪話みたいだったのが、だんだんと異論が広がっていった。
 その異論の中心は、明治神宮外苑の明治天皇の事績を顕彰する絵画館に似合わないという、分りやすいようでいて、どこか趣味的でもあり、なんとなく高踏的な感もある。
 オリピック好きの庶民には、どうでもよい論争である。

 こういう景観についての話となると、どうもそれは主観の違いでしょなんて、のれんに腕押し論に対応するには、なかなかに難しい。
 だから誰にでもわかる数値に置き換えての景観論争になる。そう、それは高さ論争である。
 この新国立競技場でも、建築物高さ20mの都市計画規制を越えて、72mにすることが異論の焦点となった。

 かつて東京丸の内や京都盆地でおきた景観論争でも、31m規制を超えることの建築物高さ論争になった。それまで都市計画に定めた高さを、今になって超えるのがけしからんということ。
 高さという数値に景観を置き換えると、誰にも分りやすいのだが、景観の本質的な問題を逸れてしまう話になっていることを忘れる。
 特に丸の内では、今の姿をみると、あの論争はいったいなんだったのか。これも、実はでだしが皇居を見下ろすのがけしからん論からはじまったのが、なんとなく今度の事件に似ている。

 さて、新国立競技場も、その都市デザインとして景観が、72mという数値に対する異論だけではひろがりを見せないでいるところに、強力な助っ人の数値が登場してきた。
 それが工事費である。1300億が3000億になった、ケシカランってのは、景観と違って庶民に分りやすい異論だ。
 いや、庶民にはそのイッセンオクエンなんて金銭には、何の実感もわきっこないのだが、予定の工事費から倍以上にもなる、しかもそれがコクリツなんだから、オレが払っている税金だってことは分る。いや、まあ、僅かな納税額だけどね。

 それでも文科省当局や五輪組森喜郎親分は、2020東京オリンピックのレガシーをつくるんだから、それくらい我慢せよ、みたいなことらしい。安倍政権は軍隊だって海外に派遣できるくらいに、なんでもできるんだから、
 でも、庶民が騒ぐと、次の選挙の票に響くかもしれない国会与党のギインさんたち、これはまずいような気がすると、言い出している気配が出てきた。 

 「オリピックのレガシーをつくる」なんて、あの「日本は神の国です」といって嗤われて、総理大臣を辞めた森親分の口から出るのが、なんだか似合わなくて、オカシイ。
 むかしむかし、1964年の東京オリピックの、いちばんのレガシー建築はなんだろうか。
 それはもう、なんといっても代々木の体育館だろう。そう、丹下健三設計になる、あのサーカステント小屋である。

 あれも工事費がむちゃくちゃにオーバー、大蔵省がNOと言って、一時頓挫、そこで丹下が政治力を発揮して、田中角栄に直談判してヨッシャヨッシャと見事に予算増額成功、ということがあったんだという話をなにかで読んだことがある。
 今度は安藤忠雄がアベかアソオに掛けあうかな?

 そう、あのころは、今にみたいに情報が流通しない時代だったから、世間もマスメディアもなんにも騒がなかった。
 今の新国立競技場なみの事件だったのだが、建築界だけがすごい設計だと騒いでいただけ。
 
 そういえば設計者も、東大の岸田・高山両親分が、これは誰に、それは彼にと、適宜に決めて配分、コンペなんて無かったなあ。
 あの代々木の体育館だが、実はあの軽業みたいな格好の屋根をもたせるには、修理維持費がものすごくかかる代物らしい。

 さて新国競では、高さが20mを越えて72mになり、工事費が1300億円を超えて3000億円、この二つ数字が出てきて、ネットメディアもある時代には、庶民にも分りやすくなった。
 その一方で、都市景観の問題はどこかに押しやられつつある。まあ、庶民には景観がどうなろうと、食うに困ることはない。

 でもなあ、ちょうどいまギリシャが借金2000億円を返せないことから今の騒ぎになっていることから考えると、1000兆円借金国日本だって、たかが遊びの施設に税金3000億円投入となると、これからは分らんぞってことが、庶民にもウスウスとは分る。
 あ、思い出した、福島のことでだれだったか、「最後はカネメでしょ」っていって、叩かれたギインさんがいたなあ。そう、庶民はしょせんカネメである。

参照
◆【五輪騒動】新国立競技場建設と神宮外苑再開発瓢論集
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html

2015/07/13

1106【終活遊び】書棚から記憶にない社寺建築の教科書が出てきてデジタル復刻遊びをした

 近ごろは人生の終活中である、といいつつ、身辺のあれこれもろもろを捨てているのだが、実は終活だからと自分に言い聞かせている気配も濃い。
 捨てるのにいちばん悩むのが蔵書である。これまでの人生でどれだけ本を買って来たかよく分らないが、延べ冊数にしたらずいぶんの数で、万の単位だろう。
 自宅もオフィスも本だらけだったが、どちらも何回も引っ越ししたから、その都度にたくさん捨ててきた。
 いま、手もとに残った蔵書は、床から天井までの本棚の幅にして7m足らず、いったい何冊だろうか。半分くらいは、買ったままで読んでない「未読本」である。未読本の読破も終活の重要な仕事である。

 どんな本が本棚のどのあたりにあるか、ほぼ頭の中に入っているので、物書きの時は引っ張り出す。無い本は近くの市立か県立の中央図書館に行けばほぼ間違いなくある。
 だが、ウチの本棚を漁っていると、えっ、こんな本を持ってたっけ、ということもある。
 最近も2冊を発見、発掘した。一冊は大正14年8月発行の雑誌「新建築」創刊号である。
 といっても、本物ではなくて1975年12月号「新建築」の付録の復刻版である。

 もう一冊は、「社寺建築構造」とタイトルがあるA5版、116ページの冊子である。紙が赤茶けてしまっている。母校の大学の講義用と書いてあるから、教科書らしい。
 あれ、なんだろうとパラパラとめくると、まさに神社や寺院の建築構造について、足元から屋根まで、外装から内装まで、図も豊富な教科書である。これは面白そうだ。
 でも、講義を受けた記憶がない。さっそく同期生たちにMLメールで問い合わせたが、誰も記憶がないという。わたしだけがサボったのではなかったと、ホッとした。


そこで同期仲間8名が協力して、デジタル化しつつ読み合わせすることになった。超久しぶりで建築の勉強をすれば、ボケ進行が少しでも遅くなるかもしれないという期待もある。
 スキャナーで画像を取り込み修正、文字はOCRで読みこんで校正という作業を、数ページづつメールで交換しつつ進めた。
 いまどきらしいやり方であるが、旧仮名遣いだし、印刷が悪いので、OCRの誤読が多くて骨が折れた。それでも2カ月でデジタル復刻版が完成した。

 ところが、この本には発行年も著者も書いてない。旧仮名遣いだから戦前の執筆だろう。
 そこで大学時代の恩師である平井聖先生にうかがうと、この教科書の原本は『高等建築學8 建築構造』(常磐書房 1936年刊)の中のひとつ、「社寺建築構造」(角南 隆著)であるとご教示いただいた。
 角南は戦前に東京工業大学で非常勤講師をしていたことがあり、それをそっくりそのまま冊子にして教科書にした。戦前には印刷をもって謄写に替えるとして、著書を教科書に使うことがあったとのこと。

 角南 隆(1887-1980)は、1916年東京帝国大学を卒業して明治神宮造営局、内務省神社局を経て、明治神宮、伊勢神宮をはじめとして数多くの神社建築に携わった建築家である。
 特に明治神宮には創建時から携わり、太平洋戦争の空襲で焼失して戦後再建した現在の社殿は、戦前の形をそのままコピー再現するのではなく、角南による独自の設計が多く加わっているらしい。

 季節がよくなったら、この本をもって明治神宮に行って、冊子の図と社殿とを見比べてみようかと思う。まことに意義深い紅葉狩りになるはずである。
 これをわたしが所蔵していたのは、たぶん、藤岡研究室で京都御所遺構に関する卒業研究の時に、平井先生からいただいたのであろう。
 そういうわけで、今ごろになって勉強した不肖の弟子の話で、これもわたしの本づくり趣味のひとつである。

2015/07/10

1105【病気知らずの病院通い】病院とは待つところと覚悟して準備して行ったのに15分で済むとはねえ

 めったに病院に行かないわたしが、今日も病院に行ってきた。5月以来5回目である。かなり医療保険料を取り戻したぞ。
 しかも今日は全く初めての耳鼻咽喉科医院である。このところ尻餅腰椎圧迫骨折の病院通いで、病院とは待つところと知ったので、十分に覚悟して出かけた。

 4日前から、口の中の左の喉近くに、なにかひっかかるような感じがあり、だんだんと顕著になってきた。指を突っ込んでも分らない。
 親しかった大学同期の男が10年ほど前に咽頭癌で死んだが、それに気が付いたのは喉にちょっと違和感があったのがきっかけだったと言っていた。
 わたしも、もしかしてそれかもなあと、ちょっとだけ悩んでいた。そうなったら、これまでロクな病に罹ったことがないわたしも、ようやく人並みになるなあ。

 悩んでいても喉のひっかりは治らない。近くの耳鼻咽喉科をネット検索して、一番近い駅前の診療所に行くことにした。
 今度は待たないように、朝一番に乗り込んでやろう、たとえ待たされてもよいように本を2冊抱えて、8時45分に玄関前に着いた。

 でも「診察は9時からです」と書いた札のかかる扉が開かない。しょうがないから、用意の本を読みながら玄関扉の前に立って待った。レストランとか公衆便所とかで待つという行為を大嫌いなのだが、こればかりは仕方ない。
 でも、わたしがこのところ通う整形外科の病院は、9時前から押すな押すなの行列だよ。へんだな。
 わたしの外に待つ人がいないのは、もしかして、ここは予約だけしか診ないのかもなあ、心配になる。

 ようやく9時、開いたので入ると、もちろん、わたし一人だけ。すぐに診察である。おいおい、待つんじゃないのかい、病院のくせにちょっと早すぎるよなあ。
 口を開けさせて覗き込んでいた医師が、「吸引します、アーンしてアーって声を出し続けて」と指示、棒みたいなのを口に突っ込んで、なにやらつまみ出して、「これです」と言う。

 なにか食ったものの一部がノドチンコあたりにひっかかっていたのであり、「よくあることです」とのこと。咽頭癌どころか、人並み以下の病とも言えない出来事だった。
 口内炎症防止の薬の吸い込みをやって終り。この間、15分ほどだった。拍子抜けしたが、もちろん、よかった。

 わたしのあとから来た患者は、たったひとりだけ。整形外科の繁盛ぶりと大違いである。
 う~む、診療科目によって、医師は儲かり方が大いに違うんだろうなあ。長々と待たせる医師もいれば、全然待たせない医師もいるんだ。
 整形外科医の繁盛ぶりは、なんだか異常であると思った。

2015/07/05

1104オウンゴールが女タマケリ大会・国会・ギリシャとかで流行っているらしい

●女タマケリ大会でオウンゴールで勝ったとさ

 見るだけスポーツは嫌いだから、野球もサッカーも知らない。新聞もそのページをすっ飛ばす。毎朝、スポーツ欄という紙くずを買っている。もったいないことだ。
 TVは一切見ないから、なにも言うことはない。ネットでは見に行かないからこれも問題ない。

 だが、近ごろは新聞1面や社会面に、女タマケリ世界運動会の記事が載るから、チラと見る。なんでも日本の女タマケリチームが、試合相手のオウンゴールで勝ったとある。
 オウンゴールってなんだ?、あ、日本チームが蹴りこむべきゴールに、相手チームのプレーヤーが間違って蹴りこんで、これが日本チームの点になったんだそうだ。しかも終了間際で、日本の勝ち越し点になったとか。
新聞の第1面からして紙くず記事で閉口する

●そういう卑怯な勝ち方はどんなもんでしょ

 ふ~ん、世界レベルのチームにも、ボケの来てるヤツがいるんだなあ。
 でもなあ、そういうので勝っても、気持ちよくないでしょ、敵のボケにつけ込むなんて。
 どうです、その得点をお返しするほうが、よろしいような気がしますが、いかがなものでしょう。そうしたらフェアプレーって、褒められるよ。
 ほら、むかしむかしウインブルドンで、日本のテニスプレーヤー清水善造が、試合の相手アメリカ人が転んだので、ゆっくりやさしい球を返した、これぞスポーツマンの鑑だって、美談があったでしょ?、え、しらない?、教科書に載ってたよ。

 いや、まてよ、もしかしたらオウンゴールって八百長かもよ、ほら、わざと自分ちのゴールに蹴りこむ、サッカー博打かなんかでジャパンを勝たせるためにってさ、そういうの調べないのかしら。
 まあ、なんでもいいけど、大会を早く終えてくれないと、紙くず新聞ばかりやってきて、困るんだよ。そのうちに高校野球の紙屑が来るんだよなあ、マッタクモ~。
 
●自民党もオウンゴールがお好きなようで

 オウンゴール事件で思い出したのは、先日来の自民党のウロウロである。
 安保国会でゴチャゴチャしたくない安倍親分の気も知らないで、憲法審査会にはよんだ参考人が違憲を唱えるし、文化芸術懇談会での3議員の発言は沖縄やメディアを怒らせるし、これ等は見事なるオウンゴールだよなあ。

 サッカーならあわせて4点の自殺点(自爆点か)だから、野党はこれでもう完全に勝ち戦でしょ。それがなんで攻めきれないんだろ、要するに弱すぎるんだな。
 あ、いや、自民党が強すぎるんだな、それをそうさせたのは、この前の選挙民の方々であるのだけど、それでいいのかい?、わたしの入れた票は完全にハズレだったけどね。

 あ、もしかして八百長かもなあ。
 ほら、憲法審査会でボケッとしてたらオウンゴール食らったドジで、安保審議で面倒なことになったから、このへんで別のオウンゴールやって、沖縄にメディアの眼をそらせてやろうって、そういう八百長作戦だったんだな、そうに違いない。
 だから、謝罪嫌いのアベさんが謝ったふりしたんだな。

 こんどは多分、沖縄より遠い朝鮮半島あたりへ目をそらせようって作戦のオウンゴールを仕掛け中らしい。
 ほら、拉致被害者調査がうまくいかない問題で、半島に北部方面に眼をそらせてるでしょ。
 そしてまた、世界遺産登録問題で、半島南へ眼を逸らせている。1910年で止まるなんて歴史観しかない遺産登録の趣旨説明なんて、隣りから文句言われるって分ってたんでしょ、だから八百長オウンゴールなんだよ。
 もしも八百長じゃなくて、何も考えていなかったのなら、これって、かなりドジなオウンゴールだと思うよ。

●ギリシャの国民投票はオウンゴールになるのか

 ところで、今日はギリシャの国民投票である。EU案に賛成か反対か、これって超難問なんだろうなあ。
 緊縮による今日明日の生活不安への対応か、東面の緊縮でも未来の生活安定への対応か、どちらを選ぶのか、その国民の賢明さを問われるようで、こわいよなあ。
 どっちに蹴りこんだらオウンゴールになるのか、多分ギリシャの人々は悩んでいるんだろうなあ。
 どちらにきまっても、それが得点か自爆点か分るまでには、ずいぶん時間がかかるだろうしなあ。
 日本でもしこれをやるとしたら、どうするだろうか。
 

2015/07/02

1103・慶應義塾大学日吉キャンパスには旧日本海軍の戦争遺跡が地上に生き地下に眠っている

 
横浜市の北の端に慶應義塾大学の日吉キャンパスがある。
 今朝の朝日新聞東京版の神奈川ページに「戦争末期 作戦立案の地 慶応大日吉キャンパス 旧海軍司令部地下壕」との見出しがある。
 記事内容は、慶應大のキャンパルには大きな長い地下壕があり、ここに1944年に入った日本海軍の司令部が、遠く海上の艦船に作戦指令を出したにも拘らず、ついに敗戦を迎えた戦争遺跡の紹介である。

 戦後70年の企画記事だが、今ではこの地下壕は有名な戦争遺跡であり、慶応大学が保存に力を入れているから、わたしとしては事新しい内容は無い。
 ただし、わたしとしては、どうもこの記事は食い足りない。連合艦隊司令部が地下にあったとだけしか読めないのだが、実は、戦争末期には、日吉キャンパス全体に日本海軍の軍令部、連合艦隊司令部などの枢要な機能が入っって、一大軍事基地となっていたのだ。
 日吉キャンパスばかりか、周辺の丘陵の地下にもトンネルを掘って、日吉地区は海軍の陸の要塞化していたのだ。1945年に横浜都心部はアメリカ軍の空襲を受けた。郊外部では日吉だけが空襲を受けたのは、この海軍基地があったせいだろうと言われている。

 海軍施設は地下にあっただけではなく、地上の大学の施設の大部分を接収して使っていた。リベラリストの小泉信三塾長も、戦争協力はやむを得なかった。
 その大学の建築の中には、いくつかの近代建築として有名なものもあった。中でも建築家・谷口吉郎の設計になる1937年に建った「慶応義塾日吉寄宿舎」は、彼の若い時のモダニズムデザインの典型である。
 この寄宿舎が、連合艦隊司令部の本拠となったのであった。司令部の幹部たちはこの寄宿舎で起居して、地下壕に降りて行ったのだった。


 新聞が地下壕を戦争遺跡として取り上げるのは、もちろんよろしいのであるが、この有名建築家による日本近代建築史における記念的な建築が、設計者の意図とは異なる数奇な運命を経て、戦争遺跡となったことの物語もほしいものだ。
 とくに地下壕は一般には見えないのだが、寄宿舎の建物は今も地上の丘の上に健在で、その端正な姿を誰もが見ることができる。
 これが戦争遺跡であったとは、知る人は少ないのかもしれない。そして今、この名建築が多様な意味を持つ日本の記念的な建築であることを忘れてはならない。日本の一般ジャーナリズムは、建築についてはどうも弱いし、建築ジャーナリズムは、建築周辺のことに弱い(東京駅赤レンガ駅舎に見るように)。
 慶應大学日吉キャンパスには、地上に学生寮として生き、地下には壕として眠る戦争遺跡が、数奇な運命をたどって今も存在しているのだ。





わたしが今日この記事をここに書いたのは、このことについて下記に詳しく書いていることを思い出したからだ。
参照:「太平洋戦争に翻弄された戦前モダン建築」(伊達美徳)
第1章<戦前>慶応モダンボーイの新キャンパス
https://sites.google.com/site/dandysworldg/hiyosi
第2章<戦中>海軍中枢の秘密基地となった日吉キャンパス
https://sites.google.com/site/dandysworldg/hiyosi/hiyosi2
第3章<戦後そして今>戦争の傷を癒しきれない日吉寄宿舎
https://sites.google.com/site/dandysworldg/hiyosi/hiyosi3


2015/06/29

1102ドジな議員さん、ドジな選挙民、そしてドジなわたし自身

 アンポハンタイ、アベヲタオセ、なんて、デジャビュな世の中になったものである。
 懐かしいなあ、アンポ~ハンタイ、キシヲ~タオセ

 でもって、政治の世界では、なんだかドジなお方たちばかりがいるようだ。
 憲法審査会(何を審査するのかしら?)では、学者に意見を聞こうとて、自民党の推薦で招致した学者が、現在の安保法案は違憲だって、真正面から言われてしまった。
 ありゃ、これじゃあ、アンポハンタイ派に勢いを付けさせただけだったなあ、、作戦大失敗と正直に告白する責任者の議員さんがいて、そのドジさ加減がホントにオカシイ。

 そしてまた、今度は失敗しないぞと、右より発言で有名な小説家を招いて、なにやら文化芸術とかに関する勉強会をしたら、こんどは大成功。
 でも、大成功過ぎて、あまりに右より発言された上に、出席者もそれに尻馬に乗ってしまって、なにやら妙なことになっている。沖縄のひとたちを益々怒らせてしまった。
 またまた、そのドジさ加減がオカシイ。
 なんであの辺り議員さんたちは、あんなにもドジなんだろうか?

 でもなあ、いちばんドジな人々は、そんなドジな議員に票を入れて、国会に送り込んだ選挙民たちである。
 この前もその前も、翼賛選挙してなあ、、マッタク、、株価さえ値上がりすれば、ほかのことはどうでもいい選挙民ばかりなんだな、。
 株って、蕪しか知らないわたしには理解不能。
  あ、今日、ギリシャショックで株価の超値下がりだよ、ウヒヒ、ざま~ミロ~、、。
 
 いや、まてよ、そうじゃないか、そういうことを2回の選挙で続けて選択したのが、この日本列島に住む人々なんだから、ドジなんかなじゃない、賢明な人たちなんだな、だから選ばれた方たちも賢明なんだ、うん、そうに違いない。

 そうか、わかったよ、最もドジなのは、そういう世に生きる、このわたし自身のことなんだなあ、う~む、まあ、あとは勝手にやってくれ、。

2015/06/22

1101【尻餅老人起臥戯録8】発症から50日目で大進化したと思ったらX線写真で実は退化とは、、

 この春に、大学時代の同期生10人ばかりと、一泊旅行に行った。驚いたのは、食事の時に薬を飲む奴が大勢いることだ。しかも何種類も飲んでいる。
 それなのに、わたしには飲むなにも薬がない。わたしだけが旅行にお菓子を忘れたみたいで、うらやましかった。
 それにしても毎食事に何種類も飲むって、どれ飲んだかわからなくるだろうし、飲んだかどうかも忘れるよなあ、いや、1日に3回もそれを考えつつやっていると、ボケの進行が遅くなるかもしれないなあ。

 本日2015年6月22日、第4腰椎圧迫骨折で50日目、第4回目の診察であった。そして、わたしもついに3種類もの薬を持つ身になったのである。ボケ防止薬飲み仲間に入れてもらった。
3種類の薬を、それぞれ週1回、朝1回、3食ごとの3種類の飲み方、
飲み方を間違えないように考えるだけでボケ防止になるな
 最初の瀕死芋虫状態から格段の進化をした状態を診てもらった。ところが、X線による冷徹なる事実は、進化どころか退化になっており、こりゃいかんと薬が出てきたのだ。
5月6日に撮った第4腰椎のX線写真の圧迫状態が、元のように回復しているのかと見たら、その逆で今日見ると前よりも潰れているのだ、え、なんだよ~、。

 これはわたしの生活態度が良くないからかと、医師に聞いたら、そうではないらしい。血液検査をして判断するとて、その検査をしたが結果は全く異状なしだった。
 結局医師が言うには、骨密度検査で骨粗鬆症の気配がなかったので、投薬しないできたが、X線写真を診ると骨の回復の薬を飲んだ方がよい、という。
 ふ~ん、早く言えば、診たてを間違ったんだね、とは言わなかったが、しょうがない、わたしもこれで遂に薬を飲む身になった。
 ま、これまでは検査だけだったのが、発症50日にしてようやく治療が始まったということだ。

 ズボンをはくときに、左脚が上がりにくいのは何故かときいたら、ベッドに仰臥せよとて、延ばした脚を医師が手で軽く押さえたまま、上にあげろと言う。
 押さえる力に抵抗して、右足をあげることはできたが、左脚は全然上がらない。押さえる手を外すと上がる。う~む、なさけなや。
 なぜかと聞くと、しばらく寝ている時間が長いので筋肉が弱ったのだろうという。腰のあたりの神経は膝に通じているそうだ。でも、それがどうして左脚だけなのか。当初から左脚が右脚よりも異常だと言っているのになあ。
 これについては、うっかり追及しないままになった。

 それまでは便秘なんてなったことがないのに、この怪我になった日から便秘になったのは、この怪我が原因で排便排尿するための神経系統に異常が起きたのか、と聞くと、そうではないだろうという。便秘薬を出すことになった。
 ということで骨を丈夫にする薬2種と便秘を治す薬とで、今日から3種の薬を飲む身になったのだ。
 これで一人前の老人になった気分である。
 
 今日も、待った待った、8時半に受け付けにはいってから、検査2回、診察2回、支払い終って出たのが13時だった。そのあと病院の前の薬局でまた30分も待たされた。
 まあ、病院通い4回目ともなると、待つ覚悟ができているのだが、なにしろ腰掛けて待つ姿勢ががつらいのだから、困ってしまう。つっ立ったまま待つ方が楽なのだ。
 待ち合いの長椅子に寝転んで本を読んでいると、眠ってしまいそうになるから、ときどき立ち上がってしばらく休み(?)、また寝転ぶ。

 薬局で薬剤師が、医者がどんな病状と言ったのか教えろと、聞いてきた。
 え、なんだよお、こんなに周りに人がいるところでかい、身体の故障なんて一番のプライバシーだぞ。
 こっちは病院でも薬局でも長く長く待ち草臥れている上に、朝から何も食っていないので超不機嫌だ。
 そんなことは医者に聞け、素人のおれに聞いても間違ったこと言うぞと、そっぽ向いた。
 医薬分業なら、医者と薬屋との連携をきちんとするのは、そっちの責任でしょ。医者の出した処方箋について、素人の患者に聞くなんて、チャンチャラおかしい。ここでも診察するなら個室を設けろよ。

・尻餅搗いて突発寝たきり老人になったが、、、2015/05/05~


2015/06/17

1100【横浜都計審】今度の都計審には市街地再開発事業という難しい議題があるが審議会委員さんたちに審議する能力があるだろうか

 もうすぐ横浜市の都市計画審議会がある。毎度のように傍聴に行って、イチャモンをここに書いている。 
 だが、今度の6月22日には行けない。ただいま負傷中にて、行くことはできても椅子に長時間座っていることが無理なのだ。
 だから、ここに事前イチャモンを書いておいて、もしかしたら都計審委員の方が事前に読んでくださったうえで出席なさると、審議の参考になるだろうと期待している。

 今度の横浜都計審の議題は11件もある。1番から6番まではそれぞれ市内各地の特別緑地保全地区の決定や変更である。議題の内容は似ているが、場所はあちこちなので、それぞれの違いがあるはずだ。
 わたしがかつて都計審員をしていた時は、審議会の事前にそのあちこちを回ってみたから、けっこう忙しかった。わたしの外の委員は現地を見ていないようであった。
 委員を辞めてから毎度傍聴に行っているが、そこでの委員の発言を聞いても、だれも現地を見ていないようである。
 委員の方々は、ぜひとも事前に現地をご覧になるべきである。

 議題の7番から11番までは、じつは相鉄線の瀬谷駅の南側の同じ場所である。
 この一つの地区で5件もの都市計画を、同時に決定するのだが、目的は「瀬谷駅南口第1地区第一種市街地再開発事業」という都市計画事業を行うのが目的であり、その他4件はそれに付随する都市計画である。

 さて、まことに失礼な言い方だが、横浜市の都市計画審議会の委員に、市街地再開発事業について審議する能力があるのだろうか
 市街地再開発事業の都市計画は、都計審議題になることは少ないが、かかった時は審議会の無能が露呈される。
 市街地再開発事業の都市計画については、事業の仕組みを知らない者には、その議案書をみても、なにを審議すればよいのか、ここでの課題はなになのか、実はチンプンカンプンのはずだ。いや、チンプンカンプンであることさえもわからないだろう。
 そして現に委員のほとんどが素人なのだ。更に悪いことに事前に勉強さえしてこない。

 それは過去の都計審が証明している。
 去年1月の横浜都計審の議題になった「大船駅北再開発事業」について、ほとんど審議しないで原案通りに通したので、傍聴したわたしは唖然としたのであった。そのことはこちらにルル書いたのである。
 大船駅前再開発議案をまじめに審議していないぞ
http://datey.blogspot.jp/2014/01/890890.html
 またその前には二俣川駅南地区の再開発事業が議題となったことがあった。傍聴したが、まるで審議になっていなかった。
 大丈夫か横浜都計審:二俣川駅南再開発
https://sites.google.com/site/matimorig2x/110831yokohama-tokeisin
 ほかにも日ノ出町駅前市街地再開発事業の時も、ほとんど審議になっていなかった。
 
 上の二つの記事で、都市計画事業に対して都市計画審議会は、なにをどう審議するべきかを詳しく書いたので、横浜都市計画審議会の委員様方はぜひとも、今度の審議会までには、しっかりお読みいただきたいものである。
 そして重要なことは、審議会の前に必ず現地を訪問すること、そして事前配布資料を当日の席上で読むのじゃなくて、事前に勉強してから審議会に出席すること。なんだか小学生に説教しているみたい。

  そして、議題の範囲だけじゃなくて、長い歴史を持っている瀬谷駅周辺地域まちづくりにも、きちんと目を配って審議をなさってください。
 時間が足りない程の意見が出ればよいのだが、意見が無いので審議をはしょるなんてそんな恥ずかしいことをしないでください。
 そしてまた、つまらぬ質問しかしない都市計画質議会じゃなくて、委員としての意見を述べあい討論して、真面目に審議をしてくださいませ。

 わたしはこれらの再開発事業、あるいは今回の瀬谷駅南の再開発事業に、反対とか賛成とかの立場ではなくて、都市計画事業の都市計画決定にかんしては、他の都市計画決定とはかなり異なる諸課題があるのだから、、もっと真摯に審議せよと言うのである。なにしろ都市計画審議会なのだから。

 この都市計画決定によって、このあと事業認可から権利変換というドラスティックな現地を動かす事業なのに、余りに素人談義で済ます、いやそれさえもなくて、分らないままに原案賛成だけに手を挙げるのは、まちづくりに努力する地域のひとたちに失礼だし、なによりも都市計画の基本に悖ると思うのである。

 しっかりせよ、横浜都計審!!!6月22日の審議に期待しておるぞよ!

参照
●横浜ご近所探検隊が行く
http://datey.blogspot.com/p/blog-page_19.html
●都市計画審議会を改革せよ
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tokeisin
●あなたの街の都市計画はこんな会議で決めている
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning