新国立競技場騒ぎは、なんとまあ、アベ総理のちゃぶ台返しだそうだ。こんな一運動競技場如きは担当のJSC理事長、せいぜい文科大臣の役だろうに、なんと総理大臣がでてくるなんて、今の政府はどこかアフリカあたりの独裁国みたいだ。
これって、もしかして憲法違反騒ぎでの不人気の挽回策だろうか。
ここにきてカネメの話になって、ようやく抜本的見直しになるらしいが、老大家槙文彦氏から初めに問題提起された景観デザインについては、どこかに追いやられたようだ。
カネメ問題と言い、首相の登場と言い、まことにもってポピュリズムニッポンですな。
どうせなら、この際、オリピック返上ちゃぶ台返しってやれば、やんやの喝采!?!?
ところが、可笑しいのは東京五輪組のモリ親分が「生ガキみたいで嫌い」って、景観からの見直しを言ったのには???。
まあ、高さの見直し(20m以下にする)については、ちゃぶ台には乗ってなかったでしょうな。
●JSCお抱え建築専門家はどう対応したのか
でも、こういう判断は政治家や文科省建築素人官僚だけでは不可能だろうから、当然のことにJSC発注のもとで担当している建築の専門家たちの検討があるのはずである。
いま、JSCが使っている専門家は、大成建設、竹中工務店、山下設計、山下ピー・エム・コンサルタンツ、建設技術研究所、日建設計、梓設計、日本設計、アラップ設計。
で、この方々はどういう判断をしたのでだろう、それを知りたい。この方々は、ここに至るまでただただ傍観していたのだろうか。それで専門家としての倫理が許しますか。
JSCの発注サイトには見直し検討の発注が書いてないから、それをこの方々がさせられたのだろうか。もちろん、見直し検討の仕事は、今の発注の外だろうから、きちんとその報酬をおもらいになるのでしょうね。それともタダ働きですか。
とにかく、このプロジェクトに関して一番よく知っている当事者である建築の専門家の顔が、全然見えないのは実に奇妙であるが、そのあたりは例えばJIAではどうお考えなのでしょうか。
●国際コンペを手続きルールもなくてひっくり返してよいのか
ところで、国際コンペの後始末を、どうするのだろうか。ザハ・ハディド案を一から見直すのだから、あの案を破棄するのだろう。とすれば、当然のことに違約金とでもいうべきものを払うのだろう。それもまた、無駄な出費であることを承知でのちゃぶ台返しなんだろう。
これまでJSC発注の基本設計費や実施設計費も、いまとなれば無駄な出費であるが、それを担当した専門家たちの責任はどうなるのだろうか。ちゃぶ台返しの直接的原因となった、予定工事費額を大幅に超過した責任はないのか。
こうやって国際コンペで一等になったのに、着工のどたん場に来て、総理大臣のひとことでひっくり返ったことになる。これを国際社会はどう見るだろうか。
建築家や市民の反対の声は多かったが、レファレンダムのような手続きは何も経ていないまま、首相の言葉による当選案廃棄だから、人気策ポピュリズムちゃぶ台返しである。
総理大臣はちゃぶ台返しの前に、国際コンペ委員長だった安藤忠雄や一等のザハ・ハディドに交渉したのだろうか。どうも何も話はしなかったような気がするが、日本の政治家が考える建築家の地位はその程度のものだろう。
今後、日本で建築設計の国際コンペがあっても、うっかり応募できないぞ、一等をとっても、レファレンダムもなくて政治的ちゃぶ台返しに遭うのだからと、世界中の建築家が思っているだろう。日本の建築界の信用が問われる。
このあたりを、JIAとか建築学会とかは、なにもアピールすることはないのだろうか。
●ちゃぶ台返しで進むポピュリズムニッポン
新国立競技場については、市民や建築専門家たちの会論があったことは確かで、こうなったのは良い方向であるだろう。もっとも、結論が良くなるかどうか、かなりあやしいが。
最初はコンペのやり方や景観的な面から異論だったのが、今は結局はカネメの問題になって、分りやすくなったが、問題はある面では矮小化した感もある。
カネメのことを言うなら、オリンピック運動会という壮大な無駄遣いをやめるべきである。
これで、これまで反対してきた人々が、このチャブ台返しをもって、アベさんはエライなんて思うとしたら、かなりアブナイ。
オリンピックの国際公約なんて言葉を吐いていた人が、文科省の機関による国際コンペなる手続きで決めた国際公約を、なんの手続きも経ないでチャブ台返しするって、首相って人は、なんでも独裁的にひっくりかえせるとしたら、今のこの世は実に気持ちが悪い。
コンペ応募要項に、「ただし総理大臣がちゃぶ台返しをした場合は、一等当選を取り消すことができる」って、かいてあったんだろうなあ。
参照
◆【五輪騒動】新国立競技場建設と神宮外苑再開発瓢論集
http://datey.blogspot.jp/p/866-httpdatey.html
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