2019/11/13

1427【横浜徘徊】横浜寿町ドヤ街ではこれまで増えてきたドヤ数もドヤ居住者数も頭打ちになりどう変るのだろうか

●寿地区に市の新しい施設が建った
熊五郎:やあ、ご隠居、生きてますか。
ご隠居:おお、熊さんかい、まあ、おあがりよ、ああ、生きてるよ、ちゃんとね。
:ひと月余り前から腰が痛いと寝てたけど、治りましたか。
:ああ、いつものように念力で治したよ、だから黄金町にアート展を観に行ったし、久しぶりに簡易宿泊ドヤ街の寿町あたりの徘徊もしてきたよ。
横浜市中区の寿地区俯瞰全景
:そりゃ良かった、で、久しぶりの寿地区はどうでしたか。
:つい先日、寿地区で地域活動する専門家のガイドによる見学会に参加して、ちょっと詳しく実情を知ったね。
:そういえば、寿町に近ごろ大きなビルが建ったでしょ。
:あれは実はもとあった市営住宅や福祉施設が古くなったので、機能を見直して建て直したのだそうだよ。
:じゃあ、マンションとか、おっとご隠居はマンションって言葉を嫌いで共同住宅ね、あるいは高層ドヤビルとか、ホテルとかですか。
:いやいや、横浜市の施設だからそうじゃないよ。寿地区がかつては若い日雇い労働者たちの街だった時代につくった施設だけど、今は社会的援助の必要な高齢者たちの街になったので、それに対応する施設に建て直したのだね。市営住宅も家族向けを多くしてね。
中央の高いビルは市営住宅、右は民営簡易宿泊所ビル、手前は飲み屋街

横浜市寿町健康福祉交流センターと市営住宅

:それで街がなにか変りそうですか。
:さあ、歩いてみてるだけのわたしには分からないけどね、施設はかなり開放的で、寿地区の簡宿滞在者が大勢たむろしてたよ、近隣の人たちも入り易い様な気がしたね。
:じゃあ、ご隠居も徘徊中はそこで休憩してはいかがですか。
:そうだね、だれでも利用できる広いラウンジや図書室コーナーがあるからね。

●寿地区のドヤもドヤ住民も減少傾向
:ドヤという貧困ビジネスは相かわらず繁盛のようですか。
:この数年は寿地区を訪ねるたびに高層の簡易宿泊所いわゆるドヤのビルが新しく建っているから、簡宿は景気よく増えていると思っていたんだがね、どうも違う感じなんだよ。
:ほお、不景気ですか。
:それはなんとも言えないけど、今回は地域活動しているNPOの方に話を聞き、資料をもらったのでそれを見ると、簡易宿泊所はこのところ減少して停滞気味らしいのだよ。ほれこの寿地区の統計グラフをごらんよ。
「横浜市寿福祉プラザ業務概要」より引用
:ほほお、ドヤビルの数とドヤの部屋数の経年変化ですね、おや、2010年まで増え続けてピークには8800室もあったのが、去年は8300室に減ってます、この傾向が今後も続くのですかねえ。
:さあ、どうなんだろうかねえ、もうひとつ、こちらの寿地区の宿泊者数のグラフをごらんよ、宿泊と言っても実は寿地区ドヤで暮している人たちの数だよ。
「横浜市寿福祉プラザ業務概要」より引用
:おお、こちらも減ってきていますね。1998年がピークで約6500人、それが20年後の2018年には約5700人になっていますよ。どうしてなんでしょうかねえ。
:わたしにはわからないけど、日本の人口減少が及んでいると考えるのは早計だよな。福祉政策が進んで簡宿ドヤ暮らしから抜け出る人が増えた、あるいはドヤ暮らしに入らないでも暮らす人が増えたとか、それならむしろ良いことだよね。
:でもねえ、ドヤ暮らしの人の9割は生活保護受給者しかも高齢者ですから、簡単には抜け出られないような、どうなんでしょうかねえ。

●空き室だらけ過密居住という奇妙さ
:宿泊者数と宿泊部屋数と較べると2600室も空いていることになるけど、これじゃあ空き家だらけの街だね。
:そうなるけど奇妙ですねえ、びっしりとドヤビルが建つから通風も日当たりも悪く、狭い3~4畳間で暮らしてる、しかも約6ヘクタールの寿地区に5700人だとヘクタール当たり950人って超過密、それなのに実は空き室だらけって、なんだかひどく矛盾してますね。この受給アンバランスでドヤ商売の経営も沈滞ですかねえ。
:ところがそうとも言えない感じで、このところ寿町地区のあちこちにで古い中層簡宿ビルを高層簡宿ビルに建て直してるよなあ、それでエレベーターがあり車椅子に対応できる新しい簡宿に人気が出ているらしい。
新旧の簡易宿泊所ビル
:そうか、ドヤ住人が高齢者ばかりになって、古いドヤでは暮らしにくい、となると空き室の多くなる古いドヤビルの建て替えがもっと進むかもしれませんね。でも、ドヤビル商売そのものは不動産業としてどうなんでしょうね。
:簡易宿泊所稼業は不動産営業としては、普通のホテルや賃貸住宅よりも賃貸収入が高率だし、生活保護費から宿泊料の取りはぐれはないし、いい商売のようだよ。
:じゃあドヤ需要が伸びなくても、ドヤの新旧入れ替えと集約的な新陳代謝が起きるでしょうね。
:そう、特に寿町地区では、戦争直後に安く買った土地の地主がドヤビル事業主だから、建物は古くて減価償却してるし、新たな土地投資がないので、建て替え投資しても経営的にはよい商売だろうねえ、たぶん。でも需要が減っては仕方ないから、なにか転換が起きるかもしれない。

●寿地区にゼントリフィケーションが起きるか
:今後は簡宿所の数が減っていくとしたら、寿地区もあらたな動きになる可能性も出ますね。例えば不動産デベロッパーが地上げして、なにか新開発をするとかね、だってここは横浜都心の便利なところですから、潜在的開発能力を持っていますからね。
:う~む、どうなんだろうねえ、もうちょっと見ないと何とも言えないねえ。
:ふ~む、寿地区のイメージを転換するには、まだ時間がかかりますかね。でも、地上げ型の不動産開発で、例えば分譲マンションいや共同住宅ビルが進出してくるとなるとゼントリフィケーションが起きますね。
:あ、そうだね、それでドヤ住いの人たちが追い出されて、しかもどこにも行くところがないとなると、社会問題が大きくなるね。
:寿地区って、都市レベルの社会的セイフティネットの役割を持ってますから、きちんと別の受け皿がないままに、経済原則に押されて無くなっては、困ることになりますね。
:そういえば先日、寿町に大きな空地ができていたよ、あそこになにができるのだろうかねえ。
寿地区の状況と空き地となった場所(赤四角部分)
空き地になる前はこのような下駄ばき住宅ビルだった

上のようなビルが取り壊されておおきな空き地になった
:え、ドヤビルの再開発ですか。
:いや、70年代からだったかねえ、当時の日本住宅公団いまのUR都市再生機構がね、各都市の都心部で土地を持つ企業と協力して、下層階は企業所有施設で事業をして、上層階に公団住宅を載せるという「市街地住宅」ビルをたくさんつくったのだよ。この寿町で空き地になったところは、その仕組みで建てたビルがあったのだよ。たぶん昔からの港湾関係の企業だろうね。
:ということは、URがそこに新しい住宅ビルと建てるとか?
:いやそれはないだろうね、たぶんURは撤退して地主企業が何かを建てるのだろうね。細分化されている寿町の民有地の中では、あれほど規模の大きな空地出現は珍しいから、なにができるのか興味あるね。
:いまさら超高層ドヤビルってことはないですね、高層マンションかな。
:う~む、高層共同住宅ビルってのも、どうかねえ、寿町地区の外殻の幹線道路沿いには、高層共同住宅がいくつか建っているけれど、この空地はちょっと内側でドヤに囲まれているからねえ、一般住宅としては売れにくいかもなあ、いっそのことホテルはありうるかなあ。

●寿地区に大学サテライトキャンパスを
:そうだ、ドヤも頭打ち傾向が見えるのなら、いっそのこと一足飛びに、まったく新しい機能が入ってくればいい、それを契機にドヤ街イメージを払拭するんですよ。え~と、例えば大学ってのはどうです。
:お、すごいこと言うね、う~む、大学のサテライトキャンパスならありうるかもね、いや、無理かな。
:ホラ、関東学院は公園通りの教育文化センター跡地に、そして神奈川大学もMM21に、それぞれ建設中ですよね、となると残りの地元大学なら、横浜市立大学か横浜国立大学ですね。
:そうそう、いいねえ、そもそも大学が都心部にサテライトキャンパスを持つのは、30年ほども前から流行が続いているけど、集客目当ての駅前立地なんて商業施設みたいな考えだよね、大学が都心立地をするなら、その立地によって地域の課題を解決するという社会的目的も持ってほしいよ。
:その点では、解決すべき社会的都市的課題を抱えている寿町地区に、大学がキャンパスを構えることは大いに意義があると思いますね。地域に入って問題に対応する大学って、いいですねえ。
:もっとも、大学が勘違いしてゼントリフィケーションに与するかもなあ。
:それは困りますね。
あ、そうだ、2000室も空いている簡宿の部屋を、大学の施設にリニューアルするってのはいかがかな。
:おお、それなら今すぐにでもできるなあ、街に溶け込んだ大学キャンパスって、いいなあ、横浜市大・国大寿町キャンパスを期待しましょうかね。
:まあ、今のオーナーがどういうかは、全く分からないけどね。

●環境悪化大原因は中村川の高速道路
:先日の見学会で10年ほど前に泊った簡宿の中に入ってきたよ。綺麗にリニューアルされていたよ。
:あ、寿地区のあちこちのドヤの空き室を安宿にして運営しているホステルビレッジですね。そうですか、広い部屋でホテルみたいになってましたか。
:いやいや、間取りは相かわらず3畳間で便所共用、コインシャワー、エレベーターなしだけどね、ちょっと内装を変え、ベッドを入れたりしてたね、外国人客が多いそうだよ。
以前に泊まったと同じタイプの宿泊室

コテコテ装飾した宿泊室の中廊下
:あの運営してるホステルビレッジは、繁盛してましたか。
:前はいくつかの簡宿をホステルに運営していたけど、いまは一軒だけの上層階40室ほどだけというから、あまり展開していないらしい。でも外国人が多く利用するので、それ自体は繁盛している様子だったよ。
:ほお、安宿を探す外国人なら地域偏見はないだろうから泊まるでしょうね。でもあの狭さや過密さに辟易しないのかしら。
:そうだねえ、以前にその簡宿に泊まった時に部屋の窓を開けると、目の前がいきなり隣の簡宿の窓で驚いたけど、先日は中村川の側の窓を開けてこれも驚いたね、こちら東南は道と川だから良い環境かと思えば、目の前に高速道路がガンガンと騒音と排ガスを振りまいているんだよ、眺めが悪いなんて言う前に、とても人間が住む環境じゃないね。
簡宿の窓の外は中村川上空の高速道路が大騒音

寿地区の隣りの石川町では高層共同住宅を高速道路がとぐろを巻く
:そうそう、寿地区ばかりじゃなくて、中村川と堀川沿いには一般の共同住宅ビルがたくさん建ってますが、都心部の同じ川でも大岡川沿いと比べると、あまりにひどすぎますね。あの高速道路は寿地区ばかりじゃなくて、関内と関外地区つまり横浜都心部の環境悪化のガンですよ、
:中村川の高速道路は、都市計画当初案では大通公園を通る様になっていたのを、こちらに変更したんだよ。
:え、そうなんですか、どうしてこっちに変えたんですか。
:この高速道路を決める当時の飛鳥田市長が反対して、当時のその懐刀だった田村明局長がこのルートに変えたんだよ。だから今じゃあ大通り公園沿いにも高層共同住宅が建っているけど環境いいよね。
:どんな事情があったか知らないけど、中村川のあたりは被害者ですね。あ、そうだ、東京の日本橋では川の上の高速道路を地下に潜らせる計画が進んでいますよ、同じ首都高だからこちらも地下にしてもらいましょうよ。
:それがいいね、石川町ジャンクションもまったくひどいもんだから、あれも含めて高速道路全部を山手の丘の地下にもぐらせるといいね。そうすれば都心部に山手の緑の眺めが戻ってくるし、堀川と中村川沿いにも桜を咲かせたいねえ。
:寿町ドヤ街から話がそれたけど、考えてみればそれも寿地区の都市的環境改善の大きな方向ですよね。
:皮肉な見方をすれば、寿地区のゼントリフィケーションを防止してきたのは、この高速道路かもしれないね。

●これまでに書いてきた寿地区の話
2019/09/27・1421都市プランナー田村明の呪い…いつだれが解くだろうか(中村川上空の高速道路の酷さ)
https://datey.blogspot.com/2019/09/1421.html

2019/01/05・【2019初徘徊は寿町】B級横浜ガイド・寿町・松影町あたり:デラシネ日雇労務者が高齢化定住した貧困ドヤ街
https://datey.blogspot.com/2019/01/1180b.html

2018/12/19・【寿町の繁栄】貧困で超高齢化する日本の縮図のようなこのドヤ街は縮図どころが拡大しているような
https://datey.blogspot.com/2018/12/1173.html

2018/02/12・不良共同住宅ビル→不良民泊共同ビル→空き家ビル→ドヤビル:不良住宅再生産ドミノ現象の街
https://datey.blogspot.com/2018/02/1317.html

2015/01/05・横浜寿町ドヤ街は新築高層ドヤ建築が林立して周辺へも拡大中にて貧困ビジネス繁盛
https://datey.blogspot.com/2015/01/1046.html

2009/02/16【横浜ご近所探検】哀しきは寿町といふ地名と詠むホームレス歌人  

2007/09/03・横浜寿町ドヤ街宿泊体験記

2019/11/03

1426【横浜ご近所探検徘徊:新港ハマーヘッド】新客船埠頭とて第2の大桟橋デザイン出現かと見に行ったが大空振り

正面は新港客船埠頭新ターミナル 左は接岸する巨大客船
ひろ~い殺風景な駐車場の中のショピングセンター?
横浜新港に大型客船埠頭をオープンしたと聞いて、新し物好き徘徊に行って見た。
 全体の名称を「横浜ハンマーヘッド」というそうだ。大きな鉄骨組み立ての金槌状のクレーンがあり、その形からハンマーヘッドというらしい。
 身もふたもない結論を先に言っちゃうけど、郊外にあるダダっ広い駐車場の中にオフィス乗っけたショッピングセンターみたい、アートテイスト皆無、つまんない、ま、広告がないだけまし、裏に隠された古鉄骨と古岸壁だけが素晴らしいけどね、特別の用事でもないかぎり行く気がしない。

まだ倉庫があった頃のハマーヘッドクレーンがある新港埠頭
2016年4月のハマーヘッド風景

2019年11月のハマーヘッド風景

 新港のこの埠頭には大きな倉庫が数棟あって、ここだけは昔の港の雰囲気を残していた。アートイベントで使われるときには何度か訪れたことがある。水際の荷役用の大きな鉄骨構造物(ハマーヘッドクレーン)を眺めたものだった。
 そこを大桟橋に並ぶ大型客船埠頭に改修して、ターミナル施設を作ったというのだ。つまり、あの有名な大桟橋のターミナルと同じ機能だろうから、あの驚嘆するデザインがまた登場したにちがいないと期待して見に行った。冒頭に書いたように大空振りだった。
近ごろ横浜の建築には珍しく花魁頭むき出し
もしかして屋上モダンアートミュージアム彫刻群かな?

 建築も凡庸な、いや堅実デザインだが、まわりの環境デザインもつまらない。まあ、へんにコテコテデザインするよりもあっさりしていてよろしいと言いたいのだが、水辺と建築の取り合いが全くないのが不思議なくらいだった。もしかして大桟橋で懲りて、普通の設計にしたのかかしら、設計者は空港デザインのベテラン梓設計だから、海港だって得意だろう。
 それのせいで、つまらないデザインと思っていた隣の「MARINE WALK YOKOHAMA」の水辺デザインが、比較的にちょっと素敵に見えてきた。
 そういえば、新港ではなんでもかんでも赤レンガ亜流デザインらしかったが、ここにはそれが全然見えないのは、もう卒業したのかな。
 大桟橋デザインの凄さが例外かもしれないが、それにしてももう少しは楽しませてくれるデザインをしてくれてもよかったろうにと思う。
新港埠頭新ターミナル全景 右にMARINE WALK
客船ダイアモンドプリンセスと埠頭新ターミナル

さて、ここの港湾の歴史を物語る遺産、ハマーヘッドクレーンを見に行こう。だが、新ビルの陰になってしまい、知っていないとそんなものがあることは、ほとんど分からないのだった。
 新ビルの横をトコトコ歩いて裏に回ると、殺風景な広い駐車場があり、そのむこうの水際に健在であった。お懐かしや、お元気ですかあ、いやもう死んでいるんだな。
 レンガを砕いた赤土舗装(?)の空き地に巨大な古鉄骨組物、これでもし錆びていたら、けっこういい雰囲気なのだが、残念にも?ピカピカにペンキ塗り修理してあった。

ハマーヘッドクレーンの勇姿
まわりの見物の人々はみんな客船を見上げているなかで、この無骨鈍重な姿の鉄を見上げているのはわたしだけ、変人と思われたかもなあ……。
 でも客船の姿は単なる横にバカデカい高層共同住宅で、特に面白くもないのにに人々はなぜしげしげと見上げるのか、ま、船旅する金持ち時持ちを羨むのは分かるけどね、そう、巨大客船には距離と時間とお金と人間が超圧縮されている。

客船ダイアモンドプリンセスと対峙するハマーヘッドクレーン

右にハマーヘッドクレーン、向うに増築した客船埠頭

煉瓦を砕いたらしい舗装はなかなかの情緒
 
これから公園として整備するらしいのだが、願わくばヘンにコテコテ造園デザインしないで、むしろ荷役埠頭の雰囲気を出す廃墟感をだして、、あ、そうだ、ハマーヘッドクレーンも錆色剥げ剥げ古色だして塗っていはいかが? 
 廃墟感と言えば、クレーン傍にいかにも廃墟の姿で海に突き出す土木構築物がある。かつての埠頭岸壁の一部だろうが、これと赤さびクレーンの取り合いは、絵になるなあ。
旧岸壁の一部なのだろうか迫力ある土木造型遺産

 もうひとつ気になっていた新港の歴史を示すもの、この新港桟橋入口に以前から立っていた一対の門柱である。
 探したらターミナルビル入り口あたり(元の位置だろうか)にあったが、邪魔だが路傍に残しておこうのデザインで、通る人たちの誰も注目することはないのだった。もっと積極的に生かす方法を考えなかったのか、惜しい。
かつて入り口にあった門柱

 ふと見ると向う隣の岸壁に格好良い船が着いている。船のことはよく知らないが、映画に出てくるようなお金持ちが持っている豪華クルーザーなんだろうなあ、いかにも舟らしいスマートで優美なデザインである。船名は「BIKINI」と書いてあって、あの水爆実験を連想させて不気味、いやいや例の水着を連想すべきか、。
 この船を見ていてふと思ったのは、港の陸上施設のデザインは、船のデザインの引き立て役であるべきとすれば、このハマーヘッドターミナルビルもMARINE WALKも、実に正しいデザインであるのだろう。でも船からの来訪客にはつまらないだろうなあ。
BIKINIという名の豪華クルーザーは隣の埠頭

 というわけで、わたしの眼には単なるショッピングセンターなので、まわりをぐるりと見ただけで脚が疲れて退散した。ケチつけた言い訳すれば、わたしは山男なので海に関心が薄く、このような施設の見方がわからないのだ。
 大桟橋ターミナルビルには時にはふらりと行って見たくなるのだが、ここにはもう一度だけハマーヘッドクレーン公園整備ができた頃にくれば、それで十分だ。

 とはいうものの、最後にちょっと褒めておく。
 このような国際的な客を迎える空間の建築は、えてして新興国ほど妙に頑張る傾向があるのは、今の中国やら東南アジア、あるいは中東諸国にその例は多い。
 横浜港はまさにそのような日本が新興国として、来訪外国人に背伸びを見せる場所であったので、赤レンガの西欧近代建築手法で建築を整えていった。だがその洋式真似事は、日本固有の災害である関東大震災で壊滅したのである。
新港埠頭の当初計画図 赤色がレンガ建築
関東大震災から復興直後の新港埠頭
  
そしてこの横浜港の建築は、新進表現の思想を歴史表現の思想に変えて、レンガ色に固執しつつ耐震建築にする。その一方で、折り紙の大桟橋ターミナルやスイカのインタコンチホテルのように、新興国らしく要所には奇抜な形態も配置することもわすれない。
 しかし今や新興を越えて成熟した段階のデザイン時代に来たらしく、今回の新客船ターミナルのように、要所にありながらもまことに凡庸かつ手堅い現代建築に落ち着いてくるのだろう。ようやくその段階に来たというべきかもしれない。それは例の新国立競技場が、鬼才建築家の案を廃棄して、堅実ゼネコン案を採用したことに符合する。そういえばこの埠頭ターミナル設計者は、あの凡庸なるデザインの新国立競技場の設計者の一員でもある。

 なお、横浜新港地区の建築に関しては、いままでにこんなことを書いている。
・(2012/06/20)横浜港景観事件(8)赤レンガ建築建ち並ぶ出島だと思っていたら実は
https://datey.blogspot.com/2012/06/632.html
・(2012/07/27)横浜港景観事件(10)横浜の景観行政の凄腕を新港地区に見に行く
https://datey.blogspot.com/2012/07/646.html


2019/11/02

1425【フェイクバッカ10月狐乱夢】消費税非国民、台風19号直撃、愛トレ名古屋市長、県公社広告、ラグビー世界大会、王権継承儀式、首里城炎上


10月2日:消費税全額支払わない非国民
今日から消費税10%、増税分は年金医療介護子育て等の社会保障財源、しっかり納めるべき。なのに酒以外の飲食品8%、キャッシュレスで5%とは、実にケシカラン。国民はすべからく外食して家では酒だけ飲み、カードやめて現金払いだけにせよ、軽減税率で買い物するヤツは反日だあ!、キャッシュレスでポイント稼ぐ奴も非国民だあ、!
 消費税10%で計算が簡単になり、暗算不得意年寄りには嬉しいな、いや、いっそのこと100%だと計算がうんと楽なのになあ、。

10月3日:本物の偽物とは
おお、これはグッドアイデアだあ!、これでスポーツ業界はドーピング問題の解決だあ!、でもなあ、われとわが身に使いたいときはどうするか?、、そうだ、息子に頼んでおこう、オレがボケたらボケ治療薬と言って飲ませてくれと、。

10月8日:愛知トリエンナーレと名古屋市長
しちょうさんが、はんてゃーちゅうて、すわりこみデモしとりゃーすとは、なんかしらんが、ナゴヤっちゅうところは、どえりゃあ、おくれとりゃーすでなも。

「表現の不自由展」会場前で、名古屋市長が個人的に「表現の自由展」をやってるらしい、これもトリエンナーレの一部なんだな。

台風19号東日本直撃大災害

10月12日:台風19号関東直撃コース
こちら関東の住人達は、ただいまは固唾をのんで、今夕から深夜にかけて襲い来る、巨大強大台風を不安に満ち満ちて待つばかり。
 これで連想したのは古事記の出雲神話のある場面、ヤマタノオロチが毎年やってきて大暴れ、これまでもう7人の娘が食われてしまった、こんどは最後の娘のクシナダヒメが食われる番、もうすぐやって来るオロチを待って震えている親のアシナヅチとテナヅチ、その二人の気分が今の関東平野のわたしたち。今もって古事記の時代と同じとは、、。
さてそこにフラリやって来たスサノオが、オロチを退治して助けてくれるのであったが、中国地方各地にはその神話をもとにした神楽がある。
民俗芸能備中神楽オロチ退治場面。
https://www.youtube.com/watch?v=l9oxzPesw0Y&list=PL0FYyhtn3CBjh5vkZR_5NQua_kxJkSqAY&index=11&t=407s
 台風は南の海の熱い潮を呑んで、それをエネルギーにして凶暴になるとか、それってオロチが酒を呑んで暴れるのと似ているが、さて、現代のスサノオはどこにいるのか、スサノオロボットが台風退治するときがくるのか。
 台風の衛星写真を見ると、まさに八つの尾を持つ白い龍がとぐろを巻いて暴れ、中心にちゃんと一つ目があるのがご愛嬌。
  独眼の白龍渦巻き南海を覆い尽くして北へ北へ
        (野分待ちつ漫詠 まちもり散人)
10月13日:台風19号直撃す
昨夜はもしかしたら今度はあるかもと期待しつつ、ろうそくなんぞ用意しましたが空振り、残念でした。停電に思いを致すのは2011年の大震災核発電所爆発以来のこと、その時も実際にはうちでは停電経験なしでしたが、その頃ネパールに遊びに行き、あちらは毎日8時間停電が当たり前、なんとも貴重な停電体験をしたのでした。
もっとも、毎日やってるとそれが当たり前になり、大騒ぎになる日本は遅れているなあと思いましたね。停電騒ぎが15号からつづき、更に今回拡大するでしょうが、ネパールを見習うとよいと思っています、これ半分冗談ですが、半分本気です。
10月14日:台風19号で水没タワマンだって
多摩川べりの「ムサコ」「フタコ」、「タカツ」で水浸しかよお、もう「マンション」(豪華邸宅のこと)なんて詐称をやめて、「タワアパ」と言いなさいよ。

ラグビー世界大会には困ったもんだ
10月14日:ラグビー世界大会日本組勝つ
えー、勝っちゃったのー?、、また今日も紙屑新聞が来るんだな、やれやれ、スポーツナショナリズム不気味ー
10月14日:ラグビー対台風19号の試合の勝負は
さすがの朝日スポーツ新聞も、今朝は一面と社会面トップを、台風被害記事に譲ったな
10月20日:ラグビー世界大会日本組大敗
なんだ、ぼろ負け点数じゃん、さすがの朝日スポーツ新聞も、明日はスポーツ面だけの記事だろうな。
10月21日:ラグビー世界大会日本組大敗
ぼろ負けでも「日本 歴史刻んだ」って、意味わからん一面トップ記事、朝日スポーツ大本営新聞かよ、やれやれ、スポーツナショナリズム不気味

10月14日:横浜市教育文化センターが消えた
横浜大通り公園北詰め、え~と、ここにあった建物、赤いレンガ色してて、なんて言ったけか、横浜市の公共施設で、市民ギャラリーとか小劇場とか、文化創造活動の場だったなあ、たしかあれは前川國男設計だったなあ、すっかり消えてしまった、跡には地元大学校舎か、それもよろしい。


10月18日:県公社住宅の新聞全面広告の意味は
 
これって神奈川県公社経営の賃貸住宅の広告らしいが、「賃で楽しむ」と書いてあるよ、県公社の社員募集広告ですかね、「賃貸業で楽して稼げますよ」ってことかしらねえ、つまり「賃貸している大家が楽しむ」のですね?
 もしも賃貸住宅の「賃人を募集」している広告ならば、「賃を楽しむ」と書くはずだからね。貸している側が楽しくてもよいのだけど、借りてる方こそ楽しむ住宅でないと、賃借人が集まらなくて空き家になるのはあたりまえだよ、なにしろ今の家賃じゃ高くて楽しめないよ。
 この広告掲載料は幾らなんだろうか、公的機関の住宅を民間不動産屋と張り合って宣伝する必要があるのか、空き家があって困っているのか、公的住宅なんだから賃貸料を政策的に下げなさいよ。
 こんな高額広告掲載料を出すよりも、今の民間賃貸住宅並みの高額家賃を下げなさいよ、そうすりゃ広告出さなくても空き家がなくなるよ、そもそも民間不動産屋と同じことやるって、公的機関の公社としてオカシいでしょ、アフォーダブルな居住政策をやりなさいよ。
 そんな家賃政策を公的住宅に義務付けている日本の居住政策がホントにおかしいよなあ、。
 参照:https://sites.google.com/site/machimorig0/kosya

10月18日:立地不適正化計画?
 
この記事内容が正しいならば、財務省からこんな初歩的な指摘されて、これじゃあ「立地不適正化計画」だよ、国土交通省はもちろん、全国各地で策定に関わった都市プランナーたちは、どう考えてたの?
 いったいどうしてこのような計画ができるのか、もしかしてインフラ整備予算付けない財務省へのアテツケかな。
 事情をご存じの方は教えてください。

10月18日:オリンピック騒ぎ
オリンピックマラソンを札幌でやる変更ついでに、王権後継就任パレードも同コース日時に変更します

10月22日:謎の特別祝日
夕刊が来ない、え、今日は祝日だから?、どうして?、体育の日は過ぎたし、文化の日はまだだし、ヘンだな、呆けたらしい、いや、俺じゃなくて、世間が、。

10月28日:埼玉県参院補選投票率2割泡沫16万票
バカにされた埼玉県、県民もバカにして投票たった2割、それでもやっぱりいたよバカ16万余

10月28日:文科大臣発言す
ごもっともなご発言だと思います

10月31日:首里城炎上す
もったいないなあ、あ、そうだ、辺野古埋立をやめて、その金で首里城再復元しましょうよ。あるいはアメリカから戦闘機を買うのをやめてこちらにまわすとか、


10月の伊達の眼鏡ブログ新記事


10月23日:新王権継承儀式風景

誤解されないように書いておくが、わたしはこの体育館、じゃない、松の間を日光東照宮のように、あるいはベルサイユ宮殿のように、飾り立てろと言っているのではないよ、空間の大きさというか、しつらえのプロポーションというか、新旧の取り合いというか、なんとも構成が幼稚というか、オカシイなあと思うのだ。

10月26日:伊達の眼鏡ブログ新記事:横浜ご近所探検・東横線跡
 東急東横線桜木町駅が消えてから15年、鉄道跡の高架橋だけが雨ざらしになっていたが、最近になって遊歩道にしたと聞いたので、桜木町から紅葉坂に登るのが楽になっただろうし、横浜市流の土木遺産保全お手並み拝見と、期待しつつ行ったのだが、、、