2015/01/23

1050【横浜都計審傍聴①】地区計画議案の公的大規模開発の内容がさっぱり分らない

 
 どんな街ができるのか、ほとんど分らない地区計画である。説明がナットラン。資料が足りない。
 元プロだったわたしでさえわからないのに、素人委員に分って審議できるのが不思議だった。内容を具体的に理解できない自分を、気持ち悪いとも思う。
 横浜市の都市計画審議会に、いつものように傍聴に行ってきた。今回も、いつものようにイチャモンである。言わなくてもすむ時が来るのかなあ、あ、わたしがボケるときか。

都計審を傍聴してもなんだか分らない地区計画
 鶴見にある花月園競輪場跡地と企業社宅跡地の、広大な共同再開発計画に対応する地区計画案件が議題に出た。10.7haの大規模なのだが、この計画の中身がさっぱりわからない。都市計画の図書の説明ばかりで、肝心の開発事業の中身がほとんど分らないのである。
 このような事業に対応する地区計画は、かなり詳細計画があってこそ議案にできるのに、その中身をほとんど見せないのである。
 しかも、地形が複雑なので、実施計画内容を抽象化して記述する都市計画図書を見るだけでは、ほとんど判断できないことが多々ある。地権者も複数である。

 こういう計画の説明は、模型やCGを使って、整備開発のできあがりイメージを見せ、事業の仕組みの説明がなければ、簡単には判断ができない。ところがそれがほとんどないのであったし、委員からの質疑もなかった。
 わたしは分からないのが癪なので、審議会が終わった足で現地に行ってみてきた。

・現地を見てもなんだよく分らない複雑な地形
 現地を見て頭をひねった。高低差が30m以上もあるようだし、崖地はあるし、谷戸に造成地が入り込んでいるし、周辺にはいくつものミニ開発をつなげたような崖地住宅がびっしりと張り付いている。見て分るのは線路際の長い空き地くらいなものである。
 実のところ、現地を都計審資料と照らし合わせてみても、ここにどのような街ができるのか、さっぱりイメージが湧かなかった。わたしも現場から離れて長年経つと、ボケたのかなあ。
 こういう複雑なところこそ、完成イメージ図とか模型で内容を教えてほしいものだ。
 
グーグルアース画像をもとに地区計画区域を書き入れて作成した
審議会資料のひとつの土地高低を示す図に、標高を数字を書き入れた
審議会資料だけではわからないので、ネットでいろいろと情報を集めた。その点は近ごろは便利なものである。
 この計画に関する住民説明会の資料やら業界情報などを見つけて、おぼろげに分った来た。
 直接的ではないが、もっと面白いのは『大人の自由研究』というサイトにあった花月園の歴史をたどった『花月園-遊園地と競輪場』と題した調査とルポ記事である。この地区の近現代史を知ることができる。開発にあたって地区の歴史に留意するとすれば、事業者はおおいに参考になるだろう。
http://hokarida.web.fc2.com/07_research/033-00.html

・この開発事業の仕組み
 調べて分かったこの開発事業の仕組みを、まず書いておく。審議会ではわからなかったことだ。
 約10.7haの土地を対象とする。その土地所有者は、神奈川県が7.1ha、花月園観光が0.9ha、民間デベロッパー3社共有2.4haとであり、これらをひとつの事業として、地区公園と住宅団地をつくる。
区域図:横浜市都市整備局企画課花月園競輪場跡地等の利活用検討
「住宅市街地整備計画書」より

この開発事業者は、独立行政法人都市再生機構(UR)である。県有地をURがいったん買い取って、ほかの民有地とあわせて造成し、道路や宅地、公園などを整備するらしい。
 できあがった地区公園を横浜市が買い取る。住宅地は、民間会社分の土地はそれぞれが土地を売るのか、住宅を建てて売るのだろう。県有地だったところで住宅地にした土地は、URが住宅を建てる事業者か個人かに売るのだろう。
 つまり、県有地は横浜市の公園となる部分は公共施設となるが、そのほかは民間の住宅地として処分するのある。

・URを使って官民共同の計画にするらしい
 なぜここにURが登場するのか。多分、県有地を売却処分するにあたって、公的機関をトンネルにする方が世間の摩擦が少ないと考えたのだろう。
 公園として買う横浜市としても、土地で買って市の直轄事業で工事するよりも、URにやらせて長期割賦で買い取る方が、財政負担が少しでも楽になると考えたのだろう。
 民間事業者はそこをどう考えたのだろうか。公的事業にからめることで地区計画による規制緩和ねらい、ついでに補助事業(住宅市街地総合整備事業)による若干のメリットなどと、役所仕事に付き合う面倒くささとをはかりにかけて、共同事業を選んだのだろう。
 URとしては、都心部での仕事がなくなりつつある状況下で、この防災公園づくりという仕事の実績がほしかったのだろう。
 と、まあ、これらはわたしの推測である。

・税金をしっかり使う事業だからもっとわかりやすく説明せよ
 なんにしても、遊休公有地の一部を公園にし、残りを民間に売るのである。更に隣の企業の民有地も一緒に国庫補助金も入れて公的事業として整えてやり、規制緩和をしてやるのである。
 公有地の処分に係るし、税金を使う事業なんだから、もっと丁寧に説明をするべきであるし、もっと慎重に審議するべきであると思う。

 これからイチャモンをいくつか連載して、この開発の分らなさを書いていくことにする。
 念のためにいっておくが、わたしはこの開発に反対するものではない。ただ、あまりに分りにくい資料説明で事足れりとした横浜市当局と、それなのにロクに審議もせずに原案承認した審議会の態度が不審なのである。そこでひとことふたこと言いたいのである。

              (横浜都計審傍聴②につづく

●都市計画審議会を改革せよ
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tokeisin

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