2015/01/23

1051【横浜都計審傍聴②】JFE社宅跡地には超幅広超高層のものすごい壁状建築が出現するのだろうか

横浜都計審傍聴①からのつづき)

・今では残り少ない海岸段丘斜面緑地がある
 花月園競輪場とJFE社宅跡開発に関する地区計画議案が出された現場を見に来ている。委員さえも見ないのに、委員でもないのに、われながら物好きでご苦労なことであるが、専門知識を生かした趣味だと思えば安上がりだし、歩き回って健康にもよろしい。

京急の花月園前駅から跨線橋を西にわたると、目の前が対象地区であり、幅広く高い緑地が広がっている。海岸段丘の斜面緑地である。その緑地の左右は斜面住宅地に開発されて、ここだけが緑が豊かである。
 近寄ればこの緑の崖地と線路の間には、横に長い駐車場がある。ここがかつてJFEの社宅が建っていた土地であるようだ。後ろの山の上にも社宅が建っていたのだが、どちらも今はなくて、大きく横に長い緑の丘が建っている。
京急花月園前駅から見る計画地の斜面緑地
駐車場になっているJFE社宅跡地と背後の斜面緑地
・斜面緑地を覆い隠す共同住宅ビルの壁が建つらしい
 当然にここには共同住宅、いわゆる(名ばかり)マンションが建つ予定なのだろう。まさに南東に開けた日当たりのよい住宅開発に格好の土地である。崖地の上にも跡地はある。
 後からネット調べると、この跡地をJFEから大和ハウス工業、三信住建、京浜急行電鉄の3社が買い取ったそうである。ということは、この3社が共同してこの緑の斜面の前に、壁の様な共同住宅ビルを建てて分譲するつもりにちがいない。崖の上にも建てるだろう。

 でも、都計審では建築の姿が分る絵らしいものは一切出て来なかったから、どんな姿になるのかわからない。
 横浜市の都市計画サイトに、この件の地元説明会資料が掲載されており、その中にまさにここに建つ建築の立面図があった。
 う~む、予想通りとはいえ、まさに緑の前に立ちはだかる壁である。まあ、かつては社宅のビルが壁だったのだから、その復元であるとは言える。
地元説明会資料にあるJFE社宅跡地の共同住宅計画図:背後の緑はすっかり隠れる
下の図は地区計画説明図;濃い緑部分が斜面緑地の地区施設「緑地」指定範囲
かつてこのようにJFE社宅が建っていた(20041231google eaeth)
人情としては、社宅ビルがなくなって、せっかく見えるようになった斜面緑地だから、これからも見せてほしいが、事業者としてはそうもいかないのだろう。
 でも、せっかく新たに建てるんだったら、こんな壁建築よりも、むしろ細身の超高層建築にしてくれると、緑の斜面がそれなりに見えるのに、惜しいと思う。もっとも、わたしは超高層共同住宅ビル(いわゆる超高層マンション)を、大嫌いである。

・JFE社宅跡地の建築意匠の規制は細かいけれどやっぱり巨大な壁らしい
 そこで地区計画の中身に戻って、この社宅跡地にどのような建築を建てることを地区整備計画で規定し、斜面緑地をどう扱うとしているのか読んでみる。
 この斜面緑地前の土地の現在の高さ制限は、高度地区として20m以下になっているが、今度の地区計画の「建築物等の意匠の制限」で、北東から3つに分けて、それぞれ20m、45m、31mに過半部を緩和している。
地区整備計画の建築の高さ規制説明図
地区整備計画の建築物の意匠の制限説明図
 それに加えて、建物幅を70m以下ごとに、また壁面900㎡ごとに分節して前後にずらせるとか、細かいことも記述してある。
ようするに馬鹿でかい一枚の壁にするなということらしい。それはよいのだが、それを踏まえた姿が上の絵であるのがどうにも解せない。
 これって、どう見ても壁ですよね。斜面緑地の高さは30m位だからこれなら全部隠れる。まあ、2棟の隙間から見えると言えば、まあ、見えるけどね、壁に違いないでしょ。

 壁と言われたくないなら、そうは見えないという透視図でも見せてほしい。
 もともと壁の社宅があったのを壊して復元するんだから文句言うな、と言われるとそれまでだが、それなら、もとの高さ規制の20m以下にすることですな。

 更にもっと気になる、わからないことがある。この斜面緑地の上にも広い社宅跡地があるから、そこにも多分共同住宅ビルが建つに違いない。
 ということは、この下の敷地の壁の上に、更に重ねて壁が重なって見えることになるのだろう。その崖上の土地も高さ制限を20mから31mに緩和したから、なんだかすごい2段構えの壁ができるのか。
 そういうことの結果の姿を示す絵は、どこにも見当たらないが、どうもすごい景観になりそうな気がするが、どうなんだろう。
崖上JFE社宅跡地にも共同住宅ビルが建つなら、
崖下の敷地のビルと合わせてこんな立面になるのかもしれない
・斜面緑地の現存植生保全はしなくても良いらしい 
 もうひとつ気になるのは、斜面緑地の扱いである。地区計画にはこの部分を地区施設の「緑地」として指定している。
 「緑地」ということは、この斜面の植生を保全するのかと思ったら、保全する緑地は「樹林地、草地等」という地区施設に指定して、緑地とは別にしているのである。緑地には現存植生の保全義務を書いてない。
 ということは、緑地は現存植生の保全をしなくてもよいから、全部を伐り倒し、あるいは土地を切り崩して、あらためてその指定範囲に芝生を植えても、「緑地」であるのだろう。
JFE社宅跡地の斜面緑地は、植生保全する「樹林地、草地等」ではなくて
保全を前提としない「緑地」指定
 なぜこの既存斜面緑地を「樹林地、草地等」にしなかったのか意図がわからないが、もしかして崖崩れ防止のために、大々的な工事をするのかもしれない。いまどきの土木工事ならこのくらいの崖は簡単に切り崩せるだろう。
そうするのかどうかわからないし、それが良いの悪いのかも分からないが、なにしろ開発後のイメージ図がないから、地区計画図書だけではどうなるのか見当がつかないので、このような妄想を楽しんでいるのだ。
 なお、この緑地は公共施設ではなくて敷地の一部だろうから、容積率の対象になるはずだ。

 とにかく、なにがどうなるかわからないままに都市計画決定するのが、なんとも怖いことである。
 計画地の入り口あたりでとどまったままで、肝心の花月園競輪場跡地にはまだ入っていない。次はそちらに回り込んで、現地を観ながら妄想を続けたい。(つづく

参照:1050【横浜都計審傍聴①】地区計画議案の公的大規模開発の内容がさっぱり分らない
http://datey.blogspot.jp/2015/01/1050.html

●都市計画審議会を改革せよ
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tokeisin

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