今日の朝刊(朝日新聞東京版)に、『デモに参加すると就職に不利・・・「いつの時代の話?」』という見出しの記事がある。
そうですとも、そりゃもう、ぜったいに不利ですとも、それを体験して人生が変わった、このわたしが証言します。
あれは1960年のことです。いつの時代の話?なんて、言ってる場合じゃないですよ、そう、今の時代ですよ、あの時とそっくりの時代が再来してますからね。
1960年の秋、わたしは7月に就職内定していた企業から、その取り消しの連絡を受けた。理由は、9月の就職面接のときに、安保反対デモに参加したことを言ったからであると、明確に告げられた。
即座に反論した。7月の内定面接の時にも、それをはっきりと言って、それで内定した、そして、本面接でも同じことをしゃべった。
それなのに、こんどはダメとは、どういうことか。
答えは、内定面接のときはいなかった役員が、本面接のときにいて、この人がNOと言ったからだという。呆れた。
更につけ加えて、企業としては今さらNOと言えないから、わたしの方から辞退してくれと言うのである。バカな、、。
そんな理不尽なことはないでしょって、当然のことながら猛反発、先方にのりこんで抗議した。それからも両者はながらく紛糾した。
10月になったある日だったとお記憶するが、卒論を書いている歴史研究室にいたら、先方の人事担当者と役員たちがやってきた。わたしと顔を合わせて、バツが悪そうな格好。
わたしの卒論指導の教授に説明か謝るかに来たらしい。まあ、この大ボスの先生に睨まれたら、このあと企業としてはマズイと判断したのだろう。メンツを捨てたらしい。
教授からどうすると聞かれたが、もちろんそれでも筋が通らないことだからとて、わたしは意地で屈服しないままでいた。
でも、腹は立つけれども、当然ながら、だんだんとバカらしくなってきた。そんな理不尽なことを平気で言うような企業に入って、おれは気分よく働けるんだろうか。
もう11月もすぎると、就職先がなくなってしまった。学年でわたしひとりが先行きがない。
いまなら、もっとうまい戦い方があったと思うが、若い身ではタダタダ腹が立って、いやだと突っ張るばかりだった。
そうこうしているうちに教授から、山口文象さんに話して入れてもらうようにしてやるから、このへんでキリをつけてはどうかと親切な話をいただいて、踏ん切りがついた。
辞退してやったのだった。それをどう伝えたか忘れてしまった。
そうして先生の紹介で、RIAに入れたもらった。社員10数人のアトリエ事務所は、東京に新人の席がなかったようで、大阪支店だった。
その後の人生は、なんとか面白く過ごしてきたから(恩師が亡くなられてRIAを退職した)、それはそれでよいのであるが、社会人人生の出だしでもうれつに腹が立つ事件であった。
ということで、デモに行ったら絶対に就職不利ですよ、いや、デモには行きなさい、そして就職面接ではデモなんか行ってないと、平然と嘘をつきなさい、長いそれからの人生の為です、嘘も方便です。
1960年と今とで時代の様相は変わっていない、というか、あの時の暗雲が再来していますからね。
その企業の面接を受けたのは、社会のことはほとんど知らない私に、尊敬する都市計画の教授が、君はここがいいよと教えてくださったからであった。
その企業名は、三菱地所。
参照
641・原発反対で52年ぶりの国会議事堂デモに参加して思うこと多々あり
http://datey.blogspot.jp/2012/07/641.html
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