2015/07/30

1114・デモに参加すると就職に不利になるとの噂があるが本当にそうなった1960年の私の証言は今も通じる怖い世の中

 今日の朝刊(朝日新聞東京版)に、『デモに参加すると就職に不利・・・「いつの時代の話?」』という見出しの記事がある。
そうですとも、そりゃもう、ぜったいに不利ですとも、それを体験して人生が変わった、このわたしが証言します。
 あれは1960年のことです。いつの時代の話?なんて、言ってる場合じゃないですよ、そう、今の時代ですよ、あの時とそっくりの時代が再来してますからね。
 
 1960年の秋、わたしは7月に就職内定していた企業から、その取り消しの連絡を受けた。理由は、9月の就職面接のときに、安保反対デモに参加したことを言ったからであると、明確に告げられた。
 即座に反論した。7月の内定面接の時にも、それをはっきりと言って、それで内定した、そして、本面接でも同じことをしゃべった。
 それなのに、こんどはダメとは、どういうことか。

 答えは、内定面接のときはいなかった役員が、本面接のときにいて、この人がNOと言ったからだという。呆れた。
 更につけ加えて、企業としては今さらNOと言えないから、わたしの方から辞退してくれと言うのである。バカな、、。
 そんな理不尽なことはないでしょって、当然のことながら猛反発、先方にのりこんで抗議した。それからも両者はながらく紛糾した。

 10月になったある日だったとお記憶するが、卒論を書いている歴史研究室にいたら、先方の人事担当者と役員たちがやってきた。わたしと顔を合わせて、バツが悪そうな格好。
 わたしの卒論指導の教授に説明か謝るかに来たらしい。まあ、この大ボスの先生に睨まれたら、このあと企業としてはマズイと判断したのだろう。メンツを捨てたらしい。

 教授からどうすると聞かれたが、もちろんそれでも筋が通らないことだからとて、わたしは意地で屈服しないままでいた。
 でも、腹は立つけれども、当然ながら、だんだんとバカらしくなってきた。そんな理不尽なことを平気で言うような企業に入って、おれは気分よく働けるんだろうか。
 もう11月もすぎると、就職先がなくなってしまった。学年でわたしひとりが先行きがない。

 いまなら、もっとうまい戦い方があったと思うが、若い身ではタダタダ腹が立って、いやだと突っ張るばかりだった。
 そうこうしているうちに教授から、山口文象さんに話して入れてもらうようにしてやるから、このへんでキリをつけてはどうかと親切な話をいただいて、踏ん切りがついた。
 辞退してやったのだった。それをどう伝えたか忘れてしまった。

 そうして先生の紹介で、RIAに入れたもらった。社員10数人のアトリエ事務所は、東京に新人の席がなかったようで、大阪支店だった。
 その後の人生は、なんとか面白く過ごしてきたから(恩師が亡くなられてRIAを退職した)、それはそれでよいのであるが、社会人人生の出だしでもうれつに腹が立つ事件であった。

 ということで、デモに行ったら絶対に就職不利ですよ、いや、デモには行きなさい、そして就職面接ではデモなんか行ってないと、平然と嘘をつきなさい、長いそれからの人生の為です、嘘も方便です。
 1960年と今とで時代の様相は変わっていない、というか、あの時の暗雲が再来していますからね。
 
 その企業の面接を受けたのは、社会のことはほとんど知らない私に、尊敬する都市計画の教授が、君はここがいいよと教えてくださったからであった。
 その企業名は、三菱地所。


参照
641・原発反対で52年ぶりの国会議事堂デモに参加して思うこと多々あり
http://datey.blogspot.jp/2012/07/641.html

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