そういえば、新国立競技場も関係ないけど(納税者として少しは関係あるが)、勝手に口を出したなあ。
●不思議その1:関係者の誰もが現場を見なかったとは
例の東京都豊洲新市場で、建築に地下空間があったことを知り、そこには盛土がないと新発見した新知事が騒ぎ、尻馬マスコミの尻馬に乗って、当事者たちも知らなかったと言う「だれも現場を見ていなかった新市場事件」である。
わたしには、どうしても不思議なのである。今になって建物の地下に盛土がなかったって、だれもかれもが騒いでいるけど、これまで誰ひとり新市場の現場を誰も見てなかったのかしら。
敷地に盛土したって、それを掘って地下室をつくれば盛土はなくなるって、小学生でもわかる常識である。だから地下空間つくるところは盛土しなかったろうね、盛り土してまた掘りだすなんて、超ばかばかしいから。
こんなでかい地下空間(配管ピットらしいが)があることを誰も知らなかったということは、建設中にだれも現場を見に行かなかったんですな。
昨日今日できた地下空間じゃなくて、1年以上も前から土を掘って建設作業してたんでしょ、現場を見りゃ盛土がないって小学生でもわかるでしょ。
新市場用地に盛土するって決めたナントカ委員会の先生たちも、そうせよと言っただけで、現場を見て盛土したことを確認してないという、無責任な人たちなんですね。
都議会議員たちも、この東京都が行うビッグプロジェクトの視察を、一度もしなかったんですね。
もちろん都知事も見てないだろうし、それどころか市場長さえも現場を見ていないという、摩訶不思議なことなのである。
そしてまた、新市場に入って仕事する市場の業者たちも、自分たちの移転先の建物を一度も見なかったんでしょうね、見てれば今になって騒ぐのじゃなくてもっと前に騒いだはずだもんねえ。
まあ、マスコミ連中が現場を見て、こんどのようなことに事前に気が付くほど利口じゃないから、そっちはどうでもよろしい。
●不思議その2:最も事情通のはずの建築家が沈黙とは
この騒ぎでいろいろ言っている人たちがたくさんいるらしいが、こういう場合にいちばん事情を知っているのは、その計画と設計に関わった人たちである。
このような公共ビッグプロジェクトの場合は、基本構想、基本計画、実施計画、基本設計、実施設計と、順番を追って詳しい設計内容をつくって行き、どの段階にも各種の専門家が関わる。その専門家たちは、ほとんどが行政の外部にいて、業務として彼らに委託する。
最後は建築物になるのだから、多くの専門家のなかでも建築設計に関わる技術者、つまり建築家がもっともよく事情を理解しているはずである。
なかには最初から最後まで関わっていて、ヌシのような専門家がいることもある。このことはわたしは体験的に知っている。
もちろん行政側の技術者もいるが、それらは2年ほどで定期異動するから、いちばんよく事情が分るものは、担当する民間の専門家である。
さて、ここでは誰が計画設計をしたのか。新聞によれば設計は日建設計だそうである。日建設計と言えば、例の白紙撤回される直前まで新国立競技場の設計に携わっていた、日本では規模がトップの都市計画や建築設計の組織(住友系)だ。
計画段階がだれであるかの報道は無いが、ネットを探したら、みずほ総研がソフト的な部門、ハードの土木は日本工営、建築は佐藤総合計画とするページがあった。他にもいるかもしれない。
だからここで問題になっている事情を、日建設計がもっともよく知っているはずである。でも、日建設計に関する報道はないし、日建設計からの説明もわたしは知らない。
そこで思い出すのは、新国立競技場問題であり、あのときも設計がほぼできたところで、首相から白紙撤回されるなんて、建築家としては超屈辱的なことをされても、日建設計は黙りこくったままであった。
建築家とは、そんな程度の社会的な位置づけにある職能なのだろうか。ここのところが、新国立競技場でもそうだったが、なんとも不思議なのである。
それにつけても、新国立競技場で日建設計と共に屈辱を味わった梓設計が、やり直しコンペにゼネコンと組んで参加して、平然とまた違う設計で復帰していると言う、はたから見るとなんとも節操のない様子だから、まあ、建築家ってそんなもんだろう。
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