【甲府盆地の桃源郷で花見・2】のつづき
ご隠居:行き帰りの電車の窓からの花見もなかなか良いものだよ。近くの山はまさに山笑うの季節だし、遠くに雪の山も見え、桃源郷を走りぬける。
勝沼ぶどう郷あたり |
隠:でもねえ、チラチラと気になる風景が出現するんだよ。
熊五郎:ほう、それはなんですか。
隠:その桃源郷の花の中に、黒い銀色に光るものがあちこちに広く見える。どうも桃の果樹園を切り倒して、沢山の黒い板を並べて広く干してあるらしい、それが銀色にも黒色にも光る。
熊:あ、それ、太陽光発電パネルでしょ、今、流行の自然エネルギー発電所。
塩山あたり桃源郷の風景 |
上の写真の左下の拡大 |
熊:じゃあグーグルアースで、空から見て見ましょうかね、おお、けっこうあちこちにありますよ。その位置は要するに日さえ当たればどこでも良いらしく、都市計画的に配置するものでもないみたいですね。
塩山の東方の大規模太陽パネル発電所の位置(赤丸内) |
左に太陽発電黒板群、右に桃の果樹園の風景(google street) |
山梨市の笛吹川あたりの大規模太陽発電所立地状況(赤丸内) |
隠:農家の後継ぎがいない空き地が出てくると、次々にこうなるかなあ。
熊:桃源郷変じて電源郷となる、ですかね。隠:おお、うまい、はは、いや感心してちゃいけない。
熊:農作物も電力もエネルギー源には違いないけど、野菜よりも果物、果物よりは電力と順に生産効率が髙い物を選んで転換していくのでしょうね。
隠:いまや電力も農作物のひとつなんだね、電車の中から眺めたり果樹園を歩いたりしていると、生産放棄された畑があちこちにあるからねえ、これらが順々に黒い発電所に変るのだろうなあ。
放棄果樹園の向こうに鳳凰三山 |
熊:自然エネルギーの重要なことは分かるけど、桃源郷で花見なんて優雅な春の行事は絶滅しますね。今のうちに観に行っておかなくちゃ。
隠:花が散って花見が終るのじゃなくて、発電所に転じて花見が消滅するって、考え込むね。いつも行くのは韮崎市の七里岩台地上の穴山から新府にかけての新府桃源郷なんだけど、その台地上の太陽発電所の出現状況はグーグルマップではどうだい。熊:おお、台地の上にも下にも虫食いかニキビみたいにはびこってる。
隠:エッ、おやおや、こんなにたくさんか~、へ~、すごく広いのもあるんだ、まるで吹き出物だな、しかも黒いカサブタになってる、どんどん増えて電源郷到来が近そうだなあ。
韮崎市七里岩台地風景、右上に新府城址、左手前に大規模太陽発電所 その間の広い果樹園地域が穴山新府桃源郷 2018年google earth |
上と同じアングル 2010年google earth |
熊:地域の人たちが時代の要請に対応して、土地を使って生産する営みを変えていくのを、遊びの花見客が嘆いても、勝手なもんだと哂われるだけでしょうね。
隠:でもなあ、こんなに無計画に勝手放題に立地していいのかなあ、ある日気がついたら森も果樹園も田畑も全部が真っ黒なカサブタに覆われて桃も野菜も全滅なんて、。
熊:そうですねえ、太陽発電は化石燃料発電のCO2発生が無いといいながら、いっぽうで森も果樹園も切り倒したら植物によるCO2定着を阻害しますよね。
隠:いいのかなあ、なんだか矛盾してるような、どうもわからんなあ。
熊:そうですねえ、太陽発電は化石燃料発電のCO2発生が無いといいながら、いっぽうで森も果樹園も切り倒したら植物によるCO2定着を阻害しますよね。
隠:いいのかなあ、なんだか矛盾してるような、どうもわからんなあ。
桃源郷は電源郷になる?? いたずら戯造画像 |
熊:環境法とか都市計画法とか農地法とか景観法とかで、コントロールしてるのかしら、何かやってるか韮崎市のサイトを見ましょうか。あ、500㎡以上なら届け出がいるらしい、事前協議でどんな指導をしてるのかなあ。景観法によるだけなら環境的チェックがあるのかしら。
(注)韮崎市のサイトに「韮崎市景観計画」(2015年)があり、太陽光発電施設その他これらに類するものの景観規制がある。山岳森林ゾーン及び高原樹園ゾーン(七里岩台地の上はこれに該当)で地上に設置する敷地面積が500㎡を超えるもの、まちなかゾーン及び田園集落ゾーンで地上に設置する敷地面積が1000㎡を超えるものは届出が必要となり、その際には景観形成基準を守らなければならない。景観形成基準には、色彩・高さ・角度等に制限があり、届出にあたっては事前協議が必要になる。
隠:そうしてね、甲府盆地がカサブタ電源郷になるのは寂しいなあ、無粋だなあと思いつつ、美しい桃源郷の花見を終えて台地上から下の平地の街に降りたら、そこに無粋きわまる風景が待っていてがっくりしたよ。熊:それはどこのことですか。(つづく)
参照:【甲府盆地桃源郷で花見】(1)、(2)、(3)、(4)
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