2019/04/02

1395【令和騒動と換算呪文】明治いやむなしい大正ひどくひどい昭和ひどくにごり平成ひどくはんぱ令和じわっといや

 2019年4月1日、つまりエイプリルフールの日に、政府が次のエンペラーナルヒトさん用の新元号を発表した。
 わたしは元号嫌いで使わないのだが、こういう社会的騒ぎは野次馬として大好きである。
 TV嫌いなので、ネットで同時的に「玲和」なる新元号と、それが日本古来の「万葉集」から拾ってきたとの説明も知った。

 ところがネット世界では、政府発表から2時間ほどのうちに、「万葉集」より数百年も古い中国古典に、その例があるとSNSに書き込んだ人がいるのを見た。
 政府が言う「万葉集」典拠は「初春月 気淑風
 中国古典の「帰田譜」典拠は「仲春月 時気晴」
 おやおや、そっくりじゃんかよ。やっぱり今回も中国に教わったのだ。

 日本は古来から中国文化を摸してきたのだから、この「万葉集」の中のこの著者は、「帰田譜」のこのくだりを知っていて、上手くアレンジしたのだろう。
 それは模倣ではなくて、むしろ中国古典を知っていることを自慢しつつ、堂々たる「本歌取り」としてそれを書いたに違いない。

 さて、今日4月2日の新聞には、政府発表の言葉に当然のことに、そのことも含めて載っているだろうと読んで探したが、一言も触れていない。おやおや。
 中国典籍を脱して日本古来の文献に寄ったのが誇らしいと言わんばかりである。なんだかヘンだなあ。
 ネット雀さえすぐに分かったことを、まさか選定に関わったあれだけ多くの有識者なる方々のどなたも、実はご存じなかったのかしら。
 それともここはなんでも保守国粋主義者たちの顔を立てて、知らんぷりすることにしてのかしら。

 今朝の新聞記事には、中国のネットでもこの典拠で「ルーツは我が国」と流れているそうで、日本政府の知識の無さを哂っているのだろう。
 哂われてもしょうがない、日本は中国文化を追いかけてきたのだから。
 中国との外交関係が怪しい今だからこそ、お国の古典を今回も利用しましたよ、ありがとう、ってくらいの度量の大きさを見せたらよかったのにねえ。

 それにしてもまた面倒なことが増えて、暗算不得意の年寄りには困る。
 明治、大正、昭和、平成と元号で書かれた年を見ては、いちいち換算呪文を唱えて西暦にするのだが、またそれが増えてはお手上げである。
 では換算をやめてしまえば良かろうとなるが、そうなると今から何年前に起きたことかわからないし、外国のその頃のことと比較ができない。歴史感覚国際感覚が衰えるのが怖い。
 どうも世の中の元号好き連中は、歴史感覚にも国際感覚に欠けるようだ。

 さて、和暦西暦換算呪文である。「令和」登場により新呪文を考えたので披露する。
 それぞれの元号年に括弧内の数字を加えると西暦になる。
 明治いやむなしい(1867)
 大正ひどくひどい(1911)
 昭和ひどくにごり(1925)
 平成ひどくはんぱ(1988)
 令和じわっといや(2018)
 実のところ年寄りは、この呪文を覚えられないなあ。

 昨日4月1日エイプリルフールの日に、フェイスバカにわたしが書き込んだいくつかの記事を載せておいて、もう元号騒ぎにはおさらばする。

●4月1日 8:41 
 わたしは元号嫌いだけど、元号騒ぎならば大好き、さてさて、今日はどんな大エイプリルフールが政府発表されるのか、楽しみなことだ、明日には本物の元号発表があるのだろうなあ。

●4月1日12:01 今日はエイプリルフールですよっ!

●4月1日19:40 
 さすがに有識者って人たちは偉いもんだ、中国の『帰田賦』の「仲春令月、時和気清」も、それをなぞった日本の『万葉集』の「初春月、気淑風」も、なんでも知っているんだなあ、すごいなあ。

●4月1日19:57 サラ金令和かよ

 なお、誤解無いように付け加えると、わたしは元号反対ではなくて、行政の元号強要に反対なのである。面倒迷惑なことをなんで強要するのか、使いたい人だけが使えばよろしい。
 そういえばとうとう外務省は西暦にするらしいが、外国との付き合いではそうするほうがよいに決まっているよなあ、イスラム歴やネパールのビクラム歴など相手国の年号に合せるのも大変だよね。(2019/04/13追記:自民党のお方たちのいちゃもんがあったらしく、外務大臣はこれまで通りに元号も使うと発表した)

 このブログにこれまでに元号についてはこんなに書いている。
・2019/01/01【一首一元制】そんなに元号をお好きなら一世一元制じゃなくて首相が変るたびに改元してはいかが
https://datey.blogspot.com/2019/01/1177.html
・2018/05/23【元号問題】和暦を西暦に換算する呪文は妙案だが来年からもっと長くなる呪文を覚えきれないかも
https://datey.blogspot.com/2018/05/1135.html
・2018/04/30【戯報新聞スクープ】2019年5月1日から和暦の新元号は「西暦」(セイリャク)と決定2018/04/30
https://datey.blogspot.com/2018/04/1331.html
・2017/12/20【明仁氏終活余談】あきひとさんの終活でちょうどよい機会だから日ごろ面倒な「元号」をもうやめてちょうだいな
https://datey.blogspot.com/2017/12/1309.html
・2016/10/20【また元号が変る】国も自治体も元号表記に固執するのをやめてくれ、また2年先に変ると混乱ばかり
https://datey.blogspot.com/2016/10/1224.html

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