2019/07/11

1409【誤報と偏見】ハンセン病誤報の新聞トップ3記事から偏見の歴史をちょっと考える

 2019年7月10日に政府側敗訴のハンセン病家族補償裁判について、政府は控訴しないことにしたのだが、その10日の朝日新聞朝刊は、政府は控訴する方針と「大誤報」した。
 朝日は慌てて、その日の夕刊に政府控訴断念の記事と誤報お詫び記事を載せた。新聞屋としては恥ずかしいことだろう。
 わたしは、誤報しても新聞代を返してくれないのが、おおいに不満であるが、そのかわりにヒマツブシに面白がってやるのだ。

 朝日新聞は慰安婦問題とか原発報道とかで、世間とくにネトウヨ筋が誤報新聞と叩いてきているから、今回もいい餌食にされるだろう。
 ネットスズメには、なにかと政府と対立する朝日新聞に対して、政府筋から誤報誘導情報を流して陥れる作戦に、朝日がうまくはまり込んだ、などという面白い話もある。
 なんだか政治小説のようだが、ちょうど映画「新聞記者」が上映中で、そこに似た様な事件が描かれているとも言うので、その映画を観に久しぶりに映画館に行きたくなった。
 
 7月11日の朝日新聞は、トップの政府控訴断念記事にお詫び記事ものせ、2面には誤報に至った経緯を載せている。
 実はそれを読んでも、誰になにを聴いたからこの記事になったと正確に書かないから、いや守秘義務とかで書けないのだろうが、どうして誤報になったかさっぱりわからない。
 
 朝日新聞はしばらく世間からバカにされるだろうけど、まあ、洋の東西とも中世以来の「癩」の長い長い偏見の歴史から見ると、ようやくここに至った一瞬の間の誤報である。
 だからこそバカと言うか、だからまあいいじゃないか、と言うか、誤報記事の背後には偏見の歴史がもたらした重さがあるかもしれない。

 「」を「ハンセン」と言い換えは、それも偏見の歴史なのだろうか、言い換えると偏見がなくなるものでもあるまいし、あ、そうだ、痴呆症を認知症と言い換えたら痴呆じゃなくなるわけじゃなし、ツンボ、メクラ、オシ、ビッコ、イザリなど(こうやって並べて気がついたが、いずれも超高齢者に充てはまるのだなあ、わたしのことか)の偏見言葉の言い換え歴史をちょっと考えていたら、同じ朝日新聞一面に登場している別の2つのニュースにも気がついた。

 誤報日の10日の朝日新聞一面には、10歳の女児がプロ将棋打ちになって1勝という記事が、誤報の下にある。
 こんなどうでもいいことが新聞一面に出るほどの記事かよ、と思ったけど、なるほどなあ、オンナコドモが勝負師の世界に生きることを社会が褒めるなんて、かつては考えられなかったもんなあ、これも偏見克服の歴史のひとコマだから、ハンセン訴訟勝訴に並ぶトップ報道なのだろうなあ~、いや、トップ記事ってこと自体が偏見かもよ。

 また11日には、誤報謝罪記事の隣に興行師が死亡したとの記事、え、TVをぜんぜん見ないから知らないけど、この人もオンナコドモ勝負師なみに、1面に載るほどの人なのかと、ちょっと調べてみた。
 ほお、なるほど、なるほど、21世紀初めの日本歌謡界を駆け抜けた天才興行師らしいな~、そうか、大勢の美貌男子タレントばかりを抱えて、男色好みとしても有名なのか、ふ~ん、面白いなあ、現代河原乞食の偏見克服記事だろうか、うむ、わたしがこう書くこと自体が偏見だろうかなあ~。

 天才興行師と言えば、今、たまたま「シカネーダー」(原研二、平凡社ライブラリー)を読んでいるのだ。
 18世紀末ウィーン劇壇を駆け抜けた天才興行師エマヌエル・シカネーダー、天才モーツアルト「魔笛」を世に出した人だが、その劇団は彼の女色の場でもあったらしい。

 男色女色の違いはあれど、洋の東西問わず天才は色好みなんだなあ、そして英雄も、、、面白い、偏見バイアスが新文化を生み出し、新展開させるのかもなあ、、。

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