2022/11/04

1654 【木造10階建てビル】木造高層建築が大流行したらどこもかしこも禿山だらけになるかも

 近所の横浜オフィス街を徘徊、木造高層建築らしきビルに出会った。最近できたらしいが、ビル名など何もない。
 近寄ってしげしげと見上げると10階建てで、柱と梁が良く見えるデザインで、色と模様が木の板である。木肌を高層まで見せているのだ。もしかして珍しい木造高層建築だろうか。

 建築デザインとしては特別なことはないが、木の板でございますよとの主張でいっぱいの風景である。木部の表面がつるつるしすぎているので、中身まで木が詰まっていると見えないが、まさか太い柱が実は板張りの鉄骨ではあるまいなあ。

木造10階建てだろうか?
ファサード側の柱梁木部はガラスのカーテンウォールの中

 でも何となく柱と梁のプロポーションが違う感じがする。そうか、その柱と梁の寸法が普通のビルに比べてものすごく太くて、しかも柱間隔が狭いからだ。
 もしかしたらこれは鉄筋コンクリートとか鉄骨で作る普通の高層ビルと違って、上から下まで中から外まで木造の高層建築だろうか。
 もっとも後ろ半分は金の板は全然見えなくて、単なる鉄板張り壁のようである。どうせなら立面全部を木の肌にしてくれればよかったのに。

正面入り口あたり柱が太すぎる、柱間隔が狭ますぎる

 う~む木造と言えば2階建てが普通だったが、いまや10階建てができる時代になったのか。そうだとしたら技術革新であろう。
 木造の弱点、燃えるとか倒れるとかは技術的に鉄筋コンクリや鉄骨並みにすることができたのだから、すごいものだ。

これはムクの木柱だろうか、それとも鉄骨の上に化粧板張りか

 それにしてもこうも柱が太くてたくさんあると、人間が使う空間がかなり狭くなるだろう。近代建築の象徴のようなオフィスビルは、柱のない自由なレイアウト空間を追求してきたものだが、この木造ビルはそれに逆行する。それでも工事費が安いからよいのかしら。そもそも工事費が安くなるのだろうか。

後ろ半分は鉄板の壁、前半分だけが木造建築か?

 そしてまた気になったのが、こんなにたくさんの材木を使うということは、どこかの森の樹木が大量に伐採されたということだ。こちらは良くてもそちらは景観的にも環境的に問題ないのかしら。
 その伐採跡には植林をしたから大丈夫だといわれるかもしれない。でも、伐採跡が元のような大木の森に戻るには、少なくとも20年はかかる。これから木造巨大建築が流行したら、木材供給源の山林は禿山ばかりになるだろう。それでもよいのかしら。
 日本は戦中に山の木を切りまくったから、戦語の数十年はどこもかしこも禿山だったものだ。そして戦後は外国の森も伐採輸入で禿山の国際化をもたらした。

構造体の木部であるとしてもどうもべニア板のような

 さてこのような現代巨大木造建築が、風雪に耐えて100年200年後に、奈良京都などに現存する歴史的木造建築のように、その柱梁の木肌は時代の風雪に耐えた深い味のある風貌になって立ち続けるのだろうか。

(20221104記)


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