外苑スピリチュアルスポット |
熊五郎:こんちわ、ご隠居、生きてますかあ。
ご隠居:おや熊さん、まあお上がりよ、歳相応に元気だよ、熊さんはどうだい?。
●外苑再開発に都市計画家が初めて発言
熊:ええ、元気でちゃんと勉強してますよ、つい先日もね、東京あたりで話題になってる、明治神宮外苑の再開発のこと、都市計画の専門家が市民の立場で話すのをYOU-TUBEで見ましたよ。再開発反対というか批判の立場のようです。これですよ。https://www.youtube.com/watch?v=6ik5j2RvKus
隠:おや、勉強したしたのかい、わたしもみたいけど長時間で眠っちまいそうだ、かいつまんで教えておくれ。
熊:明治大学の大方潤一郎さんと言う方ですよ。
隠:そうかい、これまで批判的な専門家による公開の意見は、ICOMOSの団体名で緑地計画の石川さんと、新建築家技術者集団の団体名、環境アセスの原科さんだけで、いつになったら都市計画家登場かと待ってたんだよ。
熊:大方さんてどういう方です?
隠:大方さんは東大都市工学科で都市計画の教授やっていたはず、法制度が専門かな、定年退職で明治に移ったのだね。これまで都市計画関係で反対運動に関わるような人だったかなあ?
熊:外苑再開発反対運動の活動家らしいRochelle Koppさんという方が企画したセミナーでの講演ですよ。だから都市計画への批判的立場でしょうね。
隠:外苑再開発論争にようやく都市計画家が登場か、都市計画法制度の解説だけじゃなくて、批判とか反対とか新提案とか話てるかい?
熊:え~と、いろいろ解説をして批判もなさっているようだけど、これまでに世に言われたことばかりで、特に新提案はないようです、いまのところ都市計画的理論武装担当ですかね。でもね、話を聞いてて、いくつか面白いなあと気が付かされたことがあった。
隠:ほう、聞かせておくれ。
●TEPIAのせいで公孫樹が枯れる?
熊:まずね、石川さんが問題提起した、新球場がでかくて例の銀杏並木に近づき過ぎて建つから、樹が枯れるかもしれないってことについてですがね。
隠:そうそう、並木の根に十分に地中の水が回らなくなる恐れありってんだよね、近くの実例調査でもって説得力ある話だね、さすがだ。
熊:大方さんの解説では、そうなるのは新球場の敷地の東西幅が狭いからだ、その狭い理由はTEPIAが事業に参加していないからだ、とのこと。ほれこの図ですよ。
隠:どれどれ、おお、図面を見ればその通りで、TEPIAが無ければ、というか事業参加していれば、野球場の敷地が東西に広がり、もっと西に寄せて建てられる、野球場と並木との間に十分に余裕ができる、そううすると石川さんの説によれば、並木への影響はないことになるのかね。
TEPIA(左の赤色敷地)を上方に移転して建物を曳家すれば 野球場は左に寄り銀杏並木との間に余裕ができるはず |
熊:ということは、この地区で共同再開発事業としてTEPIAが抜けているのが、野球場建設に無理ができている、つまり地権者たちの共同事業化の失敗が原因ですかねえ、それじゃあTEPIAが事業に参加すれば解決するのですかね、そうしなさいよって簡単なことかしら、なにか話が違うような気がする。
隠:うん、事業者たちも最初はTEPIA敷地も入れて構想していたようだから、こうも窮屈じゃなかったのだね、それがいつのころからか仲間割れして、TEPIAが事業仲間から抜けたんだろうね、面白い。
熊:でもねえ、そもそも、TEPIAはなぜ共同再開発事業に不参加ですかねえ。野球場が入らなくなって困るとわかってるでしょうにねえ。セミナーでの一般質問にもでてました。
隠:大方さんはなんて回答してた?
熊:TEPIAに聞かなきゃわからないけど噂では、と前置きして、あの建物を設計した建築家が反対してるからだろう、とかって、。
隠:ワハハ、槇文彦さんだね、ほら、新国立競技場コンペの後で、弟子たちと一緒になって、ザハ・ハディドの当選案に大反対キャンペーンを張った建築家だよ、こちらでもあれこれ反対もありそうでなさそうで、面白い噂だなあ。
熊:ああ、あの方ですか、う~む、日本で建築家がそれほど権威があるとは思えないけど、槇さんてそれほど偉い人ですか。でもあのキャンペーンの結果はハディド案の替りに大成梓隈案のベーグルお化け、これには反対キャンペーンなさらないから良いのでしょうね。
隠:つまらん形だよねえ、わたしはあの異形の女性原理ハディド案を見たかったなあ、残念だよ。
熊:それはともかく、そのTEPIAって通産省系の団体ですよ、再開発のような儲け話には敏いような感じがあるけど、なぜ逃げたのかなあ。
隠:ワハハ、それに対して明治神宮もJSCも文科省系の団体なのに、こちらの方が利に敏いとは、これいかに。
熊:わははは、文科省宗務課は例のカルト問題のほかに、もうひとつこの厄介事を抱えるのかしら。
隠:はは、まさかね、よくある密集市街地の共同再開発では、ひとりになっても絶対反対を唱える頑固地権者がえてしているもんだが、ここでもTEPIAがそうなのかねえ。
熊:はじめは一緒にやろうとしていたのになにかで抜けた、TEPIAのせいであの並木が枯れるってことになるのかしら。
隠:う~む、ちょっとちがうけど、風と桶屋よりは関係あるかもなあ、これで事業が暗礁に乗り上げたら、その犯人はTEPIAだってことになるのかねえ。
熊:いや逆に、TEPIAのおかげで事業が暗礁に乗り上げたと、喜ぶ反対派市民もいるかもね。
●TEPIA建築を保全するには
TEPIA 設計:槇文彦 |
熊:え、あんな大きな建築を引っ張るんですか、できるんですか。
隠:ああ、できるさ、近頃は曳き家しないけど、70年代頃までは珍しくなかったね、わたしが見た最大の曳家は9階建てのオフィスビルで、しかも普通に使いながらね。
熊:そうか、曳き家で事業協力ならば槇一家も文句言わないかも、どこに持って行くか。
隠:う~んと、まあ、これだけ広い土地だからどこでもあるさ。例えばこの文化交流施設棟ってところはどうだい。
熊:あ、ぴったりですね。これで新野球場は西に寄せて、並木との間にたっぷりと緑地を確保できるな。
隠:気になるのは、あの建築はあそこになくちゃいけないのだ、槙さんが設計したあの場所でなくちゃいやだと、槇一家の建築家たちがごねるかもね、わはは。
熊:でもねえ、TEPIAって何だか変ですよ、なぜあそこにあるのでしょうかね、スポーツクラスターに無関係でしょ、あそこでなければならない意味が分からない。
隠:うん、ちょっとヘンなのは、事業には参加しないが、都市計画公園指定はちゃっかりと解除してもらってるんだね。さすがに通産系団体らしく実は最も利に長けているんだ。
熊:なるほど、今後、建物の用途を変えたり、建て直しの時に公園内用途に限る必要がなくなり、規制が少なくなった、じゃあ地価評価も上がるでしょうね。つまり何もしないが隣の再開発のおかげで開発利益だけは入ってくるわけ。
隠:でも、TEPIAに言わせると、それは明治神宮とJSCが勝手にやることで、こちらがお願いしてるのではないって、怒るだろうね。
熊:そう、勝手にそう妄想されては困るって、ご隠居もお叱り受けますね。
隠:考えてみると、歴史的都市東京の近現代都市資産を、時代の変化に対応してどのように保全し更新していくか、いろいろな方法の典型的現場が、この外苑再開発に見ることができるね。一番古い公孫樹並木と一番新しいTEPIAは現地保全し、それらの中間にある野球場とラグビー場は移転更新する、それらが互いにせめぎあい生存競争に、伊藤忠とか三井不動産という外部民間資本が武器援助参戦、これは都市戦場だね。
熊:大方レクチャーを聞いて気になった面白いヒマツブシ話題が、ほかにもありますよ、容積率問題とか、市民参加問題とか、市街再開発事業制度問題とか、。
隠:うん、あるだろうね。あ、そうだ、念のために言っておくが、ここでの話は無関係な年寄りが面白がって妄想しているだけで、現実とは何の関係もないからね、間違わないでね。
熊:はいはい、よーく分かってますよ、年寄りの暇つぶしでしょ、この続きを次に来たときにやりましょう。今日はこれでさいなら。
(20221122記)(つづく)
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