2025/12/03

1920【老酔録⑩】遂にコロナ様のお眼鏡にかなって医師によるコロナ感染宣告を受けてこれこそ米呪である

 1時間程前に、医師から「新型コロナに感染」と宣告されてきた。おお。ようやく来たか。2020年初にクルーズ船に乗って横浜に押し寄せてきてからざっと5年、特に気をつけてもいなかったのにかかりもしないでここまで来たので、コロナとは縁がないと持っていたら、ここにき米呪とコロナとが重なったのである。酷いもんだ。

 思いさせば、もっとも最近に雑踏に出くわしたのは、4日前の12月30日に地下鉄に乗ったことだ。コロナ感染がその時かどうかわからぬが、可能性は一番高いだろう。12月1日朝はなんだか喉の奥が痛くなって来た。でも熱はない。食欲もある。仏に食うていた。

 今年の正月にひいた風邪によく似ているから、間もなく治るだろうと思っていた。12月2日のは朝からのどの痛みがひどくなって、飲食できなくなった。無理に飲み込もうとすると猛烈にむせてしまう。これが誤嚥性肺炎かと思うほどにむせるのは苦しい。

 ついに12月1日、2日は完全に絶食である。喉の痛みのほかはどこも何ともないが、次第に気分が滅入って来て、ベッドに寝てばかりいた。だから腹が減っても平気である。これで体重が減ってきて、歩くのに脚への負担が減るなら歓迎したいほどのことだ。それにしても今どき腹が減るというのはけっこう珍しい体験になるなあ。

 そうはいっても3日も絶食はいくら何でもなかろうと、医者に診てもらうことにした。喉が痛いのだからこれはかかりつけ循環器医師ではなくて、耳鼻咽喉医師にだろうと出かけた。さすが腹ペコのせいもあってフラフラするので息子に付き添いしてもらった。

 医院では待合室に入れてくれなくて、吹きさらしの階段室踊り場で待てという。小さな」ガスストーブはあるが寒くてたまらない。これではコロナでなくてもコロナになって帰宅することになりそうだ。

 階段踊り場で待つことしばし、医師が医院から出てきて、コロナかどうか検査をするという。そのうえでコロナでないならば待合室に戻って待て、コロナならば薬の処方箋を渡すから薬屋でそれを買って家で治療せよという。コロナだと医院の敷居さえ跨げないのだ。

 階段踊り場につっ立って鼻になにやら突っ込む痛い検査があって、震えつつ待つこと20分、医師がやってきた。

 医師「コロナでした」
 わたし「え~っ、そうなんですかあ~、ほお~」
 医師「これを見てください。ここにCSBAとあるでしょ、そのSのところで赤線が見えでしょ、これがコロナの標です」

 わたし「へえ~、そうなんですかあ」
 医師「では薬を毎日忘れないようにね。症状は急に熱が出るかもしれないから、高齢者は特に注意のこと。今日から5日間は絶対に外に出ないように、他人と会わないようにしてください。できれば、10日間をそうしてください。そして10日後のまた来てください」
 わたし「はい、わかりました。ところで先生、わたしは喉が痛くて飲食できずに、今日でもう3日間ほぼ絶食状態ですが、これを何とかしてください」
 医師「それはもうご自分でナントカ無理にでも飲食してしてください、人間は水を飲まないと死にますから」
 わたし「でもね、飲み込もうとするとかならずむせてしまって、酷い目にああうのです。どうしたらいいでしょう」
 医師「それは努力するしかありません。そのうちに飲み込めるようになるかもしれませんから。処方した薬にはいたみをおさえる効力もありますから、」
 わたし「その前に絶食飢え死にか、あるいは誤嚥性肺炎で死ぬかもしれませんね、はは」

 てなことで医院を出たが、薬局で買ったコロナの処方薬「ゾコーバ」は1粒7090円もする高価であった(ただし保険で2割負担)。思えばコロナ大流行時は無料であったよなあ。もっと早くかかっておけばよかったとは思えど後の祭り。

 さて、問題は薬を飲みこむことだ。ほぼ飲み食いできない状況をどう打破するか、水分を飲み込むときに、むせない姿勢をあれこれとやってみた。かなり前傾した姿勢なら、あまりむせないことを発見した。やれうれしや。

 それでじわじわと流動食をこわごわ、水も生ぬるくして前かがみで薬を飲むことに成功した。よしよし、これで3日間絶食は終わり、今後は細々と流動食としよう。まあ、明日はすっかり治るかもしれないし、逆に高熱が出るかもしれないから、考えても無駄だ。今日だけなんとかなればよい。

 さて今週は明後日に大学寮仲間10数人とズームの約束があり、わたしZOOMアプリ設定操作当番であるが、今くらいなら操作できるが明日どんな症状になるかわからぬから、仲間の一人に当番を交代してもらった。

 あ、そうだ、旧友の歌集制作があるのだが、月末となっている締切をちょっとのばしてもらうほうが良いかな。コロナになっても、予定変更はそれくらいなものである現在の身分を、喜ぶべきか悲しむべきか。もっともコロナで死ねば締切も消滅する。なんとかなるさ。

 この米呪なる年齢になって、こんな禍に出くわすって、どう考えようかと思案中だ。どうせ長くもない先ならば、これをチャンスに仕舞にすれば、それはそれで分かりやすい。むしろ分りすぎてつまらない。

 こんな時には、あれもやっておかねばならぬ、これもやっておきたい、なんて言いつつちょっとは慌ててみたいと思えど、さてもうやるべきことがほとんどないのだ。7月の引っ越しで物はほとんど整理したからなあ、あのときに人生を一度閉じたからなあ。

 さて、明日はこんな悠長なことを書けなくなるかもしれないので、とりあえずこれだけはやってっておこうというのが、この老酔録⑩である。

(2025/12/03記)

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