2025/12/24

1921【老酔録⑪:コロナ狂歌集】夜目遠目笠の内にはマスク顔今宵会う人みなコロナ美人

 コロナを詠う狂歌集  詠者:街杜散人 

 新型コロナは2020年初からの流行で、2024年にはほぼそれは終わった。わたしは流行遅れ人間で、今年2025年12月にコロナに罹った。ようやく世間並になった。しかし大したことなく、十日間の閉門蟄居で治ってしまった。

 わたしはコロナ流行開始の頃から「コロナ騒動おろおろ日録」なるブログを書き続けており、130件ほどの記事がある。今、自分がコロナに罹ったので読み返してみたらけっこう面白い。

 コロナで右往左往する世情を、時に狂歌として詠っているのでそれらを集めてみた。短歌詠み趣味はないので、情緒ある歌ではなくて、ひねくれた世相時評の狂歌のようなものだ。2022年から23年までのそのいくつかを抜粋して、詠んだ順にここに載せる。
 なお、印はいわゆる「本歌取り」で、昔の名歌をパクってパロディにしたつもりである。 


2020年4月

〈何でもコロナ〉これはまあ便利なことよなにもかも都合悪けりゃコロナのせいに

(コロナで人口増か)巣ごもりを裸淫と淫種ットで過ごしたら来年心配産院崩壊

(蜜と密)三密は密輸密売密造酒 蜂蜜餡蜜壇蜜は三蜜

5月

(小さいマスク)春過ぎて夏来にけらし白妙のアベノマスク未だ来たらず*

(マスク競争)君がため初夏の街に出でマスク買ふわが衣手にコロナ降りつつ*

(見えないコロナ)ひさかたの光のどけき初夏の日に静心なくコロナ散るらむ*

(マスク高値)買い物にうち出でてみれば白妙のマスク高値に腹は立ちつつ*

8月

(心忙し)コロナ来て後の心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり*

(長期政権)あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々しコロナも安倍晋三も*

(コロナ喉薬)イソジンでうがいしながら暇人はレノンが歌うイマジンを聞く

9月

(コロナ促進強盗推奨政策)半分を出してやるからGOTOといわれてもあと半分がない

(同名政権発足)菅政権この前は核の毒が降りこの度は新型コロナの毒降る

(コロナ風俗)夜目遠目傘の内にはマスク顔行き交う人はみなコロナ美人

11月

(コロナ振興政策)やれ行けやそれ行けGOTOお指図に頑張っておりますおいらコロナも


2021年4月

(あと700人余)願わくは散る花のもと春死なむその卯月の1万人目のコロナ*

(オリパラ歓迎)列島をアンダーコントロールしてオ・モ・テ・ナ・シします我らコロナが

5月

(一握の紙)また出せどまたまた出せどわが宣言効き目あらざりぢっと手を見る* 

(運の使い道)つながらぬワクチン予約の電話切り宝くじでも買いに行くべし

(緊急事態宣言)もしかして宣言する首相を替えたならもっと効き目があるかもしれぬ

6月 

(優先ワクチン)なさけなや若者さしおき余生なき年寄りどもがワクチン争奪

(優先接種)アスリート老人をさしおきワクチン打つオリパラという大バクチ打つ

(祝開幕コロナ新対策)無観客無選手無競技無放送無感染無事東京オリパラ

(ワクチン)「穴開らき死」の怖れある「惑鎮」にわが惑いこそ鎮まらざりけれ

7月

(無理矢理開催)東京のコロナ豪雨の真っ最中ゴリンバラリン土石流迫る

(また緊急事態)宣言し宣言宣言また宣言あと残るのは宣言者とり替え

(コロナぶっちぎり)今日感染東京2848人 負けたTOKYO2020

8月

(方針転換)もうベッドがない重症でなきゃ自宅療養とコロナに負けた政策の現実

(スカ看板自助政策徹底)罹ってもコロナ自宅で療養しオリンピックも自宅で競技か

(もう勘弁して)コロナ来てオリンピック来て豪雨来て泣きッ面に蜂パラリンピック

9月

(解除宣言近し)あの世への自慢話にしたいので緊急事態さなかに飲み会

(一年で首相取り換え)次々と攻め来るコロナの変異株こちらもせめて首相を変異か

(災禍三代目)アヘン禍ス禍コロナ禍のうえオリパラ禍すっかりキシンダ日本列島

10月

(酒飲みにも矜持)もう酒を飲んでよしとお上が言ったから10月1日禁酒開始日*

12月

(新規軍来襲)来た来た来た~っコロナオミクロン変異株来襲

(大晦日)コロナで開きコロナで閉じるこの2年 来年こそはピンピンコロナ


2022年1月 

(長生きは不幸)あの戦争このパンデミック八十路来てまたも遭遇地球規模危機

(生き甲斐コロナ)人生に飽きた八十路にパンデミック結果を見たくて生き甲斐ふつふつ

(お手上げ)わかってはいたけどやっぱりなア首相替えても効果は無しか

2月

(退屈哀歌)あしびきの山鳥の尾のコロナ禍の長々し夜をひとり鴨葱*

(毎年恒例2月詠)今年こそ花の下にて春死なんその如月の望月のコロナ*

(2・24事件)コロナ禍でもうたくさんなのにこの地球プーチンが始めたウクライナ禍

(NATOコワイ)納豆を嗅いで出て来る北の熊 コロナよ奴を冬眠させよ

3月

(コロナ+戦争)コロナ来て戦争が来て地球病みこの枕辺にも花は来るのか

4月

(ウクライナ禍)コロナ禍が止まぬに更にプーチン禍 わが人生は ウ~暗いなあ

(コロナ頼み)こりゃコロナこちらはいいから後にして急ぎ攻め込めクレムリンへ

(わが八十路)コロナ止まずプーチン禍も長引けば越える八十路の峠は闇夜

6月

(夏が来た) 春過ぎて夏来にけらし白妙のマスク外して雨の香ぐわし*

7月

(参院選与党圧勝)この度は圧勝したのはもしかして新型コロナ第七波党か

(禍禍禍夏)コロナ禍にプーチン禍そしてカルト禍で ヒマツブシには困らない日々

(コロナ帝国)コロナ新規感染者数世界一 未罹患われは非国民なれば

11月

(コロナ6~8波)その昔いたなあ懐かしコメディアン古川ロッパ八波むと志


2023年2月

(新春来たる)ひさかたの光のどけき春の日にしずコロナ来て洟の散るらむ*

(コロナ格下げ風邪並みに)これからもどうぞそのまま夜目遠目マスクの内の美しき人よ

(プーチン戦争一周忌)戦さする中に生まれて戦さ過ぎいま死ぬ時に戻りくる戦さ

(乱世再来)乱のうちに春は来にけりこの年を戦前とや言はむ戦中とや言はむ*

(コロナ波続々)第八波コロナ消えゆくふりをして油断をさせて年末に第九♪

(毎年春詠)今年こそ花の下にて春死なむその如月の望月のコロナ*

5月

(マスク無し)春過ぎて夏来にけらし四六時のマスク捨てたり風のかぐわし*

(コロナ消ゆ?)ひさかたの光のどけき初夏の日に静心なくコロナ消ゆらむ*

6月

(後悔)コロナ禍もウクライナ禍も知らぬまま19年に逝った友を羨む

7月

(争いの地球)歳たけてまた越ゆるかと思ひつつ命からがら戦さ世の夏*


2025年12月

 毎年春には「今年こそ花の下にて春死なむその如月の望月のコロナ」(西行法師詠の本歌取り)と詠うのだが、むなしく過ぎていた。
 ところがこの冬は本当にコロナに罹ったので、「その師走の望月のコロナ」成就かと思ったが、アイニク生還してしまった、ザンネン。ピンピンコロナも難しい。

(2025/12/24記)

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コロナ騒動オロオロ日録

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伊達美徳=まちもり散人
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