2008/08/04

025【老いゆく自分】わたしが今もしも失明したらこの「ひとみ」なるロボットを使おう

 今もしもわたしが失明したらどうするか、といってもちょっと想像もつかないのだが、少なくとも家の外に出ることは、ひとりでは不可能になるだろうとは思う。
 ところが、それをナントカしてやろうと、視覚障害者用自動走行電動車椅子を開発した大学教授がいる。
 わたしは好奇心が湧き、山梨大学を訪ねて、自動走行する電動車椅子を体験してきた。

 それは要するに電動車椅子に機械の眼(カメラ)と頭(コンピューター)をつけて、散歩や買い物などの日常的な外出ルートをおぼえさせておくと、これに乗ってボタンを押せば、目が見えなくても往復できるのである。
 そのメカニズムは聞いてもよく分からないが、そんなことができる時代なのである。

 もっとも、この車椅子がSFに出てくるロボットのように、ご主人の命令あればビューンと買い物に連れて行ってくれるには、あれはお話でこれは現実で、人間と機械の関係はそうは行かないものである。

 出かける外の街には工場の生産ラインのようにルーチン化した経路があるわけではなく、機械の判断しなければならないことが山ほど待ち受けている。
 それらは眼の見える人間ならすぐ判断して造作もなくやることだが、それを全部機械にやらせるとなると、図体は肥大し超高価になって、日用品の車椅子にはならない。
 だからある程度で製品化して、それを補完するのはそのあたりにいる眼の見える人間がやればよいのだ。それでもこの車椅子の視覚障害者サポート力は十分すぎるほど大きなものがある。

 今わたしが失明したら、日常的な移動経路については記憶にあるから、この車椅子の動きをある程度予知できるし、住んでいる横浜都心には大勢の人がうろうろしているから助けてもらえる。安心して外出に使えそうである。
 そのような機械と人間の関係を超える人間と人間の関係は、この車椅子だけのことではなく、どんなことにもいえることだろう。

 それを作っている人は、わたしの大学時代の同期の友人で、山梨大学の精密工学の森英雄さんである。大学での研究で開発し、名誉教授になった今も大学ベンチャーとして学内に部屋を持ち、改良、製作、普及、販売をやっているのである。
 さて、この「ひとみ」と名づけたハイテク車椅子を、どうやって世に知ってもらうか。

 森さんは「ひとみ」を自家用車に乗せて出かけ、あちこちの福祉イベントに参加してデモンストレーションをしている。旅の楽しみと福祉貢献という、結構な二股かけた全国行脚旅である。
 まあ、大学教授の常?として世間的なことにはどこか疎くて宣伝が下手だから?、かどうか知らないが、こんなすごいものだからとて世に知られてさっさと売れるものではない。

 どうも、森さんは売る気はあまりないらしく、とにかくだれか困っている人、特に中途失明者が使ってみてほしくて、在庫をもう無料でいいから貸し出す気らしい。
 自宅にNPO法人まで設立して普及に努めているのが、わが同期のセンセイながらいじらしい。なにかわたしもできる協力をしたい。

  まずは視覚障害者が読めるWEBサイトつくりである。最近はWEBサイトを音声読み上げするソフトがあるので、それを聞けばよいので便利らしい。ただし、ソフトが読み上げやすいデザインをする必要がある。

 美しくてデザインしても、読み上げソフトが読めないと意味がない。画像には代替文字をつける必要があるし、凝った表やフレームによる構成もいけないらしい。
 情報伝達の基本を考えさせられている。

参照→次世代インテリゼント車いす「ひとみ」
  →ロボット電動車いす「ひとみ」

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