野毛坂の古本屋で変な本を見つけて、つい、買った。
石原莞爾著「世界最終戦論」(第一改定版1940立命館出版部発行)である。
父の十五年戦争を追っていて、満州国に興味が深まった。満州というキメラには前から興味はあったのだが、そこに身内が命を懸けたとわかると、それなりに興味の湧き方も深まるものだ。
徘徊老人のいつものコースの横浜ご近所古本屋探検は、ちかごろは105円棚の充実する伊勢佐木町ブックオフで思いがけない掘り出し物に凝っているのだ。
特にこのところの十五年戦争関係資料の掘り出し物は、「日中戦争」児島襄の第1巻と2巻であったが、この類はブックオフにはめったに出ない。
やはりブックオフでは奥が浅いので、古典古本屋にも回帰しつつあり、今回の石原莞爾である。
ときには古典的な紙魚の香りがする古本屋さんにもいかないと、禁断症状が出る、ということもある。
満州のことについてなにを読んでも教祖様の如く石原莞爾が出てくるし、とくにその「世界最終戦論」は、彼の満蒙植民地化論のバイブルみたいに書いてある。その後の世界の構造を予言したとも書かれている。
気になっていたが特に探す気もなかったのに、偶然にその論の本に出会ったのだ。四六判、100ページ足らずで定価40銭、古本価格は1000円であった。
1940年9月10日初版5000部発行、すぐに20日には増刷5000部、更に重ねて買った改訂版まで合計3万1千部発行である。
大ベストセラーである。時代の空気をどう読むべきなのだろうか。
たまにこのような戦前戦中の古い本を買うことはあるが、これまではほとんど建築か都市系の本であった。
いよいよ老人趣味になってきたか、、、もっとも、初版本や稀覯本をあさるような古書趣味は全くない。
追記:その後、青空文庫に「世界最終戦論・戦争史大観」という石原の著書があるのを見つけた。買わなくてもよかったのだ。インタネット時代はすごい。
0 件のコメント:
コメントを投稿