これらは横浜市のみなとみらい21地区内の新港地区で、計画中の結婚式場の建築の完成予想図である。なお、観覧車はとなりの遊園地にあるもの。
これは2012年1月の案
これは1月案を修正した3月の案
これが建つ場所はこのようなところである。みなとみらい21地区のなかでも超特等立地である。
この計画がその審議会の景観審査部会の議事として審議されたのは、2012年1月である。
ところが部会は、この案はぜんぜんだめと、やり直しをしてあらためて審議しようとなった。こういうことは今まで一度もなかったことである。その議事録を読むと、その案のどこが悪いというよりも、全体にナットラン、そんな雰囲気である。
1月の景観審査部会での委員の意見を少し拾ってみよう。
「これは何か大きなかけ違いがあるのではないか」(金子委員)
「全然違った地区や国の文化を持ってくるというのは、これまでやってこなかったこと」「新港地区での展開についての配慮は余りないのではないか」(国吉委員)
「物まねは求められていない」(中津委員)
「この場所ではこういう西洋風のチャペルではないだろう」(高橋委員)
「テーマパークを思わせる奇抜で猥雑な雰囲」(加藤委員)
「今目の前にあるこの模型の形では認められない、承服できない。といって、この方針で微調整をすれば認められるかということでもなしに、基本的なデザインの考え方、それは配置、外観あるいは景観、そういったデザインの基本的な考え方の大きな見直しが必要」卯月部会長)
これに対して事業者はこう答える。
「各所で西洋風の様式、西洋風の建物を展開しています。そして各地で成功をおさめているといった形でございます。西洋風の建物スタイルというものをこちらでも展開し成功をおさめたい、要は1つのビジネスモデルであると理解しております」
そして基本的なことには答えようとしない。
まったく異なる立場であり異なる方針のデザインだから、答えることもできないのが当たり前である。ただし、事業者としてはこれまでの横浜市の方針と異なるものとは、少しも思っている様子はない。
そして3月23日にもう一度この案が景観審査部会にかかった。つまり1月の審査部会の意向を受けて、1月から3月までの間に市と事業者が協議をして変更をした案を出したのであった。ただし審議ではなくて報告としてである。条例で審議は1回と決まっているかららしい。
それが冒頭に示した2枚目で、どこが変わったかわからないクイズなのであった。当然のことに部会のメンバーは怒った。
なにも分かっていない、なにも聞こうとしない、一回の審議で何ができる、これじゃあ審議会はいらないっ、と。
いったいこの2ヶ月の間にどんな内容の協議だったのだろうか。
この計画案は委員が言うように本当にだめなものなのか。
専門家たちがだめといわれるようなものを作って事業が成り立つものだろうか、
専門家はだめといっても世の人々が受け入れるから事業が成り立つのか。
景観とはそのように専門家と普通に人々では評価が異なるものなのか。
考えるといろいろと面白くなってくる。これは景観論というよりも社会学的な面白さである。
ここでしばらく何回かこのことを継続して考えて、連載する。(つづく横浜港景観事件(2))
参照→この件は以前2012年3月に新聞報道があったので、それと横浜市のサイトを見て「592市場における都市美とは?」と、その続きの「599非日常・異日常そして日常の風景」を書いた。
参照http://datey.blogspot.jp/2012/03/592.html
http://datey.blogspot.jp/2012/03/599.html
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