熊五郎 ご隠居、写真並べて何してるんです。
ご隠居 おや、熊さん、うん、今ね、見合いしてるんだよ。
熊 その写真の顔はどれも見たことあるような人ばかりですねえ、あ、政党党首だ。
隠 そう、これはね選挙公報に載ってる党首の写真だよ。
熊 そんなもの集めて、なにしてるんですかい、だって、ご隠居は投票行かない主義者でしょ。
隠 そうなんだけどね、選挙公報ってのが来たんで、暇つぶしに見てたら、今はこんなにもたくさんの政党があるんだなあ、親玉はどんな顔なんだろって眺めてるんだよ。
熊 あ、そうか、ご隠居はテレビ嫌いだから、党首の顔を知らないんですね。
隠 そうなんだよ、投票に行かないから政党の名前も知らないぞ、えへん。
◆
熊 自慢してもしょうがないでしょ。で、写真見て何かわかりましたか。
隠 うん、ひとりだけ妙に気になる写真がある。どこのどなたか知らないけどね。
熊 どれどれ、あ、その顔はアベさんですよ、ほれ、アベノミクスのアベさんですよ。
隠 ほう、これがアホノミックスって、阿呆の詰め合わせの親分かい。
熊 で、なにが気になるんです。
隠 この写真だけがこちらに正面向いていないんだよ。そっぽ、あさって、上の方を向いて、顔をそむけている、なにかやましいことがあるんだろうか。
熊 お、そういや、この人だけですねえ。
隠 しかも、こちらから見る視線を見上げさせてるんだな、仰ぎ見させるんだな、なんか、失礼な奴。そうか、このお人があのエライアベサンなのかい、やっぱり偉い人の写真は写し方違うもんだねえ。
熊 そういうもんですかねえ。他の人はどうなんですか。
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隠 もう一人、不気味な人もいるね、これだよ、笑いながら噛みつかれちゃあたまんないね。
熊 そりゃオザワさんでしょ、コワモテを微笑で何とかしようって、、。
隠 こういうの微笑って言わないよ。
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熊 で、こうって顔占いして、今度の選挙には投票に行くんですか。
隠 うん、いや、いい顔がないから行かないことにしようかな。
熊 しょうがないね、でもねえ棄権しちゃいけませんよ、棄権が多いと世の中よい方に変らないと世間じゃ言ってますよ。
隠 おやそうかい、投票に行かない人が多いと、変化はないのかい、それはおかしいよ。だってね、もしもだよ、だれも投票に行かなかったら全員落選で大変化だよ。
熊 いや、少なくとも候補者は行きますよ。
隠 候補者だけが行ったとしても、全員が一票づつだよ、こういう時はどうするんだろ、ジャンケンポイって、勝ったヤツが当選、やっぱり大変革だな。
◆
熊 しょうがないね、また投票に行かないんですか。
隠 あのね、この前の選挙も憲法違反だったんだよ、でね、この選挙も憲法違反になる可能性が高いんだよ、おまえな、選挙に行くと憲法違反の犯人になるんだよ、罪人だよ、憲法ってのは一番エライ法律だよ、だから、たぶん、違反したら死刑になるんだぞ。
熊 まさか。憲法違反の選挙で選ばれた議員がつくった法律は憲法違反なんでしょうかね。
隠 そうだよ、おれたちはいま、虚構の法に縛られてんだよ。実は無法社会なんだよ。
熊 ご隠居の勝手アナ―キイにも困ったもんだ。
◆
隠 実を言うとね、むかし若いころは選挙投票に行ってたんだよ、でもね、わたしが票に書いた人は毎回必ず落選するんだよ。
熊 特定の政治家を応援してたんでしょ。
隠 いや、転勤が多かったからあちこちで投票したよ。でも、どこでもそうなんだよ。気の毒になってねえ。わたしが票を入れると落選するジンクスがある。
熊 まさか。
隠 こうなりゃ、落選させたい奴に票を入れりゃいいのだと気がついてね、ある時そうして見たんだよ、そしたらそいつが当選してねえ、で、懲りたので、もうやめたってことにしたんだよ。
熊 そうだ、投票するとき各人2票にして、一票は当選させたい方、もう一票は落選させたい方に入れるようにすればいいんですよ。プラスマイナスの差で当落がきまる、ってのはどうです。
隠 お、おまえ、いい考えだよ、そうすりゃ、わたしも投票に行くよ、棄権がウンと減ると思うよ、
(顔写真は順不同、選挙公報をスキャンしたままで加工していません)
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