今朝の新聞には、「うちの杭は大丈夫か、誰に聞けば、マンション相次ぐ相談」とかって、「マンション購入、注意すべき点は」なんて記事もある。
あのねえ、杭のことなんか、誰に聞いてもわかんないよ、だって土の中の深~くで、だれも見てないんだからね。杭じゃなくてもコンクリートだってほじくってみても分らないよ。
そんなこと心配するんじゃなくて、そもそもマンションという危険な商品を買うのを、おやめさないよ。それが一番よろしい。
共同住宅ビルに住みたいなら、1棟まるまる賃貸借共同住宅の中の1戸を借りなさいよ。
それなら傾こうが倒れようが、あなたの懐は痛みません。その家主さんが建てなおすでしょ。
新聞屋さんも、こんな末端杭屋さんを追っかける記事ばかりじゃなくて、そもそもマンションなるものがいかに危険な商品かを報道しなさいよ。
その危険なることは、20年前の神戸大震災で十分に知ったはずなのに、もう忘れたのかい。
え、不動産屋さんが新聞広告を出してくれなくなるからできないって、、、おお、しょうがないなあ、まったく。
●「マンション」って大邸宅とか豪邸のことなんだけど
このところ「マンション」という不思議な言葉で、マスメディアもネットスズメも賑やかなことである。横浜都筑区でマンションが基礎杭の欠陥工事で傾いた事件である。
ニュースを見てるとマンションとは、高層の共同住宅ビルのことを言うらしいが、特に各戸が別々の所有者になっている区分所有タイプの建築を言うらしい。
だから2階建ての賃貸アパートはマンションとは言わないらしい。高層の賃貸共同住宅ビルはマンションなんだろうか。
マンションとは和製英語らしいが、本場英語の意味は大邸宅とか豪邸とかで、分りやすく言えばハリウッドの大スターの邸宅とか、アメリカ大統領が住んでいるホワイトハウスのような豪邸を言うのだそうである。
それなのに日本では、ちっとも大邸宅でも豪邸でもないのに、どうしてマンションというのか。
和製英語マンションに英語で近い意味と思われるのはコンドミニアムだが、そう言わないのはなぜだろうか。
●不動産屋の誇大宣伝広告用語「マンション」
法律はどうなっているんだろうと探すと、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」というのがあった。その第2条にマンション定義が「二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう」と書いてある。
え、じゃあ、木造2階建て住宅の1階をわたしが、2階を弟がそれぞれ所有したら、これもマンションなんだ。超高層の1000戸もある共同住宅もマンションだ。へえ~。
では、法律がそうだから、共同住宅ビルをマンションというようになったのか。いやいや、法律は2002年にできたけれど、そのずっと昔からマンションと言っていた。
どうやら、不動産業者がアパートメントハウスと言うべきところを、都市にはびこった木造2階建てアパートと差別化するために、マンションと誇大広告的命名をして売り出したのが始まりらしい。
その誇大広告用語をそのまま法律に持ち込んだらしいが、庶民には分りやすような、誤解を招くような困った法律である。
最近、新聞のマンション広告に戸数の表現を、例えば100邸と書いている。邸の漢字が土地につかない空中楼閣にもつかうのは、マンションと同じく誇大広告用語だけど、そのうちに法律にも書かれるかもしれない。
というわけで、マンションとは高級な邸宅を言うものだと、庶民はこの誇大広告にすっかり騙されて買うようになったらしい。
どうも誇大広告用語を使うのがバカみたいなので、わたしは名づけてこう言っている。
「名ばかりマンション」
●実は珍しくもない名ばかりマンション建て替え紛争
そして、この事件である。しかし、この事件は決して珍しいことではない。去年7月に横浜で住友不動産が売った「名ばかりマンション」で全く同じような事件の報道がある。
ずっと前には耐震偽装事件という地震に弱い名ばかりマンションが、その前には阪神淡路地震被災した名ばかりマンションが、どれもその後の建て直しで、とんでもない大苦労をしている。
その苦労は、区分所有ビルであるということが原因である。上に書いた法律ができたのが2002年であるように、いろいろな事件で壊れても倒れても、その建て替えをめぐってはなんだかんだと紛争が起きるために、なんとかしなければなるまいとできた法律である。
紛争の根本は、壊すにも建て替えるにも、所有権利者たちの同意がいるのだが、これが簡単ではないからだ。分りやすく言えば貧乏人と金持ち、年寄りと若者、外国人と日本人、などなど100人いれば100通りの違いがある。その権利者数が多くなれば幾何級数的に難題が増える。
今評判の横浜都筑区の名ばかりマンションでは、4棟で全700戸もあるのをデベロッパーは全部建替え補償すると言っているそうだが、700通りの事情に加えて各棟ごとの事情があるから、同意を取るのは超難関であろう。
このようなことは、1995年の神戸でその難しさをたっぷりと経験したのに、売るほうも、建てる方も、買う方も、だれもかれもがすっかり忘れてしまっている。
そうしてこのような事件に出くわしたのである。全くどうかしているとしか思えない。
●名ばかりマンションがもたらす大震災後の難民問題
TVを見ないから知らないが、新聞やネットのマスメディアの報道には、末端業者の犯罪事件としての視点しかないらしい。しかし、根本問題は名ばかりマンションというシステムにあるのだ。
次の大震災が来たら、名ばかりマンションの多くは被災するだろう。倒れなくても、大修繕が必要な壊れ方をするだろう。そして修繕の同意が得られない名ばかりマンションは立ち腐れ廃墟になる。
倒壊してしまって公費で撤去されても、跡地は細分化されたままの共有地だから、この再利用も同意を簡単にはとれないから、草ぼうぼうの空き地が増えるばかり。
大地震が来なくても、人口減少で空き家が出てくると管理できなくなって、お化け名ばかりマンションがあちこちに登場するだろう。名ばかりマンション難民は、もう戻ることができない。
というわけで、共同住宅ビルは区分所有の名ばかりマンション方式を、今すぐさま禁止するべきである。今やめておけば、これ以上の被害者を出さなくて済む。
共同住宅ビルは区分所有名ばかりマンション方式ではなくて、1棟の全戸が賃貸借住宅の、しかも単純所有方式にするべきである。その所有者は団体(企業、組合等)でも個人でもよいが、とにかく単純にしておけば、建て直しは比較的容易であるはずだ。
また、建物の管理や運営が、組合という寄合世帯ではないから、空き家対策もやりやすいだろう。
●人口減と大震災に備えてマンション禁止と賃貸住宅促進を
現在の政府の住宅政策は、このような現実から眼を逸らして、持ち家を進めているから、賃貸住区には冷たい。
ところが、先般の東日本大震災被災者への住宅供給が、珍しくも災害復興公営住宅という賃貸住宅を大量に建設している。つまりこれまでのような持ち家政策のままでは、社会的な大事件が起きた場合には対応できなくなったことを、まざまざと示している。
その公的賃貸住宅の建設をするのに困ったのは、どこの被災自治体でもながらくその建設をしていないので、ノウハウが失われてしまっていたことだった。全国の自治体のその専門職員を派遣してもらって建設をしている有様であるが、遅れに遅れている。
住宅を社会政策ではなくて、民間投資の経済景気対策にしてきたツケである。公的賃貸住宅を日ごろからきちんと供給していれば、震災後にこれほども困ることはなかったはずである。
それなのに、次の大震災に備えて、被災するかもしれない自治体において、公的賃貸住宅の供給を進めているかと言えば、そういうことを全く聞かないのは、いったいどういうことなんだろうか。むしろ名ばかりマンションばかりが増えて、住宅難民候補者を増加させている。
その結果が今の空き家大量発生問題である。この国の政府には住宅政策がないと前々から言っているのだ、いまだになにも見通しが無くて、マンション問題も空き家問題も、まるでまるでモグラたたきの目先小手先対策しかしない。
そもそも基本的人権である住むということについて、ほとんどの国民が一生かかって返済するような借金漬け人生を送らなければならないような政策自体が、根本的に間違っている。
わたしはもう30年くらいそういっているが、蟷螂の斧だし、もうすぐ死ぬから、知ったことではないのだが、あまりバカバカしい事件が起きるもんで、こんなことを書いてヒマツブシとローカボーシに活用している。ありがたいことだ。
(追記20151026)
今朝の新聞に週刊現代の広告。あのフューザー社長が、わたしと同じこと言っているらしい。あの耐震偽装騒ぎで騒ぎで、悪名が髙かった本職が言うんだから、わたしの言よりも確かだろう。
●参照:「くたばれマンション」
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju
1 件のコメント:
伊達眼鏡さんに全く同感。平屋の2軒長屋なら通じてもいいような法律がタワーマンションに至る迄適用されているのが疑問。違法であるという裁判もないようだ。私自身は30年前に分譲集合住宅を飛び出した。当時は塗装でも屋根防水工事でも分担金は苦にならなかったけれど、退職後に建て替えの話が持ち上がったら金がなくて建て替え反対に回らざるを得ないと考えて仲間割れは不味いと飛び出したのである。人生の終わりになって、未来のために立て替えるという選択肢が湧くわけがない。マンション購入者は踊らされているのである。
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