2017/11/13

1299【黄金町バザール・4】アート制作のために地域に入っていくアーチストたちって街づくりコンサルタントに似て非なるもの

黄金町バザール・3】のつづき

 それにしても、これらわけのわからない作品を、手間と時間をかけて制作し、展示しているアーチストたちは、いったいどうやって日々のおまんまを食っているのだろうか。
 制作費をどうやってひねり出してるんだろうか、みんな富豪の人たちか、それともなにか別に本業を持って稼いでいるのか?


 ヒマにまかせて黄金町バザールに何回か通っているうちに、そんなことを気になっていたら、最終日の11月5日にアーチストたちのトークイベントがあるとのことで、聞きに行った。
 わたしの素朴過ぎる非アート的疑問に、あまり応えてくれる話もなかったが、会場で質問する勇気はない。それでも制作には何かの金銭的支援システムもあるらしいと知った。

 登場したのは、この展覧会のゲストキュレイタの窪田研二、出展者のChim↑Pom(卯城竜太)、毒山凡太郎、キュンチョメ(ホンマエリ、ナブチ)の5人だった。よくしゃべるアーチストたちである。ついでながら、それらの芸名?はどのようなつもりで付けたのかしら?
 面白かったのは、映像作品の制作のために、ある地域に入り込むときの構え方の話が、まちづくりコンサルタントと同様であることだ。わたしがやっていたことだ。

 「よそ者、ばか者、若者」という、地域を動かす起爆となる人材を指す言葉をキュンチョメが言ったが、これをここで聞こうとは思わなかった。懐かしい言葉である。
 まちづくりの世界では40年以上も前に言われて、いまではそれら「まれ人たち」に頼るまちづくりは、もう古いとされている。
 また、地域の人々に忌避されないような言葉遣いとか、地域リーダーとの間合いのとり方とか、制作の苦労話もあったが、まちづくりの世界そのものである。
 アートの世界とまりづくりとは違うだろうけど、そうか、かれらも地域に入る時それを意識するのかと思った。どちらも「まれ人」には違いないからなあ。
 
 制作費の調達についても、公的な助成金を使う話もあり、これも街づくりと同じである。
 そうか、もしかしてわたしがやってきたことも、実はアートのひとつかもしれないと気が付いた。そう思えば、まるで儲からなかった自分の人生もナットク。
 例えば、中越震災復興支援の手伝いに、ほぼ手弁当で10年近くも山村に通ったが、なんだか、アートだった気がしてきた。
 つまり、どこに役立ったかよく分らないが、何かをやったことは間違いないし、それにかかかる諸費用の一部も、公的あるいは民間企業の支援を得ていたからだ。

 復興支援先からアート作品と言えるものを持って帰って、どこか展示するのではないが、それでも時には何かの会合でその活動を画像などで紹介したりしたから、アート作品だろうか。
 わたしの撮った画像の一部をユーチューブにも掲載しているから、わたしもアーティスト気分になってきた。
https://www.youtube.com/watch?v=4G5HDnuz8Vo
https://www.youtube.com/watch?v=y5FaeTxtkz8
https://www.youtube.com/watch?v=kG7jm1_R5G0&t=2s
https://www.youtube.com/watch?v=fteD8R57BuY

 そうしたら、11月5日の朝日新聞書評欄に、「都市は人なり Sukurappu ando Birudoプロジェクト」(Chim↑Pom著)なる本のことが載っているのに気が付いた。
 おお、このChim↑Pomがやったアート仕事は何の役にも立たない?が、なんとまあ、戦後新宿都市計画事業の親分・石川栄耀につながろうとはねえ。

 これを読んで、アーティストはやっぱりエライモンダと思った。こんなプロジェクトを自分で仕掛けて、やり遂げるんだもんなあ、すごいもんだ。
 その点では、まちづくりコンサルタントなんて、いつも誰かに頼まれてフィーをいただいてやっているんだもんなあ。まあ、希に自分で手弁当でやることもあるけどね。
 やっぱりアーティストとコンサルタントとは天地ほども違うのだと、しっかりと覚ったのである。なにしろ、現実に役立たないでもよいアート、現実に役立たないと意味のないまちづくり、この差は大きすぎる。

 ところが、このアーティストたちも、東北の地震津波や核発電事故被災地に入りこんでいるというのだ。
 避難所を訪ねてインタビューとか、核毒汚染で帰還困難地域内で、ほぼだれも見ることができないアート展示もやっているという。
  参照 http://politas.jp/features/9/article/481
 うむ、それは被災地復興支援活動なのか、アーティストの制作動機としての被災地なのか。でも、作品には十分にメッセージを込めたものにならざるを得ないとすれば、これは復興支援の延長上にある活動かもしれない。
 つまり、役立つアートなのか。でも、そう言った途端に、それはアートなのかい、アートのダラクだろう、なんて思ってしまう。
 
 と思いつつ街なかをブラブラ行けば、諸所の建物の壁にアートらしき絵があるのに気が付く。これは黄金町バザールとは関係ないあたりだから、これからも存在するのだろう。
 黄金町バザールで、竹本真紀というアーティストが描いた壁画があるので見てくれと言われたので見たのだ。
 聞けば、それらの建物のオーナーと個別に交渉して、それぞれ描かせてもらったそうだ。その制作費には横浜市からの支援を獲得したとのこと。
竹本真紀の作品

竹本真紀の作品

竹本真紀の作品 どこまで作品でどこまで看板広告か
うむ、よくやるなあ、まちづくりコンサルタントよりもアーティストの方がえらいような気がしてきた。
 いや、エライとかエラクないとかじゃなくて、どうも次元が違うのだなあ、似て非なるものか。

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