ご隠居:おお、熊さん、おめでとう、今年もよろしくな。
●平成最後ゴッコやろうよ
熊:平成最後のお正月ですねえ。
隠:なんだよ、その平成最後ってのは、あたりまえだろ、流行言葉だねえ、もう聞き飽きた読み飽きたね。
熊:あのねえご隠居、そんなに正月からイチャモン言ってちゃ、今年はロクなことがありませんよ。いいじゃないですか、本当に平成最後なんだから。
隠:あのなあ、なんにでもそれをくっつけて言うと、ガサツな熊さんでもなんだか知的にお上品になるってのかい。
熊:ええ、どうせわたしゃガサツですよ。正月だ平成最後の正月だってなもんですよ。
隠:ワハハ、なるほど、なかなかよろしい俳句だね。
熊:え、俳句なんぞしゃべってませんよ。
隠:あ、そうか、よし、熊さんを俳人にしてやろうか。なんでもいいからまず5音を言ってだね、その後に「平成最後の」ってつけて、最後にまた初めの5音を繰り返す、そうすりゃ平成をいかにも惜しむ名句に聞こえる。
熊:え~と、「元旦や平成最後の元旦や」、おっ、なるほどそれらしいや。もひとつ「初もうで平成最後の初もうで」って、どうです。
隠:まあな、名句とは言えんが迷句でもないな。じゃあ、歌人になるのはどうだい。
熊:俳人になったとたんに今度は歌人ですかい。
隠:五七五の上の句に「それにつけても平成最後か」って下の句をくっつけるんだよ。
熊:その上の句を作れない。
隠:誰かが作った俳句でいいんだよ。
熊:じゃあ、「古池やかわず飛び込む水の音 それにつけても平成最後か」
隠:うまいうまい、芭蕉が平成の世に生れてきたようだよ。
熊:じゃあこれはどうです、「降る雪や明治は遠くなりにけり それにつけても平成最後か」、おっ、草田男の句の時間の遠さが平成まで延びましたよ、いいでしょ。
隠:ワハハ、「柿食えば鐘がなるなり法隆寺 それにつけても平成最後か」なんてね、子規に叱られるな。平成最後ゴッコで今年は遊べるな。
●平成って今年いっぱいあるんじゃないのかい
熊:まあ、ご隠居がそうひねくれても、どうせ今年の始めの4カ月だけのことですよ、大目に見てやりましょうよ。
隠:えっ、平成って今年いっぱい使うんじゃないのかい?
熊:おや、ご隠居、そんなこと知らないんですかい、おどろいたね。
隠:あたしゃね、西暦しか使わないし、元号の元凶の天皇にも興味ないんだよ、だからそれ関連ニュースも読まない、聞かない。
熊:平成の次の元号は5月1日から使うことにしたそうですよ。
隠:で、そりゃなんて言うんだい、「ヘエセエ」の次なら「ウンセエ」だろ?
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隠:へえ~、そうかい、それじゃあ今年の暦はみんな西暦で作ってるんだね、そうかそうか、もう今年から役所も元号を使わないんだろうね。
熊:そんなことないらしいですよ、次も使うらしいですよ。
隠:それじゃあ困るだろ、4月までに発行する5月より先の期限がある免許証とか市営地下鉄定期券とか、どうするんだい、平成30年12月までとかって、ありもしない架空の日付を書くことになっちゃうよ。役所の書類に架空の日付じゃあ拙いだろ、西暦で2019年12月までと書くにきまってるだろ。
熊:ええ~と、そうかもなあ、弱ったなあ、どうするんでしょうね。あ、そう書いても新元号が決まったらそう読みなおすって法律を作るでしょうよ。
隠:ホントかい、日付記入する書類って膨大な数だよ、全部網羅した法律作るって、バカバカしくってやってられないよ。
●元号の強要をやめてくれ
熊:そもそも元号を役所が市民に強要するって、どうしてなんでしょね。西暦にしときゃ問題ないのに。
隠:ほれ見ろ、お前さんだってそう思うだろ、無理矢理に使わせるのって人権蹂躙だよ。
熊:大げさだねえ、ご隠居は、どうでもいいじゃありませんか。
隠:いやどうでもよくないよ、元号だと年数の勘定ができないんだよ。例えばだよ、明治43年から平成22年までは何年でしょうって、聞かれたらどう答えるんだい。
熊:え~と、え~と、、。
隠:な、勘定できないだろ、ところがまったく同じ質問でも1910年から2010年まで何年間でしょうって聞かれたら、簡単だろ。
熊:う~ん。
隠:じゃあな、1914年にヨーロッパで第1次世界大戦がはじまった、この年に日本で何が起きたか、なんてのもすらすらと答えられないだろ。元号で暮らしてるとグローバル時代の歴史感覚から取り残されるよ。グローバル音痴になるんだよ。
熊:でも元号ってのは日本文化ですよ、それを無くしちゃいけません。
隠:わたしゃ元号をなくせとは言ってないよ、使いたい人が使えばよろしい、政府、裁判所、国会、県庁、市役所等の役所が、市民に強要するから弊害がでると言ってるんだよ。面倒なことやめようよ、変えるたびに余計なカネもかかるし、どうせなら今じゃあ世界のデファクトスタンダードに近い西暦つかえばいいじゃン、というのだよ。
熊:そうですねえ、次の天皇だってあと何年かしたら退位するか死ぬかして、また今回のような騒ぎになるのだなあ、面倒ですねえ。
●一世一元制じゃなくてしょっちゅう変えろ
隠:あ、そうだ、元号が日本文化だと言うなら、いっそのこと神武歴にしたらどうかねえ、今年は神武紀元2679年だよ、これなら紀元1600年から紀元2679年まで何年かと聞かれてもすぐ答えられるよね。
熊:え、居直りましたね、そりゃまあ勘定は簡単だし、日本文化だけど、そこまで戻るのかあ、グローバル音痴問題はどうしますかね。
隠:なんで元号に官庁が固執するのかって言うとだな、日本古来の歴史を尊重するって保守派の圧力によるんだろうなあ、もしそうなら、近代になって始まったばかりの一世一元制じゃなくて、近世以前の古代からの様にしょっちゅう元号を変えるべきだよ。景気が悪いから改元、大災害があったから改元とかね。
熊:おもしろいなあ、日本人がノーベル賞とったから改元なんていいですねえ。
隠:そうだ、首相が変るごとに新元号ってどうだい、「安倍元年」とかね。ワハハハ。
熊:ワハハ、一首一元制ですか、役所の書類は大変なことになる。
隠:うん、そうなりゃやむを得ず西暦を使うだろうよ、それが狙いだ。
熊:ま、こうやって今年も正月からイチャモンたれてりゃ、ご隠居は長生きしそうですね。
隠:あ、そりゃ困るね、超高齢社会問題を深刻にするばかりだ。
熊:ケッ、自覚してるのか、そのとおり!
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