2020/06/25

1472【横浜コロナ風景その2③】横浜中華街がコロナショック最大の風景だった

 【横浜コロナ風景その2②】のつづき
コロナ禍緊急事態前、その最中、その解除後と、あちらこちら不要不急徘徊を続けている。その横浜都心徘徊で見るレポートシリーズ、今回は横浜中華街
 中心部の繁華街で商売に最も大きな影響があったのは、横浜中華街かもしれない。何しろ、あんなにたくさんの店があり、あんなにたくさんの人が、昼も夜も行き交っていたのが、店はほとんど休業し、街の道はほぼ無人になっていたのだから。
横浜中華街風景
左:コロナ緊急事態自粛中2020年4月21日 右:同解除最初の休日6月20日
ここは要するに中華料理に特化した食堂街であるが、同時に遠来の客を対象とする観光の街であることがはっきりと分かった。
 2004年に新地下鉄道「みなとみらい線」が、横浜駅から元町・中華街駅まで開通、東横線が乗り入れてきた。とたんに街に人が増えて混雑してきた。東京や北関東からの観光客がやってくるに違いない。

 店の競合も激しくなったらしく、派手派手の街並みに変化しきて、路上看板類が増え、そして声高の客呼び込みなど、観光地によく見る街に急激に変貌していったが、さすがに中華コンセプトは変わらなかった。
 変らないような努力がされているらしい。例えば、このまちでは共同住宅ビルを建てないようにしている。媽祖廟があるところに共同住宅ビルが建とうとして地元で買い取って、この廟を建てたという話も読んだことがある。

 ところが緊急事態発令、中華街はだれもいなくなった。いや、いないことはないのだがコロナ前の賑わいと比べると無人同然である。
 ほとんどの店が休業しているのは、客がいないからか、それとも店が開いてないから客がいないのか。中華料理店も自粛要請のメニューに入っていたのだろうか。いや、そんなはずはない。少ないが横丁には営業している店もある。
コロナ緊急事態下の中華街メインストリート 2020年4月21日
同上関帝廟通り
同上 路地

赤黄青で彩られて派手派手姿の街並みは、だれ雑踏の観光客がいてこそ生き生きと見えるものと知った。この特有の風景は、まさに作り物チャイナランドだ。人がいないと生きてこない。わたしが目で見た本物チャイナランドは、香港と上海だけだが。
 歩いていてアニメ映画に入り込んだ小人になった気分になる。営業する占い店から客引きの声がむなしく響くのが、かえって寂しい。土産物店も細々と営業、店先にマスクをならべているのが、侘しい。

 ここはコロナで緊急事態の移動自粛がかかると、とたんに人が行かなくなる街、行かなくても困らない町である。だから店のほうも当然のことのように、ほとんどが休業する。
 他の都心繁華街とはかなり異なるのは、ここがチャイナランドとでもいうべき年か2000万人を呼び込むレジャーランドであり、異郷演出の地であることだ。他の繁華街がどこかで地域の生活とつながっているのに対して、ここはそれがほとんどないらしい。

 ここの営業者や住人が、どの程度にチャイナ系であるか知らないが、かなりの高い割合だろう。
 それがチャイナ系であろうがなかろうが、ここではチャイナ系、現代シノワズリをもって商売の種としていることを、コロナが見せてくれた。それはそれで立派な戦略である。

 考えてみると、この街の特色である中華料理を食べるとなると、コロナ三密回避あるいは口頭飛沫防止には、かなり不利であると思う。
 あの大皿に盛る料理を回転テーブルを回しながら、みんなで次々に取り分けて、談笑する宴会形式は、人の口から感染して来るコロナにとっては絶好の機会を提供するだろうから、かなり怖い。

 わたしも大学山岳部同期会を、新橋の新橋亭という中華料理店で行うのが、毎年5月の定例になっていたのだが、さすがに今年はやめた。
 緊急事態自粛解除の新しい生活様式になったいま、あの大皿共食宴会様式は、どうなっているのだろうか。

 中華街では歩き食い(食べ歩き)が大いに流行っていて、歩き食い専門の食い物店もあちこちにある。大きな中華まんじゅうを、男女カップルがかじりあいながら歩く。
 日本流にいえばお行儀が悪いのだが、ここはチャイナランドだからそれが流儀であるらしい。いや、鎌倉では歩き食い自粛条例ができたらしいから、今や日本観光地どこでもの流行らしい。

 緊急事態自粛解除したら、この観光街でも歩く人たちは律義にマスク姿である。歩き食いはさぞ面倒だろうと思うが、マスクを外しながら歩き食い、またマスクをつけて歩く、また外して食っているのだ。お行儀の悪さが増した。
 コロナ感染は開放的な外気の空間では避けられるというから、どうやら歩き食いが本流になているかもしれない。中華街の道路全部が歩き食い空間になってり、食事風景が店内からこちらに展開あるいは移動するのだろうか。
 道がどこも狭いから、そのうちに二つの廟の広場も野外レストランになるかもしれない。 

 もうすぐこの街は元のようににぎわいそうだが、ここは野外さえも密な空間であり、店内では中華流宴会が続けば、感染クラスターが発生しやすいような気がする。外国人来街者が半分を占めるらしいことも心配である。そんなことのないように願うばかりだ。
緊急事態外出営業自粛要請解除直後の中華街 2020年6月20日

同上
つづく


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