それを見るたびに、どういう意味かと考えるので、後期高齢者のわたしはボケる暇がないのは、新型コロナのおかげである。
先日もその戸惑いを「コロナ用語爺典その1」に書いたので、これはその続きである。
今朝(2020/06/10)の朝日新聞トップに「1口座ひもづけ義務・・」なる見出し、この「ひもづけ」を知らない。もちろん「ひもつき」(よい意味ではない俗語)なら知っているが、その動詞があるとは知らなかった。
他のニュースをネットで読むと「預貯金口座にマイナンバーを登録して管理すること」(NHK)とある。
紐を着けるから類推して、たぶん、個人番号カードと預貯金口座の情報を連結するということだろう。それを「ひもづけ」というのか。
このまえは「突合」を知らなかったが、元バンカーの友人に聞いたたら、銀行ではごく普通に使う言葉という。
漢語の突合に対して、こんどは大和言葉そのものの「ひもづけ」だけど、ここまで生きていても知らないのだ。わたしはほんとに無知なのか、それとも特殊用語なのか。
個人番号カードと預貯金カードとを紐で結ベば良いのか、簡単なことだ、早速やってみた。これでよろしいか?
うちにある広辞苑には「ひもづけ」はない。「紐付き」ならあり、「衣服・諸道具などの紐をつけるべき所」とあるだけだ。これが原義らしいが、今求める意味ではない。名詞はあるが動詞は無いのだ。
そこでネット辞書で「ひもつき」をひいたら、大辞林 第三版として次の3解説。
①紐がついていること。 「 -の寝巻」
②女性に、情夫がついていること。情夫のある女。
③見返り条件がついて、人の言動や物の機能が制約をうけていること。「 -の金」
この①は、広辞苑と基本的に同じ。
②については、カード紐付け担当大臣が女性だからといって、これは関係ないよな、、いや、まてよ、預貯金カードとマイナンバーカードを紐付き関係にすることか、つまり、政府が国民のヒモになることかな、国民はせっせと稼いで政府に貢ぐのか、うん?
③については、なんだか重要な意味ありげである。
個人番号カードと預貯金口座をひもつきにすることで、政府が国民に給付金を振り込むが、その見返りとして個人の言動や物に制約がつくのだな。
なるほど、マイナンバーカードはヒモツケカードか、つまりひもつき預貯金、ひもつき給付金、ひもつき年金とか、そうかそうか。
なるほど、「ひもづけ」の意味がよく(?)分かった。だが、これでは妙に分かりすぎて、本当にこれでよいのか心配になる。まさか政府が自ら「ひもづけ」と言ってることはないだろう、いじわるメディア用語だろうな。
そこで衆議院予算委員会(2020年6月9日)の中継動画をネットで観たら、担当の総務大臣発言「マイナンバーへの預貯金口座のひもづけ・・・」、アレレ、政府がヒモツキにすると言ってるのか、まことに政府の意図が分かりやすいのである。
なお、ネット情報としては、IT業界用語では20世紀末ごろから「紐づけ」を使っていたと出て来る。
例:https://www.majishini.net/hg/post/2016/20160924-001/
いろいろ読んでみてもその世界のことはよく分からないのだが、要するに「タグづけ」とか「リンク付け」のようなことらしい。それがどうして「紐付け」になるのかわからないが、日本語無教養IT屋がテキトーに翻訳したのだろう。
もしかしてこちらの特殊用語「ひもづけ」が、ようやく一般用語化してきたのかもしれない。
わたしはもう40年ほどもWPからPCへとIT関係機械を使ってきたが、IT業界用語に悩まされっぱなしである。IT屋さんは翻訳すれば間違った意味(例:更新、購読)にするし、翻訳できないとカタカナのままにするから、日本語を知らない人たちらしい。
そのことは、こちら◆珍迷解IT用語辞典2018年怪訂版に書いているが、そろそろ2020年怪訂版をだすかな。
◆参照「コロナ用語爺典その1」 https://datey.blogspot.com/2020/05/1466.html
◆参照:「コロナ大戦争おろおろ日録」
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