近ごろマイナーカード騒動で、しきりに「ひもづけ」なる言葉が、普通に世の中の人々が知っているがごとくに出現するのが不思議だ。わたしはこれほども長くこの世に生きてきていても、つい3年前までは知らなかった言葉であるだ。
もちろん「ヒモつき補助金」とか「ヤ―サンのヒモつき娼婦」とかの「ヒモ」は知っていたが、いずれも悪い意味である。それが政府の言う重要政策として堂々とヒモが登場するとは意外である。そこからしてマイナーカードのイメージが悪いけどいいのかしら。
これだけたくさん紐をつけときゃいいね |
そのことは2020年の6月に書いている(参照:ブログ記事)から、詳しくはそちらに譲るが、あらためてネット辞書をあちこち見たら、わたしの知る意味のほかに「IT用語」と書いてある。え?、IT用語のヘンなことは重々承知しているが(参照:IT用語オチョクリ辞典)、これもそうとは初めて知った。
でも奇妙なのは、ヘンなIT用語はたいていは原文のままにカタカナ用語にしてしまうものだ。ところがこれは「紐付ける」なんて、いかにも和語の語感溢れる日本語に翻訳とはねえ、カタカナ語ではよほど不都合なので「紐づける」なんてのを探し出したのだろう。
そこで「紐付け」と翻訳前の原語のIT用語はなんというのかと、これもネット辞書をあちこち調べたら、なんとなあ「LINK」とあるのだ。
え、リンクかよ、それならとっくにカタカナ語のままでで、パソコン用語として使っているポピュラー極まる言葉だよ。
それなのにどうしてこのマイナ―カードだけは、リンクすると言わないで「紐づける」と言うのだろうか、リンクでどんな不都合があるのだろうか、不思議だ。
まさかパソコンやスマフォ知らない年寄りに配慮したというのではあるまいな。むしろ年寄りのわたしがこんな「紐づけ」を知らないのだから、配慮の意味がない。
マイナーカードという行政の重要な事業に関わる用語だから日本語にして、カタカナ用語にしないのだと言うのか。「紐づけ」は法律条文にはないが、こんな事例がある。
最近できた「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」にはもの凄いカタカナ語が出現したぞ。よほどの人でないと知らない言葉だろうに、これが法律名でよいのか。
ずいぶん前にできた「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」では、不動産屋の誇大広告用語がそのまま登場なんて、これが法律名で良いのか。なんだかへんだなあ。
なお、内閣法制局のサイトには、次のように書いてある。「法文における外来語の使用基準は、その言葉が日本語として定着していると言えるか否かという点にあります。」(→こちら参照)
だから「紐づけ」なんてイメージ良くない日本語よりも、既にパソコンで普通に使っている「リンク」の方がよほど日本語として定着しているから、今からでも遅くないので政府もメディアも「リンク」と言い直しなさいよ。
ついでに「マイナーカード」(正しくはマイナンバーカード、略してマイナカード、わたしはわざとマイナーカードという)とは、共同住宅をマンションというほどに珍妙だから、これも岸田内閣のメジャー政策に対応して「メジャーカード」に改名はいかが?
狂歌<カード騒動>
トラブルは次第にメジャーになろうともどれもこれもマイナーなこと
マイナーなゼンダーとカード取り纏めアイデンティティ理解増進法を
(20220621記)
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