見世物スポーツ嫌のわたしは、新聞のスポーツ欄を飛ばし読みする。そもそもTVそのものをを見ないから、スポーツ番組放送も見ない。
ところが時々、新聞スポーツ欄から社会面記事へはみ出してくるスポーツ関係ニュースがあるので、そこで知るスポーツニュースがある。それにはちょっと興味を持つ。最近立て続けに2件あった。
ひとつはUSAプロ野球に「大谷ショーヘー」とかいう活躍する日本人プレーヤーが居るそうだ。この人の専属通訳がギャンブルで大損して、雇い主の大谷のカネを盗んで穴埋めしたとの事件。
その金額がなんとまあ数億円の巨額、そんな金を大谷は持っているのかあ、わたしはそれ以上にこの事件内容に興味ないが、本場野球でアジア人が活躍して大金を稼いでいるんだなあ。
ところでそのギャンブル通訳の名が「水原」という。なに?野球で水原だって?、何かが引っ掛かった。そうだ、昔々の1950年代のことだったかなあ、日本プロ野球に「水原茂」という監督がいたなあ、あれは巨人チームだったかしら、なんか常勝の神様みたいな評判だったなあ。何の関係もないがふっと記憶の底から出てきた。
もう一つのスポーツ欄から社会面にはみ出し記事は、日本の大相撲つまりプロ相撲トーナメント戦での珍事である。なんでも初めてそのトーナメントに参加した新人力士が、なみいるベテランたちを倒しまくって、初登場で初優勝してしまったというのである。そんなことは110年前にあっただけの奇跡的な事件だそうだ。その力士は「尊富士」(たけるふじ)とて、何とも尊大な名である。
そしてこれについても思い出したことがある。プロ相撲で新人の大活躍と言えば、わたしの記憶には「大鵬」(たいほう)という力士の印象が深い。1950年代の末ごろのある日の午後、学生食堂で遅い昼飯を食いながらなにげなく見ていたTV画面に、まさに新人であった大鵬が映っていた。バタ臭い顔とすらりとした体形に外国人かと思った。外国人力士は全くいない頃であった。
相撲取組放送を見ていたら、大鵬が相手のふんどしを両腕で掴んで押して土俵際に追い詰めたとたん、両腕をサッと抜きとり相手との間合いを開け、両手をそろえて相手の胸をドーンと突いて倒した。おお、土俵際であんなことできるものかと驚いた。
そのころは街頭TVなるものがあちこちにあり、わたしはちょうど夕方からの家庭教師アルバイトに出かける時で、自由が丘駅前のそれを時に見たものだが。特定の相撲取組についての記憶は大鵬登場のこれ一つしかないから、かなり印象深かったのだ。若乃花とか栃錦という力士がいたなあ。
さてその後の大鵬はみるみる横綱へと駆け登ったが、尊富士もそうなるだろうか。あの頃の大鵬の評判は、「巨人・大鵬・卵焼き」と並べられる流行語となり、ミーちゃんハーちゃんが大好きなものの象徴だった。わたしは勝手に「阪神・柏戸・ライスカレー」とひねくれて言ったものだ。となると現代では「ラーメン・大谷・尊富士」なんて言うのだろうか。
(20240325記)
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伊達美徳=まちもり散人
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