2011/09/09

492福島原発周辺は死のまち

「鉢呂経済産業相は9日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の周辺自治体を野田首相らと8日視察した感想を述べ、「残念ながら周辺町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死のまちという形だった」と発言した。
 経産相は「福島の再生なくして、日本の再生はない」とも述べたが、原発事故やその後の対応で政府の責任が問われる中、担当閣僚自身が周辺地域を「死のまち」と表現したことは波紋を呼びそうだ」(YOMIURI ON LINE 2011.9.9)
 asahi.comもこう結ぶ
「原発事故の被災地を「死のまち」と表現したことは今後問題になる可能性がある」

 こういう記事は、どういう意図で書くのだろうか。
「波紋を呼びそうだ」とは、だれが波紋を投げるのか。
 もうだれかが波紋を起こしたのなら、そう書くべきだろう。まだなら予断記事だ。
 どうも思うに、あの大臣はけしからん、と、新聞記者が世の中を扇動しようとしているとしか読めない。

 福島原発周辺が死のまちなのは、そのとおりであって、そう言われて怒るとしたら東電だろうなあ。
 地元の人が大臣からバカにされたと思うものだろうか? よくぞ言った、そのとおり、それをやった東電けしからん、そう思うような気がする。
 あ、そうか、原発推進派の読売新聞は、東電の悪口になることをいうと怒るんだ、そうにちがいない。
 でも朝日は脱原発派だよなあ、??

(追記 110910)
「鉢呂吉雄経済産業相は9日夕の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の周辺市町村について「死のまち」と表現した自らの発言を撤回し、陳謝した。この発言をめぐり、野田佳彦首相は同日、「不穏当な発言」として謝罪と訂正を指示。原発事故の被災地も反発している」(2011年9月10日朝日新聞)

「9日午前の記者会見で、福島第一原発周辺について、「人っ子一人いない。まさに死のまち」と表現したことについて、同日午後の記者会見で「被災地の皆さんに誤解を与える表現だったと真摯(しんし)に反省し、表現を撤回し、深く陳謝申し上げる」と謝罪、発言を撤回した」(2011年9月10日03時03分 読売新聞)

 ふ~ん、謝っちまったんだ。メディ屋にいじめられたらしい。新大臣はあら捜しされるのは仕方ないのか、ここで突っぱねるとごたごたと政局にかかわるから、本音じゃなくても謝らざるを得ないだろうなあ、気の毒に。

 ところが謝らない人がいる。
 武田邦彦・中部大学教授が、読売テレビ(大阪市)の番組に出演して、こんなことがあったそうだ。
「4日午後に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」で、「東北の野菜とか牛肉を食べたらどうなるの」という小学生の質問に、「青酸カリがまかれた」「青酸カリをのけてから植えてくれ」「東北の野菜を食べたら健康を壊す」などと発言した際に一関市の名を挙げた。ほかの出演者が「発言を取り消すべきだ」と言ったが、「取り消しません」と応じていた」(2011年9月10日朝日新聞)。

 その後一関市長からも抗議があったけど、「分かりやすく言ったまでのこと」と、取り消しや謝ったりはしないとのこと。そりゃそうでしょう。
 ここが政治家と学者の違いであろう。政治家はつらいね。
 それとも鉢呂さんて、もともと変な人で、なにかボロをだすだろうとメディ屋がてぐすねひいて待ってたのに、引っかかったのかもなあ、。

(また追記110910夜)
 あらら、とうとう辞めちまった。鉢呂さんてどんな人か知らないが、民主党は後にもっとよい人材がいるのかしら?
 それにしても、今後は原発事故発言はうっかりとはもちろんだが、思い切ったことも言えないことになったな。原発事故には思い切った政策が必要なのになあ。
  悪いのは東電なんですよ、敵を間違えないように、忘れないようにね。

(またまた追記091112)
 これから鉢呂さんの後任人事に誰をすえるか、野田さんもあたまがいたいことだろう。
 原発もTPPも積極推進する人にせよと、産業界から圧力がかかっているに違いない。
 そして、そういうひとを任命するにちがいないよなあ。

(みたび追記091113) 鉢呂さんの後任は枝野さんにきまった。この人だけはわたしも顔を知っているのは、ふだんみないTVを原発爆発のあたりはのニュースでよくみた政府の報道官?だったな。
 少なくとも原発のことは、いやおうなくよく知った人だろうってことぐらいは、わたしでも分かるが、この人の原発TPP政策への考えはどうなんだろうか?

491シニア・アダルト商品はいかが?

 なんだかあれもこれも食いものが核毒に犯されていく。
 地域的にも品数的にもどこまで広がるのか見当もつかないし、その核毒がなにから来たのかよく分からなかったりするのだから、これはもう風評被害なんてものではなくて、純粋に被害そのものである。

 今朝の朝日新聞に放射線防護学者の安斎育郎さんが語っている。
「71歳のじいさまである安斎育郎が、汚染したものを多少食おうが、20年後にがんになりますといわれても、ほかの原因でたぶん死んじゃっているでしょう」

 そうなのである、前から思っていてこのブログにも書いたが、年よりこそは福島核毒地域に救援ボランティアに行くべきだとね、と。
 そう言いながらわたしはいまだにいってないのだが、。
 そこでどうだろう、70歳以上には、東電から交通費の半額補助をするのである。これなら喜んで行くものが多いだろう。まあ、手足まといも多くなる心配もある。

 そしてまた考えた。
 福島振興のために、核毒汚染食品を年寄りが積極的に買って食うのである。
 これも70歳以上という身分証明書を見せると売ってくれるようにする。70歳未満には売らない。
 これもできれば、同じようなものの市価の半額くらいにしていただけると、わたしはまことにありがたい。もちろん後半分は東電が負担するのだ。
 つまり核毒シニア・アダルト商品である。ほかにもありそうだ。

2011/09/04

490内閣支持率調査って?

 日経67、読売65、産経62、毎日56、朝日53
 なんの数字かといえば、今日の各新聞にある世論調査で、野田内閣を支持すると答えた人のパーセンテージである。同じ日に調査すると、互いに協定しているのだろう。
 多い順に並べてみたが、これって新聞社としての内閣支持度合いと一致しているのだろうか。
 まあ、こんな数字はどうでもよろしい。だって、これまで一度もオレところに調査に来てないんだもん、本当に調査してるんかい、。

489核毒の森と海

 1986年4月26日にウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号炉が爆発して大量の放射線物質つまり核毒をまき散らした。
原発から30km圏や300kmも遠くのホットスポット地域が永久に居住禁止、消えた村や町は500にもおよび、40万人もが故郷を追われたそうだ。
 goole earthでその今の様子を空から見た。プリピャチ市に原発のためのニュータウンがあったのだが、もちろん今はゴーストタウンである。
 住棟の間は森となっている。まさに「核毒の森」である。
 もしもこれが雨量も多い温暖な日本なら、もっと緑の生い茂る深い森になっているはずである。
●参照
・プリピャチ・ゴーストタウン
http://static.panoramio.com/photos/original/42440870.jpg
・チェルノブイリ原発石棺
http://static.panoramio.com/photos/original/41850379.jpg
・プリピャチ・ゴーストタウンとチェルノブイリ原発石棺
http://static.panoramio.com/photos/original/13702819.jpg

 同じように福島第1原発のあたりも空からのぞいてみた。
 福島第1原発事故の今後はどうなるのだろうか。 福島第1原発事故の今後はどうなるのだろうか。
 都市や地域の計画をやっていたわたしには、原発から発した核毒汚染地域の今後である。多分、永久に居住禁止になるだろう。
 この写真の範囲は、多分、ゴーストタウンとなり、20年後は深い森になっているのだろう。


●続きの全文はこちら
http://sites.google.com/site/dandysworldg/kakudoku-woods

2011/09/02

488対日戦勝記念日の新聞広告

 今朝の朝日新聞の全面広告に、当時の極東指令官マッカーサーの姿が載っている。コーンパイプをくわえて、厚木飛行場に着陸した飛行機から降りようとする。
 これは1945年8月30日であった。

 日本では8月15日を終戦記念日というが、太平洋の向こうのUSAではこれに対応する日は9月2日で、対日戦勝記念日(Victory over Japan Day)というそうだ。
 つまり日本がミズーリ号の甲板で公式に降伏文書に調印した1945年のその日なのだ。
 そう、今日である。対米敗戦記念日である。

 この広告はなにを言おうとしているのか。
「いい国つくろう、何度でも」
 下の端っこに「宝島社」とあり、文字はこれだけである。宝島社とは出版社のことだろう。
 多分、震災復興への期待を込めて、あの悲惨な戦争から復興したのだから、今度もがんばろう、なんて言ってるつもりなんだろう。

 極東軍司令官だったマッカーサーは、1942年3月にフィリピンから日本軍に追われて、「I shall return」と悔しさを込めて言ってオーストラリアに逃げ出した。
 それから3年半の戦いの後、自分を追った敵地日本に勝利軍としてリターンしたときの、得意の姿が今日の広告である。

 この後、すぐに横浜に行き、都心のホテルニューグランドに居を構える。
 極東軍司令官として彼は横浜都心を無差別爆撃により破壊していたが、こんどは連合国軍最高司令官として横浜都心部などを広く接収して、占領軍の基地とした。
 横浜は戦災の上に占領が重なったが、さらに1950年から始まった朝鮮戦争の連合軍基地ともなり、マッカーサーのおかげでその復興は他の戦災都市と比べて著しく遅れざるを得なかったのであった。
 
 あの頃を知る横浜市民にとっては、この写真に復興をかけるのは複雑な思いであろう。同じ思いは沖縄県民もだろうか。

2011/08/31

487大丈夫か横浜都計審

 横浜市都市計画審議会の傍聴に行った(2011年8月31日)。
 今回の議事には市街地再開発事業の都市計画という、じつに高度にして複雑な案件があったので、委員がどうこれに対応するか興味があったのだ。
 もう少し意地悪に言えば、はたして実質的な審議ができる能力が、今の委員にあるのだろうか、議案の内容よりも委員の議事への態度を傍聴に行ったのであった。
 結論から言えば、再開発事業の都市計画に関しては、どなたも何にもご存じないらしかった。素人談義でさえもなかった、といってよいだろう。

 再開発事業の都市計画に関する議案を審議するには、都市計画審議会は次のような視点を持たねかればならない。
 まず、事業権利者や事業地区周辺住民等への対応で計画策定過程で適正な手続きをしてきているか、都市環境を大きく改変するこの再開発事業が都市計画として適正であるか、そして事業の早期実現性から見てこの都市計画は適正であるかの、3点である。

 この案件での発言は、21人中4人が7件、しかし実質的な内容にかかわる発言は、たったの一件であった。肝心の事業の実現性にかかる発言はまったくなし。
 計画内容に特に大問題があるとは思えないが、内容が複雑多岐にわたっているし、反対の意見書提出や公述が多くあったのに、審議会がこの程度の審議でよいのだろうか、と、つくづく思った。
●この全文はこちら
 http://sites.google.com/site/matimorig2x/110831yokohama-tokeisin

●関連→あなたの街の都市計画はこんな会議で決めている
http://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin

2011/08/30

486世界遺産帝国主義論!?!

 文化庁は近いうちに、鎌倉は富士山と一緒に世界文化遺産登録の推薦書をユネスコに出して、審査を受ける段取りに入るそうだ。
 鎌倉は日本の世界遺産登録の最初の推薦暫定リストに入ったのだが、いまだに本推薦に入れない状態にある。それはどうしてかはここでは書かない。
 
 世界文化遺産はコアとなる施設やエリアが登録対象資産となるが、その周辺地区を登録資産と調和する景観域(バッファーゾーン)として設定することが求められる。
 分かりやすく言えばバッファゾーンには超高層ビルとか真っ赤な看板とかは禁止である。
 鎌倉市のいわゆる旧鎌倉と呼ばれるエリア内に登録候補資産はあり、バッファゾーンは旧鎌倉エリアのほとんどとなる。

 さて、そのバッファーゾーンに「元治苑」という邸宅がある。そこには立派な庭園があり、移築してきた江戸時代の茅葺屋根民家がある。
 そしてお決まりのように、ここを住宅開発事業者が買って、分譲共同住宅(いわゆるマンション)を建てることになった。
 そしてまたお決まりのように、近隣住民たちから反対運動がおきた。

 わたしは詳しいことは分からないが、反対運動の理由はこうらしい。
 まず、世界遺産登録候補資産のバッファーゾーンに共同住宅に建てることは、世界遺産登録を目指すまちづくりにはふさわしくない。
 そして、歴史的建築物と庭園を調査をきちんとして評価し、歴史的な施設として保存するべきである。
 そしてまた、地中には鎌倉幕府の遺跡がある可能性が高いので、その調査をして遺跡保存するべきである。
 
 鎌倉にお住まいのジャーナリストの知人から、この件についてアンケートで回答を求められたので、回答した。
 その方のブログにわたしの回答が載せられている。
  http://blog.livedoor.jp/kikurotakagi/archives/3503280.html
 そしてほんの少しだが反論があった。
  http://blog.livedoor.jp/kikurotakagi/archives/3506583.html

「世界遺産帝国主義」なる刺激的にも読める言葉をあえて使ったので、反論がものすごくあると期待したのだが、それほどでもなくて、期待はずれだった。
 世界遺産帝国主義でなにが悪いって、そんな反論をわたしが書きたい。

 わたしはレーニンも秋水も読んだことはないのだが、「**帝国主義」なる言葉は、社会学者の上野千鶴子が建築家の山本理顕のことを「空間帝国主義者」と言ったのを読んで、なるほどこれは面白いと、適当に応用しているのだ。**原理主義も使える。
 そういえば、世界遺産登録ってのは、どこか西欧による文化帝国主義の臭いがする。

●参照→景観帝国主義
  http://datey.blogspot.com/2009/01/blog-post_30.html
 鎌倉の世界遺産
  http://datey.blogspot.com/2009/12/210.html
 世界遺産談義
  http://homepage2.nifty.com/datey/kamakura-sekaiisan2010.htm

2011/08/28

485言いにくいことを言って辞める菅さん

 政治家も、行政マンも、そして多分もっとも痛切に住民さえもが、そう、だれかれもがそう思っている、そう思うしかないのだが、どうにも言いにくいことがある。
 それは福島第1原発の周辺地域は、もう人間の場ではなくなったことである。
 しっかりと核毒が降り積もっていて、これを解毒もできないし、どこかに持っていくこともできないのだから、当然のことである。

 そしてまたもうひとつの言いにくいことだが、原発周辺地域を越えて広く薄く降り積もった核毒まじりの土砂や瓦礫などを持って行って置いておくのは、この人間の場でなくなったところしかない。核毒を振りまいた東電が引き取るのである。
 そう、これをわたしは「核毒の森」と言うのである。http://datey.blogspot.com/2011/08/47921.html

 ところが、ついにそれを公言してしまったのが、首相の菅さんである。
 昨日(201年8月27日)、管首相は福島県知事と会談して、原発周辺では長期間住めない地域が生じること、県内に放射能汚染の土壌や瓦礫を中間貯蔵する場所を作りたいと、伝えたと新聞の報道である。そして怒る福島県に謝ったそうだ。

 これは実は誰もがわかっていて、実に言いにくいことだが、誰かがいつか言わねばならないことだ。それもできるだけ早期に。
 菅さんの次の首相に言わせて、彼は逃げてもよさそうだが、あえて言ったのであろうか。
 もしかして次の候補者たちが原発にはあいまいな態度なので、ここで言っておかなければなるまいと奮起したのか。辞任の置き土産だろう。

 菅さんの言葉は、長期間住めないとか、中間貯蔵とか、時間と空間をあいまいにして言っているが、はっきり言って人間の場ではなくなるのは明白だろう。
 そんな汚れきったところで誰が働き、だれが暮らしたいと思うのだろうか。フクシマ「核毒の森」にならざるを得ないと、だれもが思っているに違いない。

 そもそも東京電力が発した毒物であるから、原因者の東電が回収するのが当然のことだろう。
 こういうときに首相の菅さんが登場して謝り、どうして東電の社長が出てきて謝罪と核毒回収を言わないのか不思議である。政府は東電の手先か。
 そりゃ東電だけでは解決できない政治的な問題となっていることは確かだが、それにしても不思議きわまることである。モラルハザードの典型のような気がする。

 受益圏と受苦圏という考え方が、環境社会学の世界であるそうだ。
 事故以前の福島は、原発受益権だったのか、それとも受苦圏だったのか?
 今まさに福島が受苦圏になったことの社会的な意味はどうなんだろうか?
 一般に原発の受益圏、受苦圏はどう考えるのだろうか?
 この受益圏と受苦圏について、もう少し考えてみたい。

2011/08/27

484女性マラソンの風景

 KOREAのテグで開催されている国際大会らしい、TV中継の女性マラソン競技を見た。
 スポーツ競技をTVで見ることはないが、マラソンだけが例外である。
 といっても競技には興味がなくて、その背景に映る町並みを見たのである。
 うるさい音を消して見ていると面白いのだが、突然に変な画面になる。邪魔な広告である。
 ふん、こちとらは邪魔が入ると、TV画面から新聞に目を移して読むのだ。
 はじめのうちは邪魔広告が多かったが、終わりのあたりから少なくなったのは、ちょっとは広告の入れ方を考えているらしい。
 邪魔といえば、しばしばあられもないアマゾネス群が画面を占めるのだが、まあ、これは仕方ない。
 
 テグの街は、メインストリートらしいから、並木が整い、広い歩道で、高層ビルが諸所に見える。
 見慣れた普通の現代風の姿で、はっきり言って、つまらない風景だった。建築デザインも普通だった。
 どの店舗にも壁面に大きな文字広告があるのが、目に付いたくらいのものであるが、読めないから分からない。
 ところどころに横に入る道が見えて、そちらの方が面白そうだが、もちろんカメラは曲がらない。
 
 テープを切ったアスリートは、アフリカ系のようだった。
 マラソン女性たちを見ていて、一様に乳房が小さいのに気がついた。これって、走るのに必要のない筋肉が、過酷なトレーニングでそぎ落とされていったのだろうか。
 参照→170はるかなるベルリンhttp://datey.blogspot.com/2009/08/170.html

2011/08/26

483言葉の酔時記よろしいですか

 え、強盗大国?、、よく読んだら強大国だった、北朝鮮人民共和国のスローガンである。う~む、最近目が悪くなったなあ。
 でも、耳はよいのだ。気になる言葉が多くて、困る。

 すし屋で昼飯メニューの特寿司、上寿司、並寿司の中から、並を注文をした。
「はい、並寿司でよろしいですか」
「あのなあ、安物の並でいいのかよって、客に失礼でしょ。確認したいなら、『並寿司でございますね』って言いなさいよ」

 本屋で1050円の本に5千円札を出した。
「はい、5000円でよろしいですか」
「あ、いや、よろしくありません、3950円お釣りをください」

 劇場公演チケット予約で聞かれた。
「では、お名前を伺ってもよろしいですか」
「あ、いや、よろしいかよろしくないかって聞かれてもわかりません。よろしくありませんって答えの選択もあるんでしょうか。あのね、単に名前を聞きたいだけなら質問形式じゃなくて、『お名前をお教えください』って言いなさいよ」

 ホテルのフロントで予約の確認をされた。
「お名前とお電話番号を頂戴してもよろしいですか」
「あ、いや、よろしくありません。名前も電話番号もあなたに差し上げるわけにはいきませんので、それだけは勘弁して泊めてくださいよ」