9月から国交省に民主党の大臣が座って、ダムやら道路やらちょっと目先の派手な話題ばかりだが、もっとも基本的な居住政策については、なにか変えてくれるのだろうか。
日本では55年体制の自民党政権下では、基本的人権としての社会政策であるべき居住政策が存在しなくて、住宅政策という経済政策で住むところをつくってきたのである。
居住政策は持ち家建設促進政策という経済政策であって、ちょっと景気が悪くなるとローン優遇なる借金政策を進めるのである。借金で持ち家にしないと、屋根の下に暮らせない政策なのである。
その結果は、日本人の家庭はどこでも大借金返済を数十年もかけて、ほかの生活費を犠牲にして暮らしているのである。
生存権という基本的人権のひとつの居住の場を、借金で買い取らなければならないという奇妙なことが、先進国といわれる日本では起きている。
だから、今の100年に一度のような不況が来ると、目に見えてその矛盾があらわれて、住宅戸数は統計上では十分に足りているのに、借金が返せなくなって住宅が無い人が出てくるのである。
では借家に入ればよいはずだが、日本では借家には全くといってよいほど促進政策がないのである。だから狭くて環境の悪い高家賃の賃貸借住宅しか、一般向けには無いのである。
低家賃の公営賃貸借住宅はもうほとんど建設をしないから、なかなか入れない。公社や都市機構(UR)のような公的賃貸住宅も新規建設をやめて、しかも現在の賃貸住宅の家賃を民間なみに高額にしているのである。
全くこの国は、人間の居住権という基本的なところに政策が欠けていることおびただしい。
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そして今日(2009.9.30)の朝日新聞には、賃貸借住宅の家賃滞納者のブラックリストを作って、その者の入居を排除するシステムを共有する家賃保証会社の団体ができるとある。
ちょっとでも滞納すると業界に知れわたって、家を借りることができなくなるのだそうだ。なんだかサラ金みたいである。
そんなことをすると社会的にまずい、という家賃保証業界の同業者もいるし、弱者救済活動をしている人は反対を表明している。
「連帯保証人を見つけられない低所得者が増えたうえ、滞納を避けたい家主側の需要もあり、(家賃保証)業界は急成長。国土交通省によると全国で約70社。民間賃貸契約の約4割にかかわっているとのデータもある。民間信用調査会社の調べでは把握できる29社の売り上げは08年は約218億円で、2年前の2倍以上に達した」(asahi.com 2009年8月15日)
このように強気の業界状況からわかることは、家賃保証業界が成り立つほどに日本の賃貸借住宅市場において家賃滞納ケースが多くなってきていることと、賃貸借住宅業界はあいかわらず貸す方が借りるほうよりも強い立場を堅持しているということである。
家賃滞納で借家を追い出されて、別の貸家を借りようにもブラックリストに載っているので入居を断られ、行くところがなくて野宿者になる人が、これからどんどんでてくるのだろうか。
悲惨なアジア・太平洋戦争が終わって既に64年、衣食住のうち衣と食は戦後復興したが、住はいまだに戦後復興から置き去りなのである。
居住政策を経済政策担当の国交省ではなく、社会政策担当の厚生労働省の所管にしてはどうか。トンカチ屋ばかりの国交省には社会政策は無理である。
民主党さんよ、社民党と共にご努力いただき、賃貸借住宅促進策を展開していただくことを期待している。(090930)
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