結婚詐欺というと、昔は男のほうが女をだますのが普通だったような気がする。
近頃は逆になったのか、数名の男から金を騙し取って起訴中だとか、騙した上に殺したらしいとか、ある女性が犯人の結婚詐欺報道で賑わっている。
いま、“女性が犯人”と書いたが、新聞記事は“女性”とは書かないで、どこの新聞でも“女”と書いてある。
YOMIURI ON LINEには「東京都豊島区の無職女(34)(詐欺罪で起訴)の知人男性らが相次いで不審死した事件・・・」とか、「女を診察」とか、「女がヘルパーと称して・・」とか書いてあるし、asahi.comには「知人男性不審死の女」とか、「女が約20人の男性と接触・・・」とか、「同県警がこれらの男性から事情を聴いたところ、女とホテルの室内で・・」とか書いている。
ここで変なのは、女はすべて“女”であり“女性”ではなく、男はすべて“男性”となっていて“男”ではないことである。
どうも新聞用語では、“女”は悪いやつというか少なくとも怪しいやつであり、“男性”は良いやつというか少なくとも悪いやつではない、ということのようである。
“男”と“女性”となると、この逆になるのだろうなあ。
◆◆
男とか女の下に“性”がつくかつかないかで、悪いやつと悪くないやつを区別するなんて、いつから日本語はこうなったのだろうか?
容疑者というには早いけどどうも怪しいやつだ、でも、報道としては呼び捨てにもできず、何とか容疑者と書くこともできない、そこで苦し紛れにこういう言い方を考え出したのだろう。
でも、それでよいのか。普通名詞を固有名詞のように使うのは間違っているぞ。
実際に長い記事で、女が女がと何回も悪事の話が出てくると、世の女は全部悪いやつのように読めてくるのである。
今に日常会話に困ることになるぞ。
「あなたは女らしい方ですね」などと言ったら、「ふん、どうせわたしは悪い女ですわよ」ってひねくれられる。
「この仕事はやっぱり女でなくっちゃ」なんて言ったら、「え、何が悪いのよっ」なんてすごまれる。
なんてことがこれから起きたらどうしてくれる? 新聞屋は責任とってくれるのか、。
新聞屋は概して、和語は低級であり、中級は漢語、上級は西洋外来語という言葉遣いランキングで書き分けているらしいと、わたしは感じている。要するに古い古い舶来信仰である。
0 件のコメント:
コメントを投稿